最近では防犯カメラが進化しており、AIを使った仕組みもぞくぞく登場しています。顔認証のほか、人の不審行動を検知することも可能になってきています。例えば喧嘩や転倒、侵入などの異常行動のほか、人物の怪しい素振りから事件事故の予兆がわかることもあるそう!
今回は、防犯カメラの進化する技術と共に、「行動認識AI」を手がける株式会社アジラに、怪しい行動を検知して防犯に役立てる仕組みをうかがいました。
■「行動認識AI」で怪しい行動を検知!
最近の防犯カメラは、進化しています。
例えば、アジラが手がける「行動認識AI」という技術を用いたAI警備システム『アジラ』を使えば、既存の防犯カメラから人の異常行動や不審行動を認識できる「AIカメラ化」が可能です。
アジラの担当者に、AI警備システム『アジラ』とはどのようなものなのか教えていただきました。
「AI警備システム『アジラ』では、専用のサーバーを施設内に設置し、カメラの映像を解析することで既存の防犯カメラをAI化することが可能です。映像を取得するカメラは、特定のメーカーに依存することなく、一般的なIPカメラ1万2000機種以上で利用できます。検知項目はあらかじめ定義された異常な状態の人物を検知する『異常行動検知』、画角内の指定エリアへの人物の侵入を検知する『侵入検知』、そして、カメラ画角それぞれに最適化することで各場所特有の不審な行動を検知する『違和感検知』です。これらを24時間365日AIが休むことなく見守り潜在的な人起因の事件や事故を防ぎます」
●どんなことが検知可能?
・異常行動検知とは
「あらかじめ定義された異常行動を検知します。検知項目は『喧嘩・暴力行為』『転倒』『ふらつき』『長時間滞留』の4つであり、あらゆる防犯カメラ上でAI警備システムをアドオンした瞬間から検知が可能です。これらのトラブルに直結するような異常な状態の人物を検知することで事件事故の早期発見に役立ちます」
・侵入検知とは
「侵入検知では、指定エリアに人物が足を踏み入れると即時に発報し、管理者に人物の侵入を警告します。管理者はカメラ画角内に自由に検知エリアを描画することが可能な上、時間帯での機能のOn/Offが設定可能です。つまり、本来、人が立ち入るべきでない場所への人物の侵入や、夜間などその場に人がいるはずのない時間帯に人物の存在を確認したときにリアルタイムで確認できるので、適切な対処が可能となります」
・違和感検知とは
「弊社の特許技術でもある『違和感検知』では、AIが現場カメラに最適化されることによって『あの人なんか怪しいな』という人独特の違和感を覚える能力をAIが獲得し、不審者らしき人の検知をすることできます。仕組みとしては、AIがカメラ画角に映り込む人々の行動から、その場所での通常の人々の振る舞いを数日間から一週間に渡って自律学習します。
その後、学習したそれらの通常行動から大きく逸脱した挙動に対して『違和感』としてアラートをします。同じ場所で長時間うろつく人などのいわゆる不審者を把握し、声かけなどを行うことで、潜在的な事件事故を未然に抑止することにつながります」
●どんなところに導入が進んでいる?
「ショッピングセンターやオフィスビルなど大規模なカメラ台数を擁する施設を中心に導入いただいています。いくつか例を上げさせていただきますと、阪急阪神不動産株式会社の所有する『阪急西宮ガーデンズ』、株式会社フジクラの所有する『深川ギャザリア』、そして今年10月には三菱地所株式会社の所有する『新丸ビル』に採用いただいています。その他、大学などでもご検討を進めていただいています」
●トラブルを未然に防げた事例
潜在的なトラブルを「違和感検知」によって未然に防いだケースを教えていただきました。
「導入先の施設でエントランスに現れる部外者を”違和感あり”と検知し、トラブルを未然に防いだことがあります。
また、別の商業施設では、小さなお子さまが複数階にわたって吹き抜けになっている場所の手すりによじ登ろうとしたり、ぶら下がって遊んでる様子を違和感として検知しました。それにより施設管理者は見えていなかったヒヤリハット(潜在的な事故につながるヒヤリとしてハッとする出来事)を抽出し、適切な対策をすることで事故の未然防止につながったとの評価をいただきました」
さらに、「混雑状況通知」「人数カウント」についてはベータ版がリリースされており、来年1月のアップデートでは「迷子検知」の機能も追加されるそうです。
「今後もヒューマンセントリックなAIを進化させ、『事件事故を未然に防ぐ世界』を実現します」とアジラの担当者は話します。
■監視カメラの技術はこんなに進化している!
他にも監視カメラの技術の進化ぶりがわかるトピックスをご紹介します。
●顔認証でセキュリティ向上
例えば、監視カメラシステムの卸販売を行なっている株式会社NSSのAI顔認証カメラソリューションは、オフィスやマンション、工場など不特定多数の人が出入りできる場所に設置することで、セキュリティアップが可能。
例えば、オフィスでは従業員の顔情報をあらかじめ登録しておけば、社員証として活用でき、本人のなりすましや代理チェックインアウトを防ぎます。顔情報の非登録者でも録画された映像の中から特定の人物の検索が可能になっているそうです。
●追尾・威嚇機能を備える防犯カメラも
産業用LED照明・防犯カメラ企画製造を行う株式会社ダイトクが製造しているWi-Fi自動追尾屋外カメラ「ダイビーボットアイ」は、ターゲットを光線で追いかけて不審者を追い詰める自動追尾機能が搭載されています。
水平355°の範囲で、ヘッドが目標を追尾し、設定にってLEDライトが照射し、サイレンを鳴らすなど威嚇効果を付けることができるそう。不審者を発見してサイレンで威嚇、スマホへ通知、マイクで威嚇し、逃げても光りながら追跡できるのはすごいですね。
監視カメラの進化は目覚ましいものがあります。安心安全に暮らせるように、今後のさらなる機能追加や発展に期待したいものですね。
【取材協力】
アジラ(https://www.asilla.jp/)