世界の金融を再構築する中核的な存在となっていくだろうRWA。AIの発展によりこれからも日本のRWA市場が発展していくとしてリーディング証券主催のもと「不動産 RWA 国際シンポジウム」が都内で開催された。
RWAとはReal World Assetの約で、不動産、債券、株式、金、美術品、ワインなど、現実世界に存在する資産をブロックチェーン上でデジタル化(トークン化)したものだ。ビットコインとは異なり、現実の資産が裏付けとなっている。従来は高額だった不動産などの資産も、トークン化により少額からの投資がしやすくなると共に、24時間取引の実現と流動性の向上、取引コストの削減などが期待されている。
「不動産 RWA 国際シンポジウム」では、まずリーディング証券株式会社 取締役会長 謝 駿氏が登壇。下記の通り今後の不動産RWAについて語った。

「ボストン・コンサルティングの予測によれば、2030年には世界のトークン化資産規模が16兆ドルを超える見通しです。なかでも日本はステーブルコイン法制化や、不動産・債券のトークン化などの法案整備を背景に、アジアのRWA市場を牽引する存在となりつつあります。アジア金融市場で実務を重ねてきた私たちは、最大規模かつ最も安定した実物資産である不動産RWAこそが、次世代の金融エコシステムを形づくると確信しています」

その後はゲストスピーカーによる登壇がスタート。東京スター銀行 国際部部長 肖氏はリーディング証券とのお互いの強みを活かしてより良い商品、サービスを提供していきたい。本日のテーマであるRWAは新しい分野となり、学んでいかないといけないと同時に銀行の今までの知見も活かせる分野でもあると語った。

日本初のステーブルコイン発行体であるJPYC株式会社。代表取締役 CEO 岡部 典孝氏は「日本におけるステーブルコインとRWAへの発展」をテーマに講演を行った。最近の例として100万DLの大阪万博のデジタルウォレットを上げるなど、ステーブルコインのマーケットは非常に注目されているため今後も社会のジレンマを突破することをミッションに進んでいくと話した。

株式会社ネットスターズ 取締役 吉田 剛氏はRWAのトークン化とは、実物資産や無形資産の持つ価値や権利を、ブロックチェーン上のデジタル証券として発行・取引できるようにすること。RWAは伝統金融の延長で多くのメリットがあるとして、日本におけるRWA技術の発展などを語った。

今回のシンポジウムのメインとして「DeepHouse AI – アジア RWA & REITs 投資アドバイザリーサービス」のプロダクト発表もリーディングホールディングスのRWAプロジェクト責任者李氏に行われた。このAI投資アドバイザリーシステムは、AIによる動的評価、適合性判定、そして小口投資の高度化を強みとし、従来の不動産投資が抱えてきた非効率性や高い参入障壁を技術の力で解消するものだ。
現在、私たちはChatGPTのようなAIツールに触れる機会が多くなった。これは新しい時代のドアを開いてくれたツールでもある。その中で今回、発表したのはRWAに特化したAIツールだ。
【不動産RWA市場の課題】
・情報が多すぎる。情報の真偽など処理のコストが高い
・分析は未だに人間の手に依存していて、効率が悪い・リアルタイムではない
・意思決定の難しさ。将来を見据えた予測ツールが不足しているため最適な投資タイミングを捉えるのが難しい
・操作の煩雑さ。煩雑なレポート作成作業や政府政策の解釈などに膨大な時間と労力を使っている

このような課題を「DeepHouse AI」がこれから解決していきたいと思っていると説明。AIを駆使して不動産RWAを推進することは24時間対応やマーケットのさまざまな課題に対して迅速に対応できる。また、AIを駆使して専門的なリサーチが可能となるのだ。
例えば、日本の不動産RWA市場に関するウィークリーレポートが毎週月曜日の朝8時までに欲しい場合、このツールを使うと、自動的にレポートが届くように設定ができる。

ChatGPTやGeminiと大きく違うところは独自のノレッジベースやデータベースを持っていること。そのため汎用的なレポートではなく、ユーザーのパーソナリティに合ったレポートを得ることができる。
世の中の分析システムとの大きな違いは、ステップバイステップで指定していくことが必要だが、このシステムはシステム上で全てをデザインして提供してくれる。100人以上のRWA領域の専門家がいるため、その専門家に基づいたナレッジベースになっているのも特徴だ。
最後に「DeepHouse AI」を使った実例を見せてくれた。汐留、港区など日本の不動産市場について質問するとレポートが5分〜10分で作成される。これにはサマリー、背景、市場の分析、未来予測などが含まれている。これを人が作るのには普通なら1週間や2週間かかる仕事となる。それがたったの10分未満で作成できるようになるのだ。
今回のシンポジウムは日経など多くの日本メディアからの参加もあり、このようにRWA市場が活性化していくと共に、今後はAIが不動産 RWAをサポートしてくれる時代がくるということだ。私たちもそれに合わせて、常に情報にアンテナをたて、ツールを活用し、学んでいくことが必要だろう。







