
AI技術がさまざまな分野に広がる中、いま「聴こえ」の世界でも大きな変化が起きています。補聴器メーカーのスターキージャパンは3月6日、東京・芝浦のBLUE FRONT SHIBAURA TOWER Sでイベント「Starkey Japan Omega AI Tokyo Day」を開催。AIを搭載した新しい補聴器「OMEGA AI」の魅力や可能性を紹介しました。
■補聴器は「より良い生活」を実現するデバイスへ
補聴器というと、従来は「聴こえを補助する機器」というイメージが強いかもしれません。しかし今回のイベントで強調されたのは、同社が目指す方向性が「補聴器メーカー」から“聴覚テクノロジーカンパニー”へと進化しているという点でした。

イベント冒頭、スターキージャパン代表取締役社長の髙井浩希氏が登壇。「Hear Better、Live Better(より良い聴こえ、より良い生活)」という理念のもと、同社が長年取り組んできた技術革新について語りました。AIと先進的な半導体プロセッサーを搭載した「OMEGA AI」は、これまで同社が培ってきた技術やアイデアを詰め込んだデバイス。半導体技術の進化を背景に、単なる補助機器ではなく生活の質を高めるデバイスへと進化しているといいます。
さらに、米国本社のPresident and CEOであるBrandon Sawalich氏も登壇。スターキーは米ミネソタ州に本社を置き、世界20以上の製造拠点と800以上の流通拠点を持つグローバル企業であり、長年にわたり聴覚テクノロジーの研究開発を進めてきたと説明しました。

■AI技術で音を解析!騒がしい環境でもクリアに

今回発表された「OMEGA AI」の大きな特徴は、AIを中核とした音声処理技術です。その核となるのが、新たに開発された「G3ジェネAIニューロ・プロセッサー」。複数のAIモデルが同時に動作し、周囲の音を多角的に分析することで、より聞き取りやすい音声体験を実現します。
具体的には、ディープニューラルネットワーク(DNN)を活用した音声強化技術により、騒がしい環境でも会話を聞き取りやすくする仕組みを搭載。あらゆる方向から雑音が届く環境でも、最大13デシベルのS/N比改善が可能とされ、聞きたい声をクリアに捉えることができます。
さらに、DNNを用いた指向性システムや空間認識機能も導入。周囲の音を360度全方向から分析し、どこで会話が始まっても瞬時に検知できる仕組みを実現しました。これにより、会話の聞き取りやすさが大きく向上するといいます。
また、最新のBluetooth規格「Auracast(オーラキャスト)ブロードキャストオーディオ」にも対応。Bluetoothの利便性を保ったまま1台のデバイスから複数デバイスへ音声の同時伝送(ブロードキャスト)が行なえる技術で、駅や空港などの公共施設での利便性アップが期待されています。
体験会なども盛り上がった本イベント。高齢者などはもちろん、スマートデバイスとしての可能性を考えれば、デジタルネイティブ世代にとっても関心の高い技術と言えるでしょう。最新技術との融合により、AIは「聴こえ」をどこまで進化させるのか。聴覚テクノロジーの進化は、まだ始まったばかりなのかもしれません。







