パソコンなどでスピーチを聞き取り認識する技術を用いて、さまざまなサービスを作り出す動きがさらに進みつつある。株式会社アドバンストメディアはその一つとして、AI音声認識APIの一般向けの提供を12月3日から開始した。新サービスの呼び水にもなりそうだ。
今回AI音声認識APIを公開したアドバンストメディアはかねてより、音声認識技術の開を進めてきており、日本語音声認識システムの「AmiVoice」などを提供。今月から音声認識の開発や利用を促進するよう、低コスト化や省力化を狙う音声認識APIの公開に踏み切った格好だ。
同社のAI音声認識APIである「AmiVoice Cloud Platform」では、音声の文字化や音声対話、音声による制御、翻訳といった用途に加えて、金融や自動車分野のコールセンターでの活用も見込まれるという。
同社によれば、「AmiVoice Cloud Platform」はビジネスでも適切に稼働するよう開発されているという。不適切だったり有害だったりする用語を省けるほか、ユーザーによる単語の登録も出来るため、専門用語や氏名などの変換もスムーズに認識できるとされている。
ただ、公開されたAI音声認識APIについては現在、あくまで一般向けの汎用エンジン。価格も控えめに映る従量課金制の0.025円/秒、データログ非保存プランで0.04円/秒の2タイプとなっており、収益面での不透明性を指摘する声も上がっていた。
取締役執行役員で事業本部長の大柳伸也氏
他方で、今後の展開については、同社の取締役執行役員で事業本部長の大柳伸也氏が見通しを示して補足した。「業界別のバリエーションも持っており、ビジネス領域で使えるような高精度の音声認識エンジンをリリースし、みなさんに使ってもらっていく」(同氏)としており、実績の積み上げを図る構えだ。
領域特化型については現在準備を進めているところで登場を待つほかない一方で、ビジネス面では期待も持てそうだという。代表取締役会長兼社長の鈴木清幸氏は「3年後に30億円」の規模を目指していると話しており、今後、実際にどれだけの利益につながるか注目だ。
代表取締役会長兼社長の鈴木清幸氏
さらに、鈴木氏は事業戦略について話す中で、長期的な展望として「ホールディング化、ビジネスの地域の拡大」を視野に入れているとし、「中台を攻めているが、アジア圏を見ている」とさらなる将来への手かいへの期待を覗かせた。
AI音声認識APIである「AmiVoice Cloud Platform」を軸とした展開で、アドバンストメディアがどれだけ経営成績を底上げできるのか、見守るのも良さそうだ。