賛否両論?キャッチな社会問題『暴走シニア、おひとりさま夫婦…』

2016/03/02
大石依里香

ブラック企業、草食男子、肉食女子、アラサー、モラハラ、ママ友……

初めて聞いた時は「ん!?」と思ったものの、いつの間にかすっかり根付いている新しい言葉ってありますよね。

 

現代の日本人が抱える様々なトラブルにも、キャッチーな名称が付けられているものがたくさんあります。今回はそれらを御紹介。数年後に生き残っているのはどの言葉なのでしょうか。

 

【除雪車ペアレンツ】

まずは『除雪車ペアレンツ』。

ありがたいけど、車間距離はとっておいた方が良さそうな印象です。

 

これは、先回りして子どもの人生の障害物を徹底的に取り除いてしまう親のこと。例えば、幼少期から家庭教師をつけたり、忘れ物をしないようにと親が荷物を準備したり、大学の学食で食べる食事を親が指定したり、就職先を勝手に決めたり…と、過保護すぎるのです。

 

子どもは自分で失敗したり成功したりしながら成長していくべきなのに、除雪車ペアレンツの元で育った子どもは、親に依存し、何か挫折があると自分ではなく周囲のサポート不足を責めるようになります。

 

除雪車ペアレンツの増加と共に、自己陶酔的で出世第一主義の子どもが増えているのだそうです。

 

【おひとりさま夫婦】

続いては『おひとりさま夫婦』。夫婦なのにおひとりさまとはこれいかに。

 

これは、夫と一緒にいたくないし関わりたくない、でも離婚はしたくない、という妻による密かな企てにより、常に別行動をとっている夫婦のことです。不倫やDVや借金などのような大問題はなくても、夫の言動にイライラしたり、気持ちが覚めていたりする妻は多いですよね。でも、経済的理由または世間体などにより、離婚まではしたくない…。

 

そんな妻たちが、意図的に夫を孤立させているのです。その手口は、夫が食卓につくと家事をするフリをして一緒に食事しないようにしたり、必ず週末に予定を入れて夫と過ごさないようにしたり、等々。

 

仮面夫婦や家庭内別居というよりは、妻が夫を毛嫌いして関わらないよう仕組んでいる状態を指す事が多いようです。

せっかく寂しい“おひとりさま”状態を脱して結婚できても、その先に更に“おひとりさま夫婦”という哀しい形が待ち受けているなんて、筆者も含めた現役『おひとりさま』女性にとってはなんとも夢のないお話ですね。

 

【暴走シニア】

そして『暴走シニア』。スティーブン・セガールに1本撮ってもらいたいような名前が付いたこのトラブルは、近年急増中の暴行事件をおこす高齢者のことを指します。

 

2015年に法務省が発表した『犯罪白書』によると、刑法犯の検挙人数のうち65歳以上の高齢者が占める割合が過去最高を更新し18.8%にものぼっているとのこと。

 

全体の検挙人数は戦後最少となっているのに、です。

 

暴走シニア達が暴れている場所の多くは病院やスーパーなどで、特に病院では、医療スタッフが暴言を吐かれたり医師が暴力をふるわれたりするケースが多く、警察OBなどを採用して院内交番を設置するところも増加。

 

人生の大先輩方が暴走に至るのにはきっとそれぞれ何か原因があるはずなので、捕まえるだけではなく、我々ももっとコミュニケーションを取って対策を練らなければいけません。

 

キャッチ―な名称を付けることで、そのトラブルや社会問題がより一般に認知され、皆で解決に向かえるきっかけになるのだと思います。

冒頭では『生き残るのはどの言葉でしょう』と書きましたが、本当は、これらの社会問題が一掃されて、将来はどの言葉も忘れ去られる状態になるのが一番良いですね。

 

< 取材・文 / 大石依里香  >

 

 

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この記事を書いた人

大石依里香

放送作家。1982年生まれ。 バラエティ番組のADとDを経て、30歳の時に夢だった放送作家に転職しました。辛い時は種田山頭火の句集を読みます。実績「おじゃ MAP‼」 「おはスタ」「林先生が驚く初耳学!」など。

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