読書の秋ということで、今年もやってまいりました「秋の読書週間」。今年は10月27日から11月9日までだとか。みなさまは、もう何か読まれましたでしょうか?そんな時間ないよ…という方も多いのでは。仕事も忙しいうえ、食欲の秋、芸術の秋、行楽の秋、スポーツの秋でもございます。仕方がないかと…。
とはいえ、せっかくの読書週間でございます。何か一冊でも読んで、ご友人、ご恋人に「読書週間、何か本読んだ?」と言ってみたいものでございます。
とはいえ、読書週間は残りあとわずか!そこで今回は、1日で、いや30分で読みきれる大人絵本をご紹介いたします。絵本と侮ることなかれ!読書感想を述べた時にプチ自慢できるようなオシャレで薀蓄も披露できる大人絵本をご紹介いたします。
その絵本とは…
読書週間スタートのタイミングで大手新聞各紙は、おススメの本を紹介しておりましたが、なかでも気になったのが、朝日新聞(10月27日朝刊)の記事でございます。著名人が「心に響く美しい物語」というテーマでおススメの本を何冊か紹介しておりましたが、その中で作家の辻仁成様が紹介されていたのがフランス人が書いた5冊でございました。
さらに、その5冊がなんと全て絵本・児童書でございます。ご存じのとおり、辻様は15年前からプランスに拠点を移し、13歳の息子様もいらっしゃいます。
辻様いわく「絵本も児童書もフランスの本は全体に、どうしてこうなるんだろうと謎めいたものが多い。物語が荒唐無稽であればあるほど、子どもは喜ぶ。子どもは起承転結を追わないし予定調和もない。もう一回読んで、とねだってくる、それがよい本なのでしょう」と。
そして5冊のうちの1冊がこちら。
「プチ・ニコラ もうすぐ新学期」(作:ルネ・ゴシニ 訳:小野 萬吉)
こちらは、2010年に日本でも実写版の仏映画「プチ・二コラ」が公開になったのでご存じ方もいらっしゃるかも。フランスで50年以上愛され続けている国民的絵本でございます。日本でいう「ドラえもん」のような存在でございます。
シリーズ化されておりますが、辻様が特に好きなのが、この「もうすぐ新学期」。フランス語を勉強するために原書で読まれたそうでございます。結論の前にたくさん言い訳を並べるところ、愛敬があって人間的でうそがないところなど、フランス人らしさを満喫できる内容になっているとのことでございます。
辻様はさらに、絵本に対してこんなコメントもされておりました。「絵本も文芸書も垣根はなく、物語は人間に必要なもの。どれだけ人間を励まし、人生を豊かにしているか」と。まったく同感でございます。大人が考えさせられる絵本、大人が楽しめる絵本、たくさんございます。
ちなみに、5冊のなかに「星の王子さま」も入っておりました。こちらもフランスの絵本でございます。辻様いわく「たびたび読み返す本。気が付くと何冊も持っています。人間の中にあるダメなものが、この美しい話の中にちりばめられている。心に響きます。
キツネが王子さまに言う有名な台詞『かんじんなことは、目に見えないんだよ』。これを忘れないために私たちは生きているんだと教えてくれます」と。これを機に「星の王子さま」、改めて読み直すのもよいかも…。
ちなみに、辻様があげられていた他の3冊はこちら。
5冊とも、絵本好きの間での評価が非常に絵本でございます。1日、いや30分もあれば読めます。しかし、何百頁の小説より、考えさせられたり、癒されたりする絵本でございます。
読書週間、読書の秋、駆け込みの一冊に絵本を選ばれてみてはいかがでしょうか。
(文:N田N昌)