AOKIが運営する「ジャケジョ研究所」が、現職で新しく女性メンバーを受け入れた経験のある20〜50代の働く女性を対象に「職場における第一印象に関する意識調査」を実施。第一印象が仕事に与える影響や評価のポイントが明らかになったほか、イメージコンサルタントの近藤なつこ氏のアドバイスも交えながら、新しい環境で活躍を目指す女性に向けた「信頼される印象のつくり方」のヒントを紹介しています。
■「第一印象が良い人=信頼できる人」約8割が実感
「ジャケジョ研究所」は、ジャケットに関する悩みやHOW TO情報を提供し、ジャケットを着用する女性をサポートする活動を展開。新しい職場での「第一印象」が仕事の関係性や信頼構築に与える影響に着目し、今回の調査が実施されました。
まず 「新しいメンバーの第一印象が良かった時に、『この人は信頼できる』と感じたことがあるか」を尋ねたところ、全体の約8割が「ある」(76.8%)と回答。 この結果から、「第一印象が良い=信頼されやすい」という構図が、実際の職場環境においても広く実感されていることが読み取れます。

また、「第一印象は、仕事をしていく上で影響するか」については、約7割の人が「影響する」(72.7%)と回答しました。このことから、職場において第一印象が業務の円滑なコミュニケーションや信頼関係の構築に影響を及ぼしていることがわかります。
■働く女性の約6割が「春以外に新メンバーを迎えた経験あり」と回答
「春以外にも新しいメンバーを迎えることが増えたか」という問いに対し、56.9%の女性が「はい」と回答。職場のジョブローテーションや採用・異動のタイミングが多様化している実態が浮かび上がりました。かつては「4月=新入社員・新年度スタート」が定番でしたが、近年では通年採用やキャリア採用・転職市場の活発化などにより、春以外のシーズンにも新メンバーを迎える職場が増加しているようです。

また、「服装を通じて、この人は職場に馴染めそう・信頼できそうと思うか」を尋ねたところ、全体の約6割以上が「はい」(65.4%)と回答しました。この結果から、服装が相手に与える印象や信頼感に大きく影響していることもうかがえます。
■働く女性の「第一印象」についての実態
新しいメンバーを迎え入れる際、第一印象を形成する要素として最も多く挙げられたのは「雰囲気」(50.1%)でした。続いて「表情」(44.5%)、「言葉遣い」(38.5%)、「清潔感」(30.1%)、「服装」(26.6%)と、見た目やふるまいといった“非言語コミュニケーション”が上位を占めています。

一方、ネガティブな印象を与えてしまう要因としては、「清潔感が欠けている(43.1%)」、「リアクションが無愛想(42.1%)」、「服装がだらしない(41.9%)」といった回答が多数を占めました。これらの結果から、受け入れる側は新しいメンバーの“外見そのもの”というよりも、“その人らしさがにじみ出る行動や装い”を通じて印象を形成していることがわかります。
■信頼を左右するカギは「TPO」と「清潔感」。第一印象に影響する要因が明らかに
新しいメンバーの服装に対してネガティブな印象を持ってしまう要素としては、「場に合わない雰囲気」(45.2%)、「露出が多すぎる」(39.4%)、「シワや汚れがある」(34.7%)が上位に挙がりました。

ビジネスシーンで初めて会う人の服装が第一印象に与える影響については、「TPOに合っているか」(51.3%)と「清潔感がある」(50.2%)が過半数を占めており、服装そのもののデザインや流行よりも、“場にふさわしいかどうか”と“清潔で整っているか”が、職場における信頼獲得において極めて重要であることが浮き彫りになりました。
こうした結果は、「何を着るか」よりも「どう見えるか」、すなわち細部の手入れや場に応じた装いであるかどうかが印象形成に直結していることを示しています。特に、新しい環境では、自分らしさの表現よりも“職場での信頼形成”という視点での服装選びが、円滑な人間関係の第一歩となる可能性が高いと言えるでしょう。
■第一印象で信頼される服装、6割が「シンプルさ」と「サイズ感」を重視
信頼される第一印象を左右する服装について調査したところ、最も多かったのは「シンプルで無駄のないデザイン」(37.5%)、次いで「その人の体に合ったサイズ感」(27.4%)という結果となりました。この2項目だけで全体の約65%を占めており、奇をてらわず、自分にフィットした装いが他者に安心感や信頼感を与えていることが明らかになりました。

一方、「トレンドを取り入れたデザイン」(6.1%)や「個性的なデザイン」(5.6%)といったファッション性の高い選択肢はそれぞれ10%未満にとどまる結果となり、“自己表現”よりも“安心感や誠実さ”を感じさせる装いが信頼につながる印象づくりに適していることがうかがえます。
■第一印象の作り方について、イメージコンサルタントの近藤なつこ氏が解説
今回の調査で第一印象の大事なポイントとして明らかになった「TPO」や「清潔感」をキーワードに、同研究員特任研究員の近藤なつこ氏が「信頼される装い」をテーマとして、専門的な視点から第一印象の作り方を解説します。

【第一印象が2〜7秒で決まるのはなぜ?】
―新しい環境で第一印象は、なぜこれほど重視されるのでしょうか?
第一印象がどのくらいのスピードで決まるかというと、相手の視界に入って数秒くらいなんです。
名刺交換や挨拶の時点で、すでに相手にとって自分の印象は固まっていると言っても過言ではありません。この数秒で決まるのは、相手に対する「ポジティブ/ネガティブ」「快/不快」といった感情です。これは人間が動物として持つ防衛本能に由来していて、理屈でコントロールできるものではなく、一度感覚的に受け取った印象は非常に強く残り、ほぼ半永久的に忘れないと言われています。服装は「一番外側の内面」を表す要素であり、自分をどう見せたいかを表現する有効な手段です。
第一印象の多くは視覚情報から形成されるため、最初の数秒で目に入る服装は、相手に与える印象に極めて大きな影響を与えます。
【第一印象の良さがもたらす「寛容効果」】
―良い第一印象は、その後の関係性にどのようなメリットをもたらしますか?
第一印象が良いと、その後のやり取りが好意的に受け取られやすくなります。ですので後から少し失敗をしたり、言葉遣いで疑問に思われても、「きっと何か理由があるのだろう」「この人なら大丈夫」とポジティブに解釈してもらいやすくなる。結果として、相手との信頼関係の構築がスムーズになるという良い側面があります。
一方、ネガティブな印象から始まると挽回は非常に困難です。「信頼できる存在」であることをコツコツ蓄積していかない限り、リカバリーはとても難しいとされています。
【信頼への一歩は、相手の期待値を超えること?】
―近藤さんがお考えになる「信頼感」とは、どのような印象でしょうか?
1つ目は相手にいわゆる「この人ならお任せして大丈夫」と認識いただくこと。私であれば、イメージコンサルタントとして「この人から面白い話が聞けそうだな」と期待してもらえるかどうか。人は無意識に「こういう話が聞けるはず」という期待値を持っています。期待値通りだと“普通”で、下回ると“ガッカリ”する。逆に期待を超えてくるとちょっとした感動がつくので、関係が前に進んだりしますよね。お会いする方の環境や大切にしていることを想定したり、お相手がどんな想定をしてくださっているのかを考えています。
2つ目は「親しみやすさ」です。威厳やプロ意識が強い印象も重要ですが、まずはリラックスして話を聞いていただける距離感を重視しています。私自身、顔や体の印象がややシャープで、親しみやすさが出にくいタイプなので、服装や表情で「話しかけやすい/緊張しない」印象や空気感を意図的に作るよう心がけています。
【現代における「信頼される3つの条件」とは?】
―信頼感を醸成する要素として、今の時代ならではの観点はありますか?
20年前は「清潔感・上品さ・控えめ」といった印象が重視されましたが、現在は「清潔感・機能性・調和」へと変化しています。「機能性」とは、職場や業務に無理なく適うこと。例えば“一日中動き回る職場でピンヒールが本当に機能的か“という視点です。そして「調和」は、職場や職種とその人”らしさ”との一致です。時代と共に、見た目の美しさだけでなく、自分らしさと働きやすさが備わってこそ、現代の「信頼される印象」につながります。
また、現代において意識すると特に印象の差がつくのは「姿勢」です。 スマートフォンやPCの長時間利用で「巻き肩」「首が前に出る」姿勢が常態化している人が多い印象です。ビジネスシーンなどで着用機会の多く、本来は好姿勢を後押しするジャケット姿も、美しいラインが出ず、だらしなく見えてしまいます。胸を開き、顎は上げすぎず引きすぎず“床と平行”を意識するだけで、清潔感と自己管理力が伝わり、意図せぬネガティブな印象を防ぐことができます。
【「自分らしさ」と「信頼感」を両立する考え方】
―「自分らしさ」と相手から求められる「信頼感」を両立することは可能でしょうか?
両立はできると思います。まず、自分らしさを表現できる環境を選ぶことが大切です。そんな場所であれば個性が説得力となり信頼に繋がるのではと思います。
自分らしさを表現できている方は笑顔の時間も長いと思いますし、自分で自分をご機嫌にできると、一緒にいる方にも広がっていきます。相手のことを受け入れたり肯定的に感じることができる方も非常に多いです。自分らしくいられないと不要な我慢をしたり、精神衛生面にも影響します。反対に精神的に安定していたりポジティブな気持ちの人とお仕事をすると、周りの方にも非常にいい影響を与えるので、そういった意味でもこの2つを両立させるというのは、大切なことでもあると思います。
具体的に2つを両立させる服装選びのポイントとしては、ベーシックな服を取り入れることが有効です。どんな人にも信頼感という土台を与えてくれて、インナーやアクセサリー、小物で自分らしさを加えることができる。つまり、自分を表現することにおいて最高のキャンパスになってくれます。信頼という基盤があるからこそ、個性はより魅力的に輝きます。AOKIさんの服はベーシックなものも多く、その両立を見事に可能にしてくれる存在だと思います。
【なりたい姿を描くための第一歩は“客観視”】
―なりたい姿が曖昧で、何から始めればいいか分からない方へ。有効な準備法はありますか?
まずは客観的に自分を知ることがおすすめです。信頼できる友人などに、あなたの第一印象を尋ねてみましょう。「他人から見える自分」を把握すると、整えるべき点が明確になります。
さらに効果的なのは、挨拶から自己紹介までの一連の流れをビデオで撮影してみること。少し抵抗があるかもしれませんが、姿勢・表情・話す速度・語尾の癖など、自分では気づかなかった多くの改善点を発見できるはずです。
【清潔と清潔感は別物と考えましょう】
―清潔感や品の良さは、どのような工夫で伝わるのでしょうか?
「自分が清潔」かどうかではなく、「相手が清潔そうと感じる」かどうかが清潔感では大切です。例えば、少し黄ばんでしまった白いシャツは、洗濯して清潔な状態であっても「清潔感」は伝わりにくいですよね。常に「相手からどう見えるか」という視点を持ち、こまめなメンテナンスや適切なタイミングでの新調を心がけるのがおすすめです。
髪型やメイクも同様に、独りよがりな「おしゃれ」になっていないかを客観的に見直すと、相手に届く清潔感につながります。
【人間関係は「思いやり」で育まれる】
―最後に、これから新しいキャリアをスタートする方へメッセージをお願いします。
どうしたら「自分の良さが相手に伝わるか」「相手と気持ちよく過ごせるか」を考える「思いやり」の視点が大切だと感じます。
じつはマナー(manner)の語源を遡ると、ラテン語 manus=手。フランス語 manière を経て、「ふるまい」を意味するようになったと言われています。つまりマナーとは、相手への思いやりを“手”と行動・言葉・装いで伝わる形にすること。伝わってはじめて意味を持ちます。困っている人に手を差し伸べるように、相手への思いやりを行動や言葉、そして服装で表現すること。それがマナーの本質です。
自分らしさと相手への思いやり。その2つが重なる点を見つけて装いを選ぶことができれば、きっとお互いにとって、心地よい関係性を築いていけるはずです。
【ジャケジョ研究所】
https://www.aoki-style.com/feature/jacketjoshi/







