『君の名は。』の重要テーマ。地方の伝統と祭りを紹介した絵本

2017/07/28
N田 N昌

今、世の中的には祭りのシーズンにインしております。日本のお祭りは、夏祭り、つまり7、8月に集中しております。お祭りが作物の豊穣を祈願する習慣から端を発しているためでございましょう。そして、祭りといえば、そう!先日DVDがリリースされた新海誠監督のアニメ映画『君の名は。』でございます。

 

物語の中で、決定的な事件が起こる最重要シーンが「お祭り」でございます。

 

舞台である「糸守」は架空の町ですが、岐阜県の飛騨地方をイメージしていると言われ、多くのファンが聖地巡礼として訪れました。その飛騨古川で古くから伝わるおとぎ話「きつねの嫁入り」を再現する「きつね火祭り」も、映画の影響で大きな注目を集めたそうでございます。

 

しかしでございます。今、地方のお祭りはピンチでございます。地域コミュニティの存続が危ぶまれるなか、将来、どれだけ今ある祭りが残っていえるのか…心配されております。そんななか、絵本の世界ではどうなのか…。実は、お祭りを扱った絵本は少ないのでございます。あまり人気がないジャンルなんだとか…

 

でも、残していきたい、残していかないといけない文化でございます!そこで、今回は、そう大人に改めて感じさせてくれる絵本をご紹介いたします。絵のクオリティ、テキスト共に、大人をターゲットにしているだろう上質なアート系絵本でございます。

 

「新版 祇園祭」(作・絵:田島 征彦)

 

日本の三大祭りのひとつ、千年余りの歴史を持つ祇園祭の壮麗で美しい世界を、祭りを支える京都の町の人たちの心意気を通して描いた作品でございます。そして、この絵本の凄いところは、“型絵染め”による絵本であるところでごさいます。(型絵染めは型紙を使って布地の上に防染糊をつけて染める手法)

 

さらに、第6回世界絵本原画展金牌受賞も受賞しております。

 

ちなみに、田島征彦様は、絵本作家でもあり、染織家としても有名でございます。そして、絵本作家の田島征三様とは同年生まれの双子の兄弟でございます。2人そろって、絵本界の重鎮でございます。

 

さらに、もうひとつ、この絵本をプレゼントする際に使える薀蓄を…

 

当然ながら、おふたりとも苗字は田島ですが、その読み方は征彦様が「たじま」、征三が「たしま」を名乗っておられます。本来の読み方は「たしま」だそうですが、征三様が先に「たしま」で世に出たため、征彦様はそれと区別する意味で「たじま」と改めたそうでございます。

 

こちらの絵本、お値段が2500円+消費税ということで、少々お高いのですが、プレゼントには、ちょうどよろしいかと。大人にプレゼントしても喜ばれるはずでございます。もちろん、その際には、第6回世界絵本原画展金牌受賞作ということ、「型絵染め」であることなど、薀蓄も披露しながらお渡し頂ければ、一層喜ばれるはずでございます。

(文:NN昌)

 

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この記事を書いた人

N田 N昌

放送作家・ナンセンス絵本マニア 「有田とマツコと男と女」「レゴニンジャゴー(アニメ)」 「天才テレビくんMAX」「小島慶子のオールナイトニッポンGOLD」 など、テレビ・ラジオ番組の構成脚本を担当。

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