コントロールソリューションズ株式会社は、東京都港区に拠点を置く。代表の佐々野未知氏は、大手監査法人のマネージャーを経て独立した内部統制の専門家だ。多くの企業では、内部統制は制度対応や書類作成のみで形骸化しがちである。これに対し同社は、現場に深く入り込む「実行支援」によって、実効性のある仕組みづくりを追求。内部統制・内部監査を「経営の武器」に変える、佐々野氏の信念と展望に迫る。

不透明な時代への危機感から公認会計士へ。
公認会計士を目指したのは、バブル崩壊後の就職難に対する危機感からでした。「資格を保有していれば、どこかには就職できるだろう」と考え、大学卒業と同時に資格を取得。その後、KPMGニューヨーク事務所に勤務していた際、米国同時多発テロ(9.11)に遭遇しました。この事件をきっかけに人生を見つめ直し、帰国を決意。その後、都内の地下鉄で友人と偶然再会した縁で、その友人の会社に参画することになりました。
当時は、日本で「内部統制報告制度(J-SOX)」が導入される直前でした。私は米国での実務経験から内部統制に関する知見があったため、事業会社側(実務の場)に身を置く数少ない専門家として、システムベンダーのセミナーなどに登壇。そこで目にしたのは、膨大な書類作成などの作業に追われ、内部統制の実効性が後回しとなってしまっている多くの現場の実態でした。私はこの分野を主軸に据えて独立することを決意。内部統制の専門家として、各企業のニーズに真に合致した仕組みを提案しようと考えました。
自分が提案した仕組みが現場で「うまくはまる」瞬間にこそ、この仕事の醍醐味を感じます。過去には、取引先の経理担当者と共に終電まで決算業務にあたるような、泥臭い現場も経験してきました。現場を経験して初めて理解できることは多々あります。成り行きで始まった道ではありましたが、内部統制という専門性の高い分野で企業の力になれることに、今は大きなやりがいを感じています。

実務に即した支援で、組織の「守り」と「攻め」を両立
当社は、取引先の状況を的確に捉え、実効性が高く過不足のない内部統制の構築を追及しています。例えば、経験の浅い担当者が内部統制に関わると、規定や資料が必要以上に増えてしまい、かえって業務効率を低下させるケースも少なくありません。そうした事態を避けるため、現場の実情に即した「動ける仕組み」を提案しています。現場の人間が納得して運用できなければ、真に実効性のある内部統制は築けないからです。
特に上場準備会社の場合、実務担当者の方は非常に真面目で、少々無理な運用でも「対応できます」と引き受けてしまうことがあります。しかし、担当者の処理能力を超えて、結果的に業務が停滞してしまっては本末転倒です。
そのため、私は「本当に実行可能なのか」を多角的に検証し、必要に応じて、より簡便で効果的な代替案を提示します。現場に無理を強いない誠実なコミュニケーションこそが、結果として強い組織を作ると信じているからです。取引先からは「自社の社員以上に、内情を深く理解してくれている」と評価いただくこともあります。
また、当社の強みは「機動力」と「柔軟性」にあります。内部統制の枠を超え、経理支援や株主総会の運営支援など、組織の細部にまで行き届いたサポートを提供しています。現場を熟知している私たちだからこそ、企業の「守り」を固めつつ、成長のための「攻め」の基盤を構築できる。今後も経営者と現場の双方に寄り添う専門家として、企業の成長を支え続けたいと考えています。

生成AIとアウトソーシングで「属人化」を打破。
内部監査の領域において、IT化と標準化は喫緊の課題です。依然として多くの日本企業では業務が属人化しており、担当者ごとに手方が異なるケースも少なくありません。各担当者が独自にカスタマイズした運用を続けることは、コストの増大を招くだけでなく、組織としての透明性も損なうリスクがあります。このような状況を改善するために、生成AIなどを積極的に活用し、業務の効率化を推進していきたいと考えています。最新テクノロジーによって形式的な作業から解放されることで、本来あるべき「価値を生む監査」が実現できるはずです。
また、外部専門家への「アウトソーシング」を文化として定着させることも大きな目標です。現在、専門知識が十分でない担当者が手探りで評価業務などを行っているケースが散見されます。経理や人事が外部リソースを活用するように、内部監査も専門家の知見を定期的・継続的に取り入れる体制が標準化されるべきです。外部の客観的な視点を入れることは、自社では気づけない強みや課題を明確にする大きな利点となります。
内部統制は企業経営の根幹を支える重要な役割を担っています。2008年のJ-SOX導入以降、その重要性は広く認知されるようになりました。以前はベテラン社員が担う印象が強かった分野ですが、最近では志の高い若手社員が配属され、専門資格の取得に励む方も増えています。内部監査は、企業の成長と共にまだまだ進化できる分野だと確信しています。

コントロールソリューションズ株式会社 https://www.c-solutions.jp/
代表取締役社長、公認会計士・税理士・公認システム監査人
佐々野 未知
■略歴
上智大学経済学部卒業後、KPMGニューヨーク事務所やあずさ監査法人マネージャー職を経て2006年に独立。公認会計士、税理士、公認システム監査人の資格を保有。J-SOX施行前から米国での実務経験を活かし、内部統制・内部監査・リスクマネジメント支援の第一線で活躍を続ける。現在は複数の上場企業で社外取締役も務め、経営的な視点から組織のガバナンス強化に尽力している。







