「売る」よりも「助けたい」。そんな想いから始まった事業が、いま全国規模へと広がっている。株式会社アイスタ代表・穐山泰郎氏は、出張買取という仕組みを通じて、“運べない不要品”に新たな価値を見いだしてきた。さらに中古家電に3年保証を付けるという挑戦により、「中古=不安」という常識を塗り替えようとしている。困りごとを価値へと変える、そのビジネスの本質に迫る。
顧客の一言から始まった転機
株式会社アイスタの原点は、ある顧客の何気ない一言にある。穐山氏がブランド品の買取事業に携わっていた頃、査定の現場で「家電や家具は買い取ってもらえないのか」と問われた。この声は一度きりではなく、複数の現場で相次いで寄せられた。そこには、大型家電や家具を「売りたいのに運べない」という、生活者にとって切実な課題があった。
引っ越しや遺品整理の場面では、不要品が一度に大量に発生する。しかし、それらを自力で運び出すことは難しく、「まだ使えるのに手放さざるを得ない」という状況も多い。穐山氏は、買取という仕組みが十分に生活に寄り添えていない現実に気づかされたのだ。
前職の飲食業でマネージャーとして培った「おもてなし」の精神を持つ穐山氏は、この“困りごと”に対して「それなら、自分たちが取りに行けばいい」と考えた。こうして生まれたのが出張買取サービスである。単なる仕入れではなく、「人が動けないなら企業が動く」という発想から生まれた仕組みだ。
特徴的なのは、“運べない物ほど価値がある”という逆転の発想だ。大型家電や家具は敬遠されがちだが、実際にはニーズがあり、適切に流通させれば価値を生む。この視点が事業の核となり、現在では年間10万件規模の依頼に応えるまでに成長した。不用品を「処分」するのではなく、次の人へとつなぐ。この循環こそが、同社のビジネスの本質である。

使い続けられる安心を届ける
リユース市場において長年根強いのが、「中古は壊れやすい」という不安だ。穐山氏は、この固定観念そのものを変えることに挑んでいる。その象徴が、中古家電に付帯させる“3年保証”という仕組みだ。業界では半年程度の保証が一般的とされる中で、この長期保証は極めて異例の取り組みである。
この異例の保証を支えるのが、買取から販売までを自社で一貫して行う体制だ。全国からの出張買取によって直接仕入れた商品を、自社で厳格に管理・検品することで、故障リスクを最小限に抑えている。商品の状態を細部まで把握できる構造が、高い品質の担保を可能にしているのだ。
また、保証の考え方も特徴的だ。修理ではなく「同等品との交換」を基本とし、「冷蔵庫なら冷やす」「洗濯機なら洗える」といった“機能そのもの”を保証する。この発想により、ユーザーは本来の用途として問題なく使える状態を常に享受できる。
この仕組みによって、ユーザーは中古品であっても安心して生活必需品を選ぶことができる。特に新生活を始める若年層や海外から来た人々、公的支援を受ける人々にとって、価格と安心を両立した選択肢となっている。単なる低価格ではなく、「安心して使い続けられる」という価値を付加することで、中古市場の新たな基準を提示している。

リユースを社会インフラへ
穐山氏が見据えるのは、リユースを社会に欠かせないインフラへと昇華させる未来だ。現在は出張買取とEC販売を組み合わせたモデルで全国展開を進めているが、今後は加盟店ネットワークを活用し、3年保証付き中古家電をより多くの地域へ届ける体制を構築していく。地域ごとの流通網を整えることで、「どこに住んでいても安心して中古を選べる環境」を実現しようとしているのだ。
また、行政との連携も視野に入れている。生活に困窮する人々や新たに日本で暮らし始める人々に対し、安心できる家電を安価に提供する取り組みを強化していく考えだ。これは単なる市場拡大ではない。生活インフラの一部として機能させることで、社会課題の解決に直結するアプローチとなる。
さらに、出張型サービスの強みを活かし、水道トラブル対応や買い物代行といった生活支援領域への展開も計画している。顧客のもとへ直接足を運べるという特性は、リユースにとどまらず、日常のさまざまな困りごとに応える基盤となり得る。「困っている人のもとへ行く」という原点は、どこまでも変わらない。
捨てられるはずだったモノに価値を見いだし、人と人をつなぐ。その積み重ねが、持続可能な社会を支える基盤となる。穐山氏の挑戦は、リユースの枠を超え、暮らしに寄り添う新たな社会のかたちを描き始めている。

中古家電専門店 リサイクルショップアイスタ
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