
芸能活動と美容室・EXCEL(エクセル)の経営という二軸でキャリアを積む井口綾子。祖父母が創業し、父がチェーン展開した老舗に関わりながら、採用・育成・新規事業の現場で挑戦を続けている。現在は、メディアの第一線で培った経験を裏方の視点へと反転し、スタッフの夢を叶える仕組みづくりにも挑戦しているという。新しいことに挑戦し続ける姿勢の源には一体どういった想いがあるのか。経営参画を決めたきっかけから、担当業務、今後の展望、さらに美容業界の1人として取り組んでいる美容習慣についても語ってもらった。
――現在は芸能活動と、美容室・EXCEL経営の二軸で活動されています。まったく違う業界のようにも見えますが、なぜ経営に関わるようになったのですか?
祖父母が開業し、父がチェーン展開してきた美容室・EXCELは、これまで多くのスタッフやお客様に支えられて成長してきました。そんなEXCELに、少しでも貢献したいという想いから、今は父の背中を見ながら経営を学び、実務を通じて経験を積んでいます。
――そうだったんですね。経営に関わろうと思ったきかっけは何だったのでしょうか。
小さいときからの夢だった芸能のお仕事は大学4年の頃から始めたのですが、一方で父や祖父母の背中を見て、美容師という仕事のすばらしさや会社・スタッフへの愛情を強く感じてきました。EXCELは今年で創業65年を迎えますが、その歴史を100年、そしてその先も続くブランドにしていきたいという想いから、27歳のタイミングでEXCELに入ることを決めました。

――正直なところ、20代後半に差し掛かり「次のステップに進みたい」という気持ちもありましたか?
父から「いつかEXCELを手伝って欲しい」と言われていたのは事実です。ただ、当時の私は自分に何ができるのかわからず、ビジョンがないのに「娘だから」という理由だけで入るのは失礼だと思っていました。でも、27歳になる少し前、外での仕事を通して「私にもEXCELに還元できることがあるかもしれない」と実感できるようになり、入る決心がつきました。
――EXCELで担当されている業務を教えてください。
今の時期は、主に求人です。少子化で美容学生が減る一方、美容室はコンビニの5倍あると言われ、人材の取り合いになっています。多くのサロンは即戦力の中途採用に力を入れますが、当社はあえて新卒採用のみに絞っています。それはEXCELらしい「最高の技術と最高のハートを持った人を一人一人愛情を持って育てる」という理念があるからです。北海道から沖縄まで美容学校を回り、10〜11月から翌年3〜4月にかけて説明会で会社の良さを直接伝えます。そして、その場でお互いに「良い」と思えた学生との出会いを大切にしています。
――実際に各地へ足を運ぶのは大変ですね。具体的にはどのような人材を求めているんですか?
一番大切なのは「お客さまをきれいにしたい」という気持ちや美容への愛情があるかどうか。美容師は下積みが必要な職人の仕事なので、辛い時期もあると思います。その時期を乗り越えるには、美容への強い愛情や覚悟が不可欠です。新卒採用のみなので、私たちも家族のように愛情を持って接したい。その愛情をしっかり受け止め、力に変えてくれる人を探しに行く、という感覚です。
――ご自身が芸能活動をされていた経験が、EXCELに活かせていますか?
はい。基本はサロンワークですが、大規模ファッションショーのバックステージに入ってもらう機会を設けています。美容室でありながら、ヘアメイクが好きな若い人の夢もかなえられる環境にしたい。スタッフの夢をかなえることが、1番の主軸です。「他ではできない経験もEXCELならやれる」という実感を持てる場にしたいです。

――表舞台に経っている経験が活きることもあるのではないでしょうか。
タレントとして前に出ていたときは、事務所やマネージャーさんが支えてくれていました。今は逆で、美容師さんがタレントで、私がマネージャーという感覚です。前に出る人の気持ちも、支える側の気持ちもわかるようになりました。その2つの気持ちがわかることは、美容室の運営にも、芸能の仕事にも、大きな学びになっています。
――しかし、業務の幅が広いだけにご苦労もあるのでは。
「苦労」というほどではありませんが、自分の取り組みが本当にいい方向に向かっているのか、ということは日々、自問自答します。求人では「来てくれそう」と思っていた方と急に連絡が取れなくなることもありますし、入社後に急に辞めてしまうケースもあります。私はまだ歴が浅いので、そのたびに新鮮にショックを受けてしまうんですよね。人を大切にしたいと思っているからこそ「もっとできることがあったのでは」と考えてしまいます。
――かなりお忙しいと思います。今はまさに季節の変わり目ですが、こういった時期に美容面で特に心がけることがあれば教えてください。
体調も肌も揺らぎやすい時期ですよね。気温差が大きいので、まずは体調管理を徹底しています。体調を崩すと肌も乾燥しやすくなったり、ニキビができやすくなったりしますから。あと、サプリは美容皮膚科で処方されたビタミンCやB、カリウムなどに加えて、Refeelas(リフィーラス)というNMNサプリを今年の1月頃から飲んでいます。肌が乾燥しやすく、夏は強い日焼け止めを使う分、外側は保湿されていても内側が乾く感じが出やすかったのですが、今年はそのインナードライの感覚が少なく、肌の調子がいいと感じています。これから冬の乾燥シーズンになるので、飲み続けてどう変化するのか楽しみです。
――いろいろなサプリを活用されているんですね。
はい。私の美容のモットーは「5年後、10年後に今の自分に感謝されるような美容習慣をしたい」なんです。今はシャンプーを作っているんですが、それも同じ想いで作っています。やっぱり、老いがきて髪が細くなってからでは取り戻せないので、20代の今から健康な髪を作っておく。肌もまったく同じですね。この考えのもと、サプリメントを飲み続けています。

――運動面で取り組んでいることは何かありますか?
実は、以前は15kgほど太っていた時期がありました。痩せると運動をやめてしまいがちでしたが、今は「痩せている時期にインナーマッスルをつけて太りづらい体をつくる」という発想に切り替えたので、ピラティスとパーソナルトレーニングに通っています。少なくともどちらか週1回、できれば両方を週1ずつを意識して、未来の自分への投資として続けています。
――これからの変化が楽しみです。最後に芸能とEXCEL、それぞれの展望をお聞かせください。
美容室では、まだ学んでいる最中です。ただ、この約2年で美容師という職業のすばらしさ、美容の持つ力を心の底から感じました。「EXCELを選んでよかった」とスタッフに思ってもらえる経験を増やし、施術を受けるお客さまにも「大切な日の準備をEXCELでしてよかった」と感じていただけるサロンにしたい。そして、これまでのEXCELにはなかった新しい風をどんどん入れて、もっといい会社にしていきたいと思います。
芸能活動では、経営に活かせる場でのお仕事が増えてきています。仕事を通じて勉強できている感覚があり、芸能の仕事をしていなければ出会えない方々も多くいらっしゃるので、そこでしっかり吸収して学んでいきたいです。ここで得た知見をEXCELに生かし、逆にEXCELでの経験を芸能界にいい形で還元する。この2つが相乗効果になっていくのが理想です。
