
総合エンジニアリング企業のタマディックは2026年6月2日、愛知県豊田市に新拠点「タマディック 豊田オフィス Mobius Park(モビアスパーク)」を開設した。建築家・坂茂氏が設計を手掛けた同施設は、日本最大級のオフィスサウナを備える“健康経営拠点”として整備されたものだ。
開所式では、エンジニアの成長と健康、チームづくりを軸にした「Well Engineer Life(ウェルエンジニアライフ)」構想を発表。働く人のウェルビーイングと企業成長の両立を目指す、新たな挑戦が始まった。
エンジニアの人生を豊かにするための新拠点

自動車、航空宇宙、FA、ロボット分野などで設計開発や生産技術を担うタマディックは、創業以来、製造業の現場に深く入り込みながらエンジニアリングサービスを提供してきた。
同社が近年力を入れているのが「健康経営」だ。2021年には坂茂氏設計による「タマディック名古屋ビル」を開設し、日本初となるフィンランド大使館公認のオフィスサウナ「LUOVA SAUNA」を導入。社員同士の交流や健康増進を支援する環境づくりを進めてきた。

開所式で登壇した代表取締役社長の森實敏彦氏は、この5年間で事業規模が約1.5倍に成長し、一人当たりの生産性も約25%向上したと説明。その一方で健康診断の数値も改善し続けていると語った。
「働く人が健康で前向きに挑戦でき、自身の成長を実感できることは、企業成長を支える戦略であり基盤です」
こうした考え方をさらに発展させたのが、今回開設されたMobius Parkである。
「All for Well Engineer Life」をコンセプトに設計

Mobius Parkのコンセプトは「All for Well Engineer Life(すべては良いエンジニア人生のために)」。
単に働きやすいオフィスをつくるのではなく、エンジニアが技術を磨き、仲間とともに成長できる環境づくりを目指している。その実現に向け、同社は3つの価値を掲げる。
一つ目は「Well Engineering」。技術者が挑戦を続け、ものづくりに没頭できる環境を整えること。二つ目は「Well-being」。健康的かつ自分らしく働ける環境を提供すること。そして三つ目が「Well Team」。個人ではなくチームとして学び合い、成長できる組織をつくることだ。
開所式では、これらの考え方をまとめた「ウェルエンジニアライフ宣言」も発表された。タマディックは今後、高付加価値なエンジニアリングとウェルビーイングを両立する企業として、技術と創造力で未来社会に貢献すると宣言している。
サウナ、ジム、庭園を備えた“健康経営拠点”

Mobius Parkは、執務棟「M1-House」、ワークショップ棟「M2-Lab」、健康棟「Wellness Wing」の3棟で構成される。なかでも象徴的なのがWellness Wingだ。

日本最大級のオフィスサウナをはじめ、ジムやオープンキッチンを備え、社員が心身のコンディションを整えながら働ける環境を整備。
今後は豊田市周辺で働くエンジニア向けにサウナやジムを開放するイベントも予定しており、健康づくりを地域へ広げていく考えだ。

建築には県産材を積極的に採用。愛知県副知事の古本伸一郎氏は祝辞の中で、木材利用が脱炭素社会の実現につながると説明し、「木質化を進めるうえで非常に象徴的な施設」と評価した。
また、ワークショップ棟には大型設備の搬入も可能なスペースを設置。ものづくりや技術研修の拠点として活用されるほか、社員同士のコミュニケーションを促す中庭も整備される予定だ。
建築家とプラントハンターが描いた“分けない空間”

開所式では、建築家の坂茂氏、プラントハンターの西畠清順氏、森實社長によるトークセッションも行われた。テーマは「タマディックが目指す、新たな働く環境」だ。

Mobius Parkの特徴は、執務空間と健康施設、自然環境を一体的に設計している点にある。
坂氏はこれまでもタマディック名古屋ビルの設計を担当しており、今回のプロジェクトでも木材を多用。温かみと開放感を感じられる空間づくりを実現した。

一方、西畠氏が手掛ける庭園は、建物を彩るためだけの緑地ではない。オフィスやワークショップ棟と自然につながり、働く人を包み込むような環境として設計されている。今後完成予定の中庭には交流スペースも設けられ、人が自然と集まる場となる見込みだ。
建築、自然、健康。これらを別々のものとしてではなく、一つの環境として捉える発想こそが、Mobius Parkの大きな特徴と言えるだろう。
豊田から発信する新しい働き方

開所式には愛知県副知事の古本氏に加え、豊田市長の太田稔彦氏も出席した。
太田市長は祝辞の中で、タマディックの取り組みを「製造業の現場をより良くしようという挑戦」と評価。「Well Engineer City」という発想にも触れながら、地域全体へ波及する可能性に期待を示した。
タマディックが新拠点を構えた豊田市は、日本を代表するモビリティ産業の集積地である。

森實社長は「お客様とより近い関係を築き、モビリティ産業の発展に深くコミットしたい」と語り、地域とともに成長していく決意を表明した。
人材不足や働き方の多様化が進む中、働く人の健康や成長をどう支援するかが企業競争力を左右する時代になりつつある。Mobius Parkは、その問いに対するタマディックなりの答えと言えるだろう。
まとめ

出社回帰の流れが進む一方で、企業には「なぜ出社するのか」という新たな価値づくりが求められている。
タマディックが豊田市に開設したMobius Parkは、その答えを“健康経営”という形で具現化した施設だ。日本最大級のオフィスサウナやジム、交流空間、庭園を備えた環境は、エンジニアの成長と健康を支えるために設計されている。
社員だけでなく地域のエンジニアにも開かれたこの拠点は、ものづくりのまち・豊田から新しい働き方を発信する存在となりそうだ。
人材獲得や定着が課題となる製造業において、同社の挑戦は今後の企業経営やオフィスのあり方を考える上で注目すべき事例といえるだろう。
タマディック公式サイト:https://www.tamadic.co.jp/







