M&Aを経験した10人の経営者たちの「大きな決断」話題のビジネス書とは

2020/01/27
佐藤 勇馬

M&A仲介の国内大手「M&Aキャピタルパートナーズ」の代表取締役社長・中村悟氏が、昨年12月に中小企業経営者に向けた書籍『M&Aで創業の志をつなぐ』(日経BP社)を出版。M&Aを経験した10人の経営者たちの「大きな決断」がリアルな言葉で描写され、実務にも役立つ読み応えたっぷりのビジネス書として話題を呼んでいる。

中小企業庁の試算によると、2025年には6割以上の経営者が70歳を超え、全体の約3分の1にあたる約127万社が後継者不在、累計650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる危機に陥るといわれている。

中小企業経営者にとって、M&Aは事業承継の選択肢のうちのひとつであり、譲渡側にとっても譲受側にとってもメリットが多い手法。近年はM&A件数が増加傾向にあるものの、それ以上に廃業が増えており、中小企業経営者のM&Aに対する十分な理解や具体的な検討はなかなか進んでいないという。

同社は「この1冊が企業の将来を考える選択肢としてM&Aに関心を持っていただき、M&Aを考えている方や決断を迷われている方の一助となることを願い、刊行に至りました」と出版の経緯を明かしている。

同書に登場する経営者10人は、そば店やブライダルプロデュース、保育・教育サービスなど異なる事業を展開。地域や経営規模も異なる彼らが、それぞれ企業の維持と成長につなげるため、事業継承提案力に強みを持つ「M&Aキャピタルパートナーズ」と共に複数の選択肢を検討し、最終的にM&Aを決断する。その経緯や現在の姿がリアルに綴られているのが本書の特徴だ。

さらに、中村氏と元メジャーリーガーの斎藤隆氏との対談形式で、「M&Aを提案する前に必ずする3つの質問」をテーマに、M&A市場の現状やネガティブなイメージを持たれることもある仲介の現場を分かりやすく紹介している。

M&Aをリアルに知ることができる本書は、経営者の高齢化や後継者不在が進んでいく今後の時代において中小企業経営者にとっての必読の書となりそうだ。

■著者:中村 悟/M&Aキャピタルパートナーズ代表取締役社長

1973年福岡県生まれ。工学院大学工学部を卒業後、大手ハウスメーカーの積水ハウスに入社。設計業務を経て、営業業務に8年間従事。顧客の企業オーナーと接する中で、増え続ける中堅・中小企業の後継者問題を認識。その解決のため、未経験ながら2005年にM&Aキャピタルパートナーズ株式会社を創業。2度の倒産危機を乗り越え13年11月に東証マザーズに上場。14年には東証一部に市場変更を果たす。16年にはM&A仲介の老舗レコフ及びレコフデータと経営統合を果たすなど、自社でもM&Aを経験している。

 

この記事が気に入ったらいいね!しよう

佐藤 勇馬
この記事を書いた人

佐藤 勇馬

新宿・大久保在住のフリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にスカウトされて以来、芸能、事件、ネットの話題、サブカル、漫画、プロレスなど幅広い分野で記事や書籍を執筆。著書に「ケータイ廃人」(データハウス)「新潟あるある」(TOブックス)など。 Twitter:ローリングクレイドル

佐藤 勇馬が書いた記事

あなたへのおすすめ

カテゴリー記事一覧

pagetop