アドレスホッピング、デュアルライフなど…ミレニアル世代は新たな暮らし方に柔軟

2019/02/20
佐藤 勇馬

ジャパンネット銀行は、ミレニアル世代およびその親世代を対象とした「住まいと暮らし」に関する意識・実態調査を実施した。世代による意識のギャップや、新たな暮らし方に柔軟なミレニアル世代の実像が浮き彫りになった。

(調査期間:2019年1月24日~1月28日/ミレニアル世代…18~25歳、有職者男女300名・親世代…18~25歳の子どもを持つ40~59歳、有職者男女300名)

ミレニアル世代「飲食店の多さ」「都市部であること」

ミレニアル世代とは、2000年以降に成人あるいは社会人になる世代を意味するとされ、日本国内においては18~25歳の若年層を指して用いられるケースが多い。ミレニアル世代は、今後の社会や消費の在り方に大きな影響を与える世代として注目されている。

同調査では、はじめにミレニアル世代および親世代に「居住環境を決めるうえで重視すること」について質問。「買い物に便利な立地であること」(ミレニアル世代:79%、親世代:80%)、「最寄りの駅やバス停から近いこと」(ミレニアル世代:65%、親世代:68%)のツートップは共通して高かったものの、世代による違いも見られた。

ミレニアル世代では「飲食店が多いこと」が32%と約3人に1人にのぼったが、親世代で同じ回答をした人はわずか7%。「都市の中心部であること」と回答したミレニアル世代は33%だった一方、親世代では17%にとどまっている。逆に、親世代は「自然災害に対して安全な立地であること」と回答した人が53%と半数以上だったが、ミレニアル世代においては43%で10ポイントの差が生じている。

続いて「住まいを決めるうえで重視すること」について尋ねると、「住宅の性能がよいこと」(ミレニアル世代:69%、親世代:66%)は両世代で最多となったが、「住宅の内装が好みである(または自分で選べる)こと」を選んだ人の割合はミレニアル世代が約6割(56%)であるのに対して親世代は47%、「気軽に住み替えができること」の割合はミレニアル世代が約6人に1人(16%)で親世代が5%と、それぞれ10ポイント前後の意識の差があった。

パートナーと暮らすタイミングは?

「暮らし方」の調査では、「パートナーとは、結婚する前に同居をしましたか(または同居したいと思いますか)?」と質問。ミレニアル世代は「結婚する前に同居した(または同居したいと思う)」が57%で多数派となったのに対し、親世代は「結婚する前に同居しなかった(または同居したいと思わない)」が79%という結果に。若者世代は結婚前の同棲に抵抗がない人が多いが、親世代は「一緒に住むのは結婚してから」という意識が強いことが分かった。

その一方、ミレニアル世代では「結婚前後問わず同居はしない、またはパートナーはいらない」と答えた人も約3割(28%)。パートナー自体を不要とする人も含め、同居を望まないミレニアル世代も決して少なくないようだ。

「25歳の時点で実家暮らしをしていましたか(またはするつもりですか)?」という質問では、親世代は「実家暮らしをしていた」が52%、ミレニアル世代は「実家暮らしをしていなかった(またはしていない・しない予定)」が57%が最多に。ミレニアル世代は親世代以上に独立心が旺盛であることが浮き彫りになったといえそうだ。

新たな暮らし方に柔軟なミレニアル世代

「持ち家や賃貸などにとらわれない、新しい暮らし方に興味はありますか?」という質問では、ミレニアル世代の約6割(57%)が「ある」と回答。親世代で同じ回答をした割合は37%となっており、世代による暮らしへの価値観の違いがうかがえる結果となった。

さらに、ミレニアル世代・親世代それぞれに今注目を集めつつある「新しい住まい方・暮らし方」についての興味・関心を調査。
「自分の同世代に興味を持たれそうだと思う住まい方・暮らし方」を選んでもらったところ、「アドレスホッピング」(固定の家に住まうことなく様々な場所に住む暮らし方)はミレニアル世代は31%で親世代は10%、「デュアルライフ」(2つの地域に拠点をもった生活 ※都市と田舎、国内と海外など)はミレニアル世代が22%で親世代は13%、「ソーシャルアパートメント」(キッチンやリビングなどを共用部分として利用し、各個室をそれぞれのプライベート空間として利用する住まい)はミレニアル世代が29%で親世代は9%といった結果に。

いずれの項目においてもミレニアル世代が親世代の回答を上回り、若い世代は「住まい」や「暮らし」をより柔軟に捉えている様子がうかがえた。特に「アドレスホッピング」は約3人に1人が「同世代に興味を持たれそう」と答えており、今後ミレニアル世代の間で広がりを見せていきそうだ。

また、ミレニアル世代に「住まい・暮らしに対する価値観」を質問したところ、「数年後に自分がどこに住んでいるかはわからない」(72%)、「土地や家の価値よりも、その土地や家で何ができるのかのほうが重要だと思う」(71%)、「自分らしくカスタマイズした家に住みたいという気持ちが強い」(65%)といった項目が上位となった。

この結果を受けて、同調査では「住まいを『モノ』ではなく『コト』として捉えているミレニアル世代の考え方が浮き彫りになった」と指摘。今後は「賃貸or持ち家」「一軒家orマンション」といった二者択一におさまらない、新しい住まい方・暮らし方を体現するミレニアル世代がますます増えていくのではないかと分析している。

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佐藤 勇馬
この記事を書いた人

佐藤 勇馬

新宿・大久保在住のフリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にスカウトされて以来、芸能、事件、ネットの話題、サブカル、漫画、プロレスなど幅広い分野で記事や書籍を執筆。著書に「ケータイ廃人」(データハウス)「新潟あるある」(TOブックス)など。 Twitter:ローリングクレイドル

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