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パリオリンピックの代表選考大会、ワールド・スケートボード・ツアー(WST)の第2フェーズとなる、オリンピック予選シリーズ(OQS)パーク2024上海大会の決勝が5月19日に中国・上海で開催され、東京オリンピック銀メダリストの開心那(15歳)が準優勝、東京オリンピック金メダリストの四十住さくら(22歳)が3位で表彰台に上がり、長谷川瑞穂(13歳)が5位に入賞した。
優勝は日本人の母を持つ、オーストラリアのアリサ・トルー(14歳)となった。
3月に行われたドバイ大会の女王、スペインのナイア・ラソ(15歳)は左腕のケガのため、予選のみの出場。
東京オリンピック銅メダリストで2022年度の世界女王、イギリスのスカイ・ブラウン(15歳)は今年4月上旬に膝内側側副靭帯断裂(MCL)のケガで今大会を欠場。
医師からは全治2か月と診断されており、復帰戦は6月のブタペスト大会になるとのこと。
本人のインスタグラムでは「怪我を乗り越え、より強くなってパリオリンピックで金メダルを取りに行く」といった投稿をしており、次の大会での活躍が期待される。
昨年の世界選手権で準優勝を飾った、日本の草木ひなのは悔しい準決勝敗退となった。
ラン2本目と3本目ではフルメイク(ノーミスで滑りきること)のランを見せるも、わずかに8位のオーストラリア、ルビー・トルーに0.2点届かず、惜しくも9位でフィニッシュ。
次のブタペスト大会での活躍に期待したい。
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パーク男子の優勝はアメリカのテイト・カリュー(19歳)、準優勝は東京オリンピック金メダリスト、オーストラリアのキーガン・パーマー(21歳)、3位は東京オリンピック銅メダリスト(ストリート種目)で、今大会のストリート種目でも優勝しているアメリカのジャガー・イートン(23歳)となった。
日本勢で唯一OQSに進んだ永原悠路(18歳)は予選を13位で突破し、準決勝に進出したが、準決勝ではランを3本ともフルメイクすることができず15位で終わった。
【五輪出場争いもいよいよ佳境!OQS】
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パリオリンピックスケートボードは1種目につき22名(各種目22名、その内ホスト国枠とユニバーサリティ枠が1枠ずつ確保されている)までの出場が予定されているが、1ヵ国最大3人までの出場となるため、オリンピックランキングで上位に入っていたとしても国内選手との上位争いも重要になってくる。
今大会はWSTフェーズ1で勝ち残った44人(各国6人まで)が進むフェーズ2となる大会(次回は6月にハンガリーのブタペストで開催が予定されている)。
今大会からオリンピックに出場するためのポイントもフェーズ1とは比べ物にならない。
フェーズ1は世界選手権優勝で8万ポイント、2位で6万4千ポイント、3位で5万4千400ポイント(以下100位まで続く)だったが、フェーズ2優勝では21万ポイント、2位で16万8千ポイント、3位で14万2800ポイント(以下44位まで続く)と1発逆転でのパリオリンピック出場のチャンスがある。
出典:WORLD SKATEホームページより
https://www.worldskate.org/skateboarding/about/regulations/category/554-olympic-qualifying-system.html
OQSに進んだ日本人の順位は以下の通り
※()内は大会前と大会後の順位
パーク男子
永原悠路(13位→14位)
パーク女子
開心那(1位→1位)四十住さくら(5位→3位)草木ひなの(2位→4位)長谷川瑞穂(17位→9位)菅原芽衣(21位→22位)中村貴咲(23位→25位)
※今大会の結果を受けて開心那はポイント的には、残る1戦を残して事実上パリオリンピック代表入りが確定したとのこと。
【パーク種目のルールと今後の予定】
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スケートボードのパーク種目は、45秒間自由にコース内を滑りながら技を披露するランを3本行い、その内のベストスコアで順位が決まる。
技を失敗した時点で試技はストップとなり、採点は100点満点で小数点以下2桁まで。
パリオリンピックに出場するためには、6月24日時点でオリンピック世界スケートボードランキングに入っている必要があり、東京オリンピックと同じくストリート(男女)とパーク(男女)の4種目が行われ、各種目22名ずつ(合計88名)出場できる。
※1カ国1種目につき、最大3人までの出場。
オリンピックならではなのが5大陸(アフリカ・アメリカ・アジア・ヨーロッパ・オセアニア)枠が確保されているところ。
1つの大陸から、選手がオリンピックランキングの上位に入れず、出場枠を取れなかったとしても、その大陸の代表選手のランキング上位の選手が出場できるため、世界的な大会ではなかなか見る事のできないような国の選手も、五輪の大舞台で見ることができる。
今後は6月20〜23日にブダペスト大会が予定されており、最終的なオリンピック世界スケートボードランキングをもとにパリオリンピックに出場できるスケーター(各種目22名)が決定する。
パリオリンピックの女子パークは8月6日に、男子パークは8月7日に開催が予定されている(ストリートは7月27日と7月28日)。
残り約2か月後に迫ったパリオリンピックに出場するのは一体誰になるのか!?
6月のブタペスト大会も大注目の一戦となる。
【ミスのない完璧な滑り/開心那】
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東京オリンピック銀メダリストで昨年の世界選手権女王、開心那は予選を首位で、準決勝を2位で決勝へ進出。
決勝では1本目のランからフルメイクの滑りを見せ、88.04点を獲得し2位につけると、2本目ではさらに難易度を上げたランを見せた。
フロントサイドとバックサイド2種類のノーズグラインド、バックサイドクレイルスライドといったスタイリッシュなトリックを見せると、空中でデッキを縦に1回転させる技、キックフリップインディをメイク。
その後はステイルフィッシュディザスターなど、開ならではのトリックで90.16点を獲得。
優勝したアリサ・トルーには及ばなかったものの、パリオリンピックのためにまだまだ見せていないトリックがありそうな雰囲気を存分に漂わせたランを見せつけ、見事準優勝に輝いた。
今大会、開のランで特筆すべきはメイク率の高さだった。
予選、準決勝、決勝を通してミスしたのは予選の3本目のランのみで、他は全てフルメイクという驚きのメイク率はスケートボードという競技の性質上、とてつもなく大きな武器となる。
ここからパリオリンピックではさらにどんなトリックを見せてくれるのか、あまりの安定感にメダルの色にも期待せざるを得ない。
【怪我を乗り越え表彰台/四十住さくら】
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準決勝5位で決勝に進出した四十住さくらは、決勝1本目のランでは予選、準決勝では見せてこなかったヒールフリップインディを狙うもミス。
しかし、2本目のランではこれを見事にメイクし、さらに今大会で初披露となるファストプラントバリアルという技を見せる。
最後にはフロントサイドブラントを完璧に決め、フルメイクの滑りを披露すると87.02点を獲得し3位につけた瞬間、思わずガッツポーズを見せた。
3本目にはさらなる大技、オーリー540に挑戦するもミスしてしまったが、去年5月に負った右膝後十字靭帯断裂から見事な復活での表彰台入りを見せてくれた。
OQS上海パーク2024女子決勝の映像はこちらから見れます
https://olympics.com/ja/video/skateboarding-olympic-qualifier-series-2024-women-s-park-final-shanghai
【OQS上海パーク2024女子リザルト】
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1位 アリサ・トルー(オーストラリア)-91.16
2位 開 心那(日本)-90.18
3位 四十住 さくら(日本)-87.02
4位 イサドラ・パチェコ(ブラジル)-86.77
5位 長谷川 瑞穂(日本)-86.20
6位 ドラ・バレラ(ブラジル)-85.26
7位 ブライス・ウェットスタイン(アメリカ)-83.78
8位 ルビー・トルー(オーストラリア)-28.00
【OQS上海パーク2024男子リザルト】
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1位 テイト・カリュー(アメリカ)-93.33
2位 キーガン・パーマー(オーストラリア)-92.30
3位 ジャガー・イートン(アメリカ)-91.61
4位 キエラン・ウーリー(オーストラリア)-90.19
5位 ペドロ・バロス(ブラジル)-88.96
6位 ギャビン・ボッガー(アメリカ)-86.58
7位 オウグスト・アキオ(ブラジル)-73.04
8位 ルイジ・チニ(ブラジル)-53.13
文・小嶋勝美
スケートボードに関する情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家兼スケーター。10年間のお笑い芸人生活を経たのち、放送作家をしています。