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パリオリンピック予選を兼ねた大会「ワールド・スケートボード・ツアー(WST)パーク2024ドバイ大会」の決勝が3月3日にUAEのドバイで開催され、女子は開心那(15歳)が準優勝、WST決勝初進出となった長谷川瑞穂(13歳)が3位でそれぞれ表彰台に上がり、四十住さくら(21歳)が6位に入賞した。
今大会前まで長谷川はオリンピックランキング74位だったが、今大会見事に3位に輝き、ランキングも17位に浮上。日本勢でも4位につけ、一気にオリンピック代表争いに名乗り出た。
優勝はスペインのナイア・ラソ(15歳)、WSTでは過去の東京オリンピック予選ツアーも含め、スペイン勢初の優勝となる快挙。
前回2023年の10月に行われた世界選手権で準優勝だった、草木ひなのは準決勝まで勝ち進んだが、怪我のため棄権し16位。
オリンピックランキング3位で日本人の母を持つスカイ・ブラウン(イギリス)はサーフィン代表としてもパリ五輪出場を目指しており、サーフィンの国際大会があったため今大会を棄権している。
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男子は永原悠路(18歳)が準決勝敗退となったが10位でフィニッシュし、オリンピックランキング13位につけている。
優勝は唯一の90点台をマークしたスペインのダニー・レオン(29歳)、今大会スペイン勢によるダブル優勝で幕を閉じた。
今大会は、世界選手権王者でもあるアメリカのギャビン・ボッガー(今大会2位)が素晴らしいランを見せたにも関わらず90点超えしなかった点や、同じくアメリカのテイト・カリュー(今大会6位)が1本目より難易度を上げたランを3本目に見せたにも関わらず(1本目と比べ、ラストトリックが入っていなかった点はあるが)、得点が4点以上も下がるなど、個人的にはジャッジに疑問が残る場面があった。
さらにもっと個人的なことを言わせてもらうと、ギャビンは3本ともほぼ技の構成を変えずに全てフルメイク(ノーミスで滑りきること)のランを見せており(1本目の50-50グラインドを2本目以降はKグラインドに難易度を上げたが大きな変化ではない)3本目も完璧なランを披露したが2本目より得点は下回った。
これは「自分の滑りこそが優勝のルーティンである」と主張しているようにも思え、北京五輪の際の平野歩夢選手を思い出した(3回の試技のうち1本目でミスがあったが、2本目と3本目は同じルーティンを行い3本目で完璧な試技を見せて逆転優勝し金メダルを獲得)。
このアメリカ勢2人と、優勝したダニー・レオンのトリック構成で大きな違いとなるのはレインボーレールと呼ばれる半円のレールを攻略したどうかになる。
ダニーはレインボーレールで、フロントサイドスミスグラインドとフロントサイドノーズブラントスライドの2トリックを行なっているが、ギャビンとテイトはこのレインボーレールではトリックを行なっていない。
レインボーレールでのノーズブラントスライドがかなりの高得点だとしても、点数の開きが気になる結果だったが、やはりパーク全体のセクションを使うという部分が、ジャッジのポイントになるということが明確になった大会でもあったように思う。
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今大会はパリオリンピック予選ツアーのフェーズ1最後の大会となり、今後はオリンピックランキングをもとに44人(各国最大枠6人まで、開催国枠などオリンピックならではの選考基準もあるため、一概にランキングの上位44人とは限らない)が選出され、フェーズ2でパリオリンピックへの出場権を競うことになる。
パーク種目はフェーズ1で順位の高かった3大会分、ストリート種目は4大会分のポイントを持ち越してフェーズ2に進むことになる。
フェーズ2は現在5月16〜19日に上海大会、6月20〜23日にブダペスト大会が予定されており、最終的なオリンピック世界スケートボードランキングをもとにパリオリンピックに出場できるスケーター各種目22名が決定する。
今回の結果により女子パークのオリンピックランキング1位は開心那、2位が草木ひなの、3位にイギリスのスカイ・ブラウンと上位3人の順位は変わらず、日本勢は5位に四十住さくら、17位に長谷川瑞穂、21位に菅原芽依(今大会9位)、23位に中村貴咲(今大会32位)と続いている。
【パリオリンピック・スケートボードのルールと出場枠】
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スケートボードのパーク種目は、45秒間自由にコース内を滑りながら技を披露するランを3本行い、その内の最高得点で順位が決まる。
技を失敗した時点でストップとなり、採点は100点満点で、小数点以下2桁まで。
パリオリンピックに出場するためには、6月24日時点でオリンピック世界スケートボードランキングに入っている必要がある。
東京オリンピックと同じくストリート(男女)とパーク(男女)の4種目が行われ、各種目22名ずつ(合計88名)出場できる。
※1カ国1種目につき、最大3人までの出場。
オリンピックならではなのが5大陸(アフリカ・アメリカ・アジア・ヨーロッパ・オセアニア)枠が確保されているところ。
1つの大陸から、選手がオリンピックランキングの上位に入れず、出場枠を取れなかったとしても、その大陸の代表選手のランキング上位の選手が出場できるため、世界的な大会ではなかなか見る事のできないような国の選手も、五輪の大舞台で見ることができる。
【日本のエース/開心那】
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前回2023年10月に行われた世界選手権で初優勝を飾り、名実ともに日本のエースとして出場の開心那は、今大会準決勝3位で決勝へ進出。
決勝では1本目のランからバックサイドクレイルスライド(片手でデッキの先端を掴みながらデッキ後方でコースの縁を滑る技)やテールグラブ フロントサイドノーズグラインド(前方のトラックと呼ばれる車軸の部分だけでコーピングを滑る技)、ステイルフィッシュディザスター(後ろの手でデッキの背中側を掴み、デッキ中央部分をコースの縁に当てる技)、フロントサイドのクレイルスライド、そしてレインボーレール(半円型のレール)でバックサイドフィーブルグラインド、制限時間ギリギリにしっかりとバックサイドノーズグラインドを決め、45秒間まったく無駄のない動きの滑りで91.60点を獲得し、首位に立つ。
2本目もフルメイク(ノーミスで滑りきること)のランを見せるが、1本目のランの得点を超えることはできず、ナイア・ラソに首位を明け渡した3本目では1つ目のトリックで失敗してしまい優勝こそ逃してしまったが、洗練されたノーズグラインドやクレイルスライドに加え、レインボーレールでのフィーブルグラインドなどスタイル溢れる滑りで、見事準優勝に輝いた。
【初の表彰台で代表候補に名乗り/長谷川瑞穂】
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準決勝5位で決勝に進出した長谷川瑞穂は、決勝のラン1本目で360メロン(空中で1回転する技)や、スタイリッシュなフリジッドエア(空中で背中側に足を蹴り出す技)、バリアルウェドル(旧ミュートグラブ、空中でデッキを横に半回転させる)、フロントサイドノーズグラインドなどの高難度なトリックを見せて88.91点を獲得。
2本目ではキックフリップインディ(空中でデッキを縦に1回転させて掴む技)に挑戦するも失敗、3本目もフルメイクの滑りを見せることができず「やらかしたー」と顔を覆うシーンもあったが、見事に3位で表彰台入り。
前回大会(2023年10月)の世界選手権では予選敗退だったが、今大会で一気にパリオリンピック代表候補に名乗りを上げた。
WSTドバイ・パーク2024男女決勝の映像
(YouTube:https://www.youtube.com/live/Lq5j9eKiejE?si=iuinvs-U3F36CUPL)
【WSTドバイ・パーク2024女子リザルト】
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1位 ナイア・ラソ(スペイン)-93.46
2位 開 心那(日本) -91.60
3位 長谷川 瑞穂(日本) -88.91
4位 アリサ・トルー(オーストラリア) -88.48
5位 ルビー・トルー(オーストラリア) -88.33
6位 四十住 さくら(日本) -86.65
7位 ブライス・ウェットスタイン(アメリカ) -85.21
8位 ジョーディン・バラット(アメリカ) -81.31
【WSTドバイ・パーク2024男子リザルト】
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1位 ダニー・レオン(スペイン) -90.13
2位 ギャビン・ボッガー(アメリカ) -89.57
3位 ビクトル・ソルムンド(デンマーク) -89.36
4位 キエラン・ウーリー(オーストラリア) -89.21
5位 ペドロ・キンタス(ブラジル) -88.56
6位 テイト・カリュー(アメリカ) -87.72
7位 ハンパス・ウィンバーグ(スウェーデン) -86.22
8位 アレックス・ソルジェンテ(イタリア) -72.18
文・小嶋勝美
スケートボードに関する情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家兼スケーター。10年間のお笑い芸人生活を経たのち、放送作家をしています。