お騒がせ「縦読み」の起源は、国語の授業で習ったアノ…

2020/03/05
N田 N昌

木下優樹菜さま、バーガーキングさま、……、SNS上での“縦読み”が今話題のようでございます。

一見すると通常の文章(横書き)が、各行の頭文字を縦につなげるとメッセージが表れる文章でございます。

私だけでしょうか?見つけるとうれしくなるのは…(だいたひかる調)

芸能記者さま、雑誌記者さまはきっと芸能人のSNSを片っ端からチェックされたのではないでしょうか…

実はこの“縦読み”、SNS発祥の言葉遊びではございません。古くは平安時代、和歌の頃からある“折り句”という言葉遊びでございます。

一般社団法人「日本折り句協会」によると、古くから日本にある言葉遊びの一種で、一つの文章や詩の中に、別の意味を持つ言葉を織り込む「あいうえお作文」のようなものだとか。ちなみに和歌の頃は縦書きなので“横読み”でございます。

「伊勢物語」の東下りの段に登場する和歌にも、こんな折り句(縦読み)が……。

からころも

きつつなれにし

つましあれば

はるばるきぬる

たびをしぞおもふ

頭文字をご覧くださいませ。「かきつはた」(カキツバタ)という花の名が折り込まれております。

日本を代表する詩人の谷川俊太郎さまも愛のメッセージ折り句(縦読み)を詠まれております。それがこちら。

あくびがでるわ

いやけがさすわ

しにたいくらい

てんでたいくつ

まぬけなあなた

すべってころべ

詩や和歌だけではございません。なんと、“折り句”の絵本もございます。

「あるひ ありの アントニオくん」(文:石津ちひろ 絵:高畠 純 出版社:ポプラ社)

昨年1月に出版された絵本でございます。本のカバーには「言葉のリレーが楽しい 折り句絵本の決定版」と綴られております。

主人公である蟻のアントニオくんがある日、大好物の黒砂糖を発見。ところが重くて運べません。そこにリスのリリーが登場。運ぶのを手伝ってくれます。今度は、リリーにトラブルが…。そこにまた他の動物が登場、手伝ってくれます。

というようなストーリーなのですが、ラストに驚きの折り句が登場いたします。

本のカバーにも書いてある通り、実は折り句で遊んでいる絵本が他にもございます。

ちなみに、石津さまは、回文や早口言葉、しりとり、なぞなぞと、ゴイスーに多くの言葉遊び絵本を出されておりますが、2013年に出された名作絵本「すいか!」の中でも「折句」を披露されております。こちらも是非是非。

「すいか!」(文:石津ちひろ 絵:村上康成 出版社:小峰書店)

(文:絵本トレンドライター N田N昌)

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この記事を書いた人

N田 N昌

放送作家・ナンセンス絵本マニア 「有田とマツコと男と女」「レゴニンジャゴー(アニメ)」 「天才テレビくんMAX」「小島慶子のオールナイトニッポンGOLD」 など、テレビ・ラジオ番組の構成脚本を担当。

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