
公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構は3月6日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共催により「福島イノベーション・コースト構想」の成果についてのメディア発表会を開催。発表会では、水素エネルギーやドローンなどをテーマに、イノベ構想を牽引する企業の最新の取り組み発表やトークセッションが行われた。
福島イノベーション・コースト構想は、東日本大震災と原子力災害によって大きな被害を受けた福島県浜通り地域などで、新たな産業基盤の構築を目指す国家プロジェクトである。
震災から15年が経過した現在も復興は道半ばであり、産業面でも震災前の水準には届いていない地域が多い。特に被害の大きかった浜通り地域では、産業復興を加速させるため、先端分野の研究開発や企業誘致などを柱とした取り組みが進められている。
イノベ構想では、廃炉、ロボット・ドローン、エネルギー・環境・リサイクル、農林水産業、医療関連、航空宇宙といった分野を重点領域として支援。研究開発拠点の整備や実証フィールドの提供を通じて、新たな産業の創出と技術開発を推進している。

福島イノベコースト構想推進機構の理事長・斉藤保氏は「企業進出や雇用創出など一定の成果が生まれている一方で、持続的な産業発展の実現に向けては引き続き関係機関との連携を強化していく必要がある」と述べた。
発表会の後半では「実証の聖地から実装の先駆地へ イノベ構想の今と未来」をテーマにトークセッションが行われた。登壇したのは、OKUMA TECH代表取締役の李顕一氏、ハマ代表取締役の金田政太氏、會澤高圧コンクリート執行役員の大橋未来氏の3人。

まず浜通りで事業を進めるメリットとして、金田氏は「ロボットやドローン、宇宙関連など先端分野の企業が集まっている」と言い、「東京で会うよりも距離が近く、自然と仲良くなれる。実証実験を見せ合ったり、企業同士で交流する機会も多い」と語った。
また、地域の受け入れ姿勢も特徴の一つだという。大橋氏は「浪江町の方から『この町は進化する町なんだ』と言われたことが印象に残っている。外から来た企業や技術を受け入れてくれる雰囲気」と話した。

一方で、課題として挙げられたのが「実証から実装への移行」だ。金田氏は「浜通りは実証実験をするには非常に良い環境だが、実際のビジネスとして実装するとなると難しさもある」と指摘。交通の便が良くないことに加え「ドローンのサービスを導入する企業や利用者が地域内にまだ多くない」と課題を挙げた。
大橋氏は制度面について「複数の研究テーマを同時に進めたい場合でも、補助金制度の制約で申請できる案件が限られることがある。もっと柔軟に使える仕組みがあれば研究開発も進めやすい」と課題提起。

さらに、人材確保も企業共通の課題となっている。李氏は「技術人材の取り合いになる場面もある」としつつ「地域や行政のサポートは非常に手厚く、町ぐるみで支援してもらえる」とまとめた。
震災から15年も経つと、3月11日しか現状を報道されないことも多いとのこと。浜通りで進む企業の取り組みや地域の変化に関心を持つことが、これからの福島復興支援に繋がるのではないだろうか。







