家計を助けるヒーロー食材といえば「もやし」。一袋50円以下は当たり前で、私の近所のスーパーでは最近8円にまで値下がりした。そんなもやしが今、大変なのだそうだ。「工業組合もやし生産者協会」のホームページを見ると、「もやし生産者、窮状にご理解を」と書かれ、可愛いもやしが泣いている。
出典:http://www.moyashi.or.jp/
『もやし生産者は、長年に渡り原料種子高騰や賃金上昇などに対応し続けたことにより体力を消耗しきっております。これ以上の経費削減への努力はすでに限界を超え、健全な経営ができていない状況です。日本の食卓に欠かせない「もやし」をこれからも安定してお届けしていくために、もやし生産者の窮状にご理解を賜りますよう心よりお願い申し上げます。』
思いは切実だ。
具体的なデータを見ると、もやしの原料となる緑豆の価格が2005年の約3倍。最低賃金は2005年比で約20%上昇と、生産コストが高騰。逆に、小売価格は2005年より約10%下落。一方で人件費などの生産コストは高騰続き。
そこへ追い打ちをかけたのが、原料種子の収穫期に降雨が続き過去最悪レベルの品質悪化に襲われたこと。育成不良による歩留の悪化が一層経営を圧迫する状況になった。
中国産の緑豆に関して言えば、15年程前は1トンあたり約10万円だった。それが2014年は1トンあたり28万円。2015年はトンあたり35万円と3倍以上に。これは国産大豆の価格と変わらないほど。実は中国でも緑豆を作る農家が減っているので価格が上がっているそうだ。
それ以前に、生産者が急激に減少している。2009年には全国で230社以上あった生産者が100社以上廃業し、現時点では130社を切った。今後はますます減りそう、という状況らしい。
バブルが弾けても、消費税が上がっても、リーマンショックがあっても、どんなときでも変わらぬ安さで重宝されていたもやしが、ついに安請け合いの現状に反旗を翻すのか!?
そもそも、もやしはなぜ安い?
当然コストが安いからなのだが、詳しく調べると主なポイントは…
土や肥料、光がいらない、水だけで育つ
屋内で育てられるので天候に左右されず、害虫や病気の心配が少ない
機械で自動化できるので人件費が安い
1週間から10日ほどで出荷できる
更に、原料の緑豆が輸入で安く手に入る…というメリットも大きかったのが近年崩れてきたというわけだ。
激ウマ高級もやし!
生産者にとって厳しい現状だが、もやしにだって高級品がある。
埼玉【深谷もやし】
ミャンマー産ブラックマッペ種という原料を使用。
もやしを太くする成長抑制ホルモン「エチレン」の濃度を極力抑えるので、一般のもやしより根が長く細いのが特徴。人の手で丁寧に収穫して、清浄な地下水で洗い袋詰した、赤子を扱うかのようにして作る逸品。貴重な「もやし」であることが伺える。細みなのでシャキシャキ感がたまらないとか。
値段は500gで¥100円~300円。埼玉県深谷市ならスーパーやみちの駅でも販売されているそう。関東ならマルシェ、時々伊勢丹などのデパートにあるとか。
熊本【水前寺もやし】
くまもと農工商連携サイトより 出典:http://kumamoto-noshoko.jp/default.aspx
江戸時代から盛んに栽培されていたが、現在は熊本市出水の上江津湖にある芭蕉園内の湧水地(約1,200㎡)で栽培されているだけ。一般的なもやしの4,5倍、30㎝ほどに長く成長するため、長寿と健康を願う縁起物として正月の雑煮に欠かせない、熊本ではおなじみのもやし。正月用にしか作られないので出回るのは12月26~大晦日まで。熊本以外ではなかなか食べられる機会が少ない。価格はひと束200円くらいとか。高級でもありレアなもやし。
青森【大鰐温泉もやし】
出典:https://twitter.com/muji_caravan
青森県の中南地域に位置する大鰐町に古くから伝わる幻の冬野菜。温泉熱と温泉水のみを用いる温泉の町ならではの栽培方法で七日間かけて成長させる。350年以上前から栽培され、津軽三代藩主・信義公が大鰐で湯治する際は必ず献上された。独特の芳香とシャキシャキとした歯触り、味の良さ、品質の高さで人気が高く、大鰐町のスーパーに出れば、午前中で売り切れてしまうほどの人気。県外のアンテナショップにもなかなかなか出回らない貴重なもやしだそうだ。
地元でもひと束250円前後 アンテナショップでは400円以上にもなる。
家計に優しいもやし。あんなに安いのに、ビタミンC、食物繊維、カリウム、アスパラギン酸などが豊富で、疲労回復、便秘、肝機能にも良いとされる。カロリーも100gで10~37cal程度しかないのでダイエット食としても適しているとのこと。
消費者として価格はあまり上げてほしくないので、食材としてのメリットをもっとアピールし沢山食べてもらえるように頑張れば、生産者さんも潤うのでは?と単純に思ってしまう。
「もやしのうた」なんて作って流すのはどうだろう?
♪僕はもやしっ子~ ヒョロヒョロだけどもやしパワーで細マッチョ!とか(笑)