―― レシピは必ず編集部で試作してから掲載するのがモットーだと伺ったのですが、週にどの位つくるのですか?
「隔週で発行していますが、毎号につき50から70品ほどのレシピを掲載します。全品試作するので、月に100品は超えますね。毎日何かしらつくっています。そして試作品がそのままスタッフの昼食や夕食・夜食になったりもします」
―― 100品とは、すごい(笑)
「レシピは実際に家庭でつくれるかどうかが重要なので、ガスがちゃんと使えて試作できるかを第一に物件探しをして引っ越したくらいですから。ちなみにこのビルは以前、飲食店が入っていました」
―― 読者もスタッフも女性ばかり…というなかで男性として苦労した点はありますか?
「それが、ないんですよ…女性スタッフが多い中で「顔を覚えてもらいやすい」など得してこそ、困ったことはないです」
―― えーっ!
(ここで、「それでもまだ歴代の編集長で“メンズ色”が強いほう(笑)」という声が、傍にいたスタッフから聞こえてました。というのも男性女性問わず、新人から編集長・役員クラスまで“暮らし”に興味を持って入って来るので“女子力”は元々高いとか)
「ここでは入社してすぐの研修で「今から5品つくってみて」なんて普通ですからね」
―― しかも上司や先輩が見守る中で…ってすごい緊張感ですよね。女の私でも無理です!!
ここ数年“女子力”という言葉が定着しています。『ちょっとしたひと手間で、みんなが喜ぶ』企画は、まさに女子力アップに効果がありそうです。例えば『割りばしの袋で可愛い富士山の箸置きの作り方』を載せるなど、レシピ以外にも生活を楽しむ、ちょっとした工夫や発見があるのがオレンジページ。その女子力の高さはスタッフの皆さんにあり、といったところでしょうか。
オレンジページの30年後、未来
―― 最後に、31年続けてきたオレンジページのこれからを教えてください。
「日本の家庭料理というものを支えてゆきたいですね。自分自身も母親は忙しく働いていたので祖母の味で育ちました。その恩返しではないですが、『家庭でご飯をつくる』という文化を支えてゆきたい。もちろん、家庭の味はお母さんや女性ではなく、お父さんや男性が支えてもいいと思います。「オレンジページが我が家の味でした」と言って下さる方がいると嬉しいですね」
―― まさに我が家がそうです。母の『フライパン料理』といい、私の『お料理一年生』といい、考えてみれば二世代に渡って“オレンジページが家庭の味”です。
「本当ですか!? それは嬉しいですね!実は、今年で5回目になる『ジュニア料理選手権』という中高生向けの料理レシピコンテストを行っているんです。2000通を超える応募いただいていて、おかげさまで大変好評なんですよ」
―― 少子化の中で、すごい数ですね!
「ゆくゆくは料理の『甲子園』みたいな位置づけにしたいですね。こうした企画を通し、若い世代から、家でご飯をつくる喜びを知ってもらうことが、我々にできる社会貢献だとも思っています」
日本の未来は『オレンジページ』が救う!?
取材中、キッチンや編集部にも案内していただきましたが、どこも我が家以上に我が家に帰ってきたような、とてもアットホームな雰囲気が漂っていました。
こうした皆さんによって、楽しく丁寧につくられているからこそオレンジページには、誌面を開いた時に何とも言えない多幸感があるのか!と、またひとつ納得。
※写真は編集部キッチン。見えませんが、冷蔵庫が5台ありました!
「家庭と仕事の両立」「育児ノイローゼ」「女子力が足りない」「イクメンの在り方がわからない」…家庭を取り巻く悩みは尽きないモノ。しかし鈴木編集長をはじめ、編集部のみなさんのイキイキとした姿に、その解決方法はあるのかもしれません。
鈴木編集長、編集部の皆様。突然の訪問にもかかわらず、あたたかく迎えてくださり、どうもありがとうございました!
鈴木善行 すずき よしゆき
新潟県出身。高校時代はボクシング部に所属。青山学院大学を卒業後、1993 年(株)オレンジページ入社。『オレンジページ』『きれいになりたい』を担当後『オレンジページ』に戻る。副編集長、デスクを経て2015 年、編集長就任。