2019年10月、日本プロ野球史に輝かしい記録を残した昭和の大投手、金田正一さんが亡くなりました。
彼が積み上げた勝利数は400、奪三振は4490と近代では考えられない偉大な記録。このような今後塗り替えられることのない記録をアンタッチャブルレコードといいますが、今回はそんなNPBのぶっ壊れレコードを紹介します。
[投手記録]
奪三振
通算奪三振は先にもあげたように金田氏の4490が最多で2位の米田哲也氏に1000以上の差をつけています。ではシーズン奪三振はというと1968年、こちらもレジェンド投手、江夏豊氏で401(2位は1961年・稲尾和久氏353奪三振)。この記録はMLB歴代1位のノーラン・ライアン氏の383奪三振を上回るもの。(注:20世紀以降)
江夏氏はこの年49試合(37先発)に登板し329イニングを投げています。近5年で見てみると19年ソフトバンクの千賀滉大投手が180.1イニング投げ227奪三振が最高です。
完投
先発投手が記録できる成績を総なめにしている観がある金田氏ですが通算365完投も歴代1位。ではシーズンで見てみると、南海~巨人で活躍した別所毅彦氏が1947年に記録した47完投(55登板、50先発)
が歴代1位。初代沢村賞に輝いています。沢村賞受賞の大事な条件のひとつで、10完投が望まれていますが、近5年で10完投を果たしたのは18年、巨人の菅野智之投手のみ。先発完投が少なくなってきた現代の野球では記録を塗り替えるのは困難でしょう。
多くの偉大な記録を残している別所氏ですがこのシーズン完投数はひと際誇りに思っていたようです。
シーズン勝利
20勝すればシーズン最多勝は確実なんてのはもうひと昔前の話し。20勝に達したのは過去10年で田中将大投手が2013年に記録した24勝が1度あるだけ。そんな中、歴代シーズン最多勝は39年、巨人のスタルヒン氏、61年、西鉄の稲尾和久氏の42勝。ちなみにそれぞれの当該シーズン巨人は66勝、西鉄は81勝なので1人のエースが占める勝利数が圧倒的なものになっています。
[打者記録]
盗塁
NPB記録で言えば、張本勲氏の通算3085安打も王貞治氏の868本塁打もおそらく破られることの無い大記録。
そんな中、特筆したいのは元阪急の福本豊氏の盗塁数。シーズン記録は72年の106盗塁。歴代唯一の3ケタ超え。歴代2、3位も福本氏が記録持っています。これがどれだけ途方もない記録かというと過去10年でみると11年、ソフトバンクの本多雄一氏の60盗塁が最多。
通算盗塁歴代1位も福本氏で前人未到の4ケタ超え1065盗塁。2位の広瀬叔功氏は596盗塁なのでこれも破られることはないでしょう。
犠打
そしてもう一つの神記録は巨人~中日で活躍した職人・川相昌弘氏。91年に打ち建てたシーズン66犠打は91年、元ヤクルトの宮本慎也氏の67犠打に破られるまでNPB記録でしたが通算だと533犠打で断トツ1位(2位は西武などで活躍した平野謙氏で451犠打)。
セイバーメトリクスなどの統計学上、犠打が用いられることの減った近代野球を考えるとこれも不滅の記録と言えます。
三振
これは誇れる記録ではないですがいかにも個性が爆発している記録。通算1位は西武や巨人などで活躍した清原和博氏で1955三振。2位は谷繁元信氏で1838三振、3位は現役の中村剛也選手で1725三振、と現代でも手が届きそう(?)な記録。一方でシーズン最多三振1位は唯一200超えの204三振でブライアント氏(近鉄93年)。これ自体もなかなかの数字ですが、2位198、3位187まで同氏が独占。18年まで4位も同氏でしたが、19年ヤクルトの村上宗隆選手が184三振を記録し4位にランクイン。
しかしこれは高卒2年目の発展途上の選手で143試合出場での記録。
一方ブライアント氏の204三振は脂の乗った32歳、出場127試合という中で生まれたものです。
現代野球でアンタッチャブルレコードを望むのは無理なのか?
投手部門でいうと、13年、元楽天、現ヤンキースの田中将大投手が記録した勝率1.000。過去3人負けなし10割を記録していますが20勝超えの24勝という完璧の記録は彼だけ。また無敗の最多勝も史上初の快挙。ちなみに前年から続く連勝も28もプロ野球記録。参考になりますが翌年ヤ軍でプレーしますがそこでも6連勝し34まで連勝を伸ばしています。いずれも破られることはなさそう。現役バリバリの田中投手は現代の記録といっていいでしょう。
打者部門でいうと歴代通算打率1位のヤクルト青木宣親選手で.326。
2位は.320でリー兄弟の兄レロン・リー。77~87年にロッテで活躍した選手で30年近く破られていない記録なので青木選手がこのまま打率を維持していけば破られない記録になることは間違いなし。
先日、ドラフト会議が終了したばかりで有望な新人が多く入団し来シーズンが楽しみです。その中に上記の記録を破り、新たなアンタッチャブルレコードを打ち建てる猛者がいたら嬉しいですね。