【東京 今さら聞けない大人の町のお約束】 ~演芸の町、浅草で芸人が愛したあの店へ~

2018/12/07
遠藤昇輝

その町ならではの定番や名物の楽しみ方…行く前に知っていたら役に立つかもしれない「大人の町のお約束」を東京の町から拾い集めて行きましょう。今回は【演芸の町、浅草のお約束】です。

下町「浅草」はいつ行っても代り映えのしない町。そんなイメージを抱く方も多いと思いますが、浅草界隈は建設ラッシュ。なんと!雷門横でもホテルを建設中でした。界隈が真新しい建物ばかりになってしまう前に「演芸の町」を満喫しなければもったいない。

浅草に来たらまず、浅草寺と浅草神社へ参るのは外せないお約束。相変わらずの賑わいでしたが、境内の裏手に回ると、ありました「中村座」。

何やら建て込みの真っ最中で、威勢のいい声が飛び交っておりました。西参道から出て、演芸の町の中枢“六区”へと向かいましょう。この町で多くの演芸ファンを呼び込む名所が…「浅草演芸ホール」と「東洋館」。

東洋館は北野武さんを輩出したフランス座の前身。ファンなら外せないお約束がエレベーターの写真撮影だといいます。なぜならたけしさんの原点はエレベーターボーイ。

この場所に立ってお客さんを迎えていた姿が浮かびます。他にもこの劇場出身のレジェンドといえば、渥美清さん、萩本欽一さんなどそうそうたる顔ぶれ。彼らのコント台本は日本を代表する劇作家・井上ひさしさんが書いていたというから面白くない訳がない。

劇場前の「六区通り」には「浅草レジェンド芸人」たちの顔がズラリ。

浅草を愛した永井荷風のパネルの前には若き日の欽ちゃんが通ったという天ぷらの「徳仙」。その並びにはたけしさん御用達の「捕鯨船」があります。

人力車の車夫さんが「ここはたけしさんの『浅草キッド』という歌に出てくる♪煮込みしかーないクジーラ屋…さんです」とお客さんに歌入りで説明していました。

店の前のパネルには「予約済」の文字。たけしさんのために空けてあると言われています。このパネル前から通りの向こうを眺めると…あっ…たけしさんの師匠「深見千三郎」の顔がちょうど見える所にありました。

これは偶然なのか、それとも師匠と弟子の顔が重なる日のための配置なのか…だとしたらとても粋な計らいだと思います。演芸の町にもっとどっぷり浸りたくなったら、芸人さん行きつけの喫茶店へ行くのも浅草のお約束です。界隈にはふさわしいお店がいくつもあります。

「待合室「ブロンディ」「ブラザー」「レイラ」「アンジェラス」「ローヤル」など。迷った挙句、お昼時だったのでメニューが充実している「ロッジ赤石」を選択。浅香光代さんは40年以上の常連で、博多華丸さんも浅草に吉本劇場があった時に通っていた店。

しかし、たどり着いたらお休み。スマホで調べたら定休日でした。気を取り直して次の店へ。やって来たのは「珈琲アモール」。

この店に20年通っているのはナイツ土屋伸之さん。お気に入りは「ナポリタン」だそうですが、隣の人が食べていた「生姜焼き定食」に惹かれて注文。

浅草の古い喫茶店の多くは定食が充実。スープではなく味噌汁が付いてきます。コショウが効いた生姜焼き。他店とはひと味違う美味しさでした。食後のコーヒーを飲みながら、今度は夜の浅草で芸人さんが愛した店を訪ねたいと思いました。

 

【浅草東洋館】

東京都東京都台東区浅草1-43-12

TEL:03-3841-6631

【珈琲アモール】

東京都台東区浅草1-36-11

TEL:03-3843-4428

営業:9:00~21:00

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遠藤昇輝
この記事を書いた人

遠藤昇輝

1968年東京生まれ 放送作家として「町歩き番組」のネタを探すため、東京の町を徘徊するが足が向くのは…寄席や美術館など番組とは無縁の世界。趣味が高じて一般社団法人東京遺産協会を設立。 町歩きプランナーとして自治体の魅力発信事業等にも参加。

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