【第3回スケートボード日本オープン・ストリート】女子は松本雪聖が初優勝 男子は池田大暉がノリと勢いの逆転優勝

2025/04/14
放送作家 小嶋勝美

©WSJ

4月12日に三重県の松阪市総合運動公園スケートパークで、第3回マイナビスケートボード日本 OPEN supported by Murasaki Sports ストリート種目決勝が開催され、男子は最後まで、驚異的な勢いの滑りを見せた池田大暉(18歳)が優勝。
準優勝は最高得点をマークするベストトリックを見せた、今大会最年長出場の池慧野巨(23歳)。
3位には着実に得点を重ね、大一番のプレッシャーをはねのけた竹下煌輝(13歳)が表彰台入りした。

今大会、男子はオリンピアンの出場は一人もいなかった。
(東京五輪・堀米雄斗、白井空良、青木勇貴斗、パリ五輪・堀米雄斗、白井空良、小野寺吟雲)

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女子はベストトリック全てで、キックフリップからの複合トリックを見せた、松本雪聖(13歳)が初優勝。
準優勝は12歳ながら、他の強豪選手を抑えた尾関萌衣(12歳)。
3位は最後まで大技に挑み続けた、大西七海(14歳)となった。

表彰台常連の伊藤美優や、オリンピアンの中山楓奈は、決勝でベストトリックを1本も決めることができずに終わった。

今大会は本来、4月13日に準決勝と決勝が予定されていたが、雨予報のため準決勝が中止され、12日に予選上位8名による決勝戦が行われた。

【ルールと今後のWST予定やニュースなど】

ストリート種目は45秒間コース内を自由に滑って技を披露するランを2本と、1つのセクションで1発技を行うベストトリックを5本行い、ランの最高得点とベストトリックの上位2本を合わせた、合計得点で順位が競われる。

今大会と2024年10月に開催された、第7回日本スケートボード選手権大会の成績に基づくWSJランキングポイントによって、国際大会派遣選手の選出を行うとともに、2025年強化指定選手の選考を行うため、2028年のロス五輪を目指す選手にとって重要な大会となる。

World Skateboarding Tour(以下WST)2025のスケジュールは以下の通り
・WSTオスティア(イタリア)パーク プロツアー 6月1日~8日
・WSTローマ ストリート プロツアー 6月8日~15日
・WSTワシントンDC パーク 世界選手権 9月19日~26日
・WSTワシントンDC ストリート 世界選手権 9月21日~28日
・WST北九州 ストリート 11月23日~30日(プロツアーなどグレードの記載なし)
※4月14日時点World Skateホームページより
https://www.worldskate.org/skateboarding/news-skateboarding/3745-world-skateboarding-tour-2025-schedule-release.html

今月、オリンピックのスケートボード競技などを統括するワールドスケートから大ニュースがあり、2028年ロサンゼルスオリンピック以降は、出場資格に14歳以上の年齢制限を設けるとの発表があった。
これにより、2021年の東京オリンピックのストリート種目で金メダルを獲得した、日本選手史上最年少金メダリスト西矢椛(当時13歳)、パーク種目で銀メダルを獲得した、日本選手史上最年少メダリストの開心那(当時12歳)の2人の記録は、スケートボード競技においては、出場資格にさらなる変更がない限り永遠のものとなった。

【追い込まれてからが真骨頂/池田大暉】

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予選を82.97点で、トップ通過した池田大暉。
決勝のラン1本目では、バンプtoレールでキャバレリアル バックサイドテールスライド、ダウンレールでバックサイド270リップスライド270アウト、ハンドレールでバックサイドノーズブラントスライド、ハバレッジでバックサイドノーズスライド ノーリーフリップアウトなどを決めるフルメイク(ミスなく滑りきること)の滑りを見せると、77.69点を獲得。
2本目はフルメイクすることができなかったが、ラン終了時点トップでベストトリックに進む。

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以下、池田大暉のベストトリック。
※()内はセクション名

1本目(ハンドレール)バックサイドシュガーケーングラインドをミス。
2本目(ハンドレール)ふたたび、バックサイドシュガーケーングラインドを狙うがミス。
3本目(レッジ)ステアからトランスファー(セクションとセクションをまたぐ)フロントサイド50-50グラインドを狙うがミス。
4本目(レッジ)ステアからトランスファー(セクションとセクションをまたぐ)フロントサイド50-50グラインドを決め、90.64点を獲得。
5本目(レッジ)ステアからトランスファー(セクションとセクションをまたぐ)フロントサイド5-0グラインドを決め、92.26点を獲得。

ベストトリックを3本続けて外し、後がなくなってから驚異の勢いを見せ90点台連続メイクで優勝を手繰り寄せた。
優勝後のインタビューでは「みんな同じところ(ハンドレール)でやっててつまらないんで、こっちで(トラスファーしてからのレッジ)やっちゃいました」と話し、土壇場での対応力と精神力に今後の国際大会での期待が高まった。

【最年長が魅せた最高点/池慧野巨】

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予選を82.86点で2位通過した、23歳ながら今大会最年長出場者となった池慧野巨。
1本目のランでは、バンプtoバンプでスイッチフロントサイドキックフリップ、ハンドレールでフロントサイドフィーブルグラインド フロントサイド180アウトなどを決める滑りを見せるが、ラストトリックでミスをしてしまう(69.84点)。
2本目のランでも、最後のキャバレリアルバックサイドテールスライドをミスしてしまうが、それでも得点を伸ばし72.10点を獲得。
暫定3位でベストトリックに挑む。

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以下、池慧野巨のベストトリック。
※()内はセクション名

1本目(ハンドレール)キャバレリアル バックサイドテールスライドを決め、89.13点を獲得。
2本目(ハンドレール)スイッチフロントサイドフィーブルグラインド フロントサイド180アウトを決め92.68点を獲得。
3本目(ハンドレール)フロントサイドフィーブルグラインド ビッグスピンアウトを狙うがミス。
4本目(ハンドレール)ふたたび、フロントサイドフィーブルグラインド ビッグスピンアウトを狙うがミス。
5本目(ハンドレール)最後もフロントサイドフィーブルグラインド ビッグスピンアウトを狙うが残念ながら失敗に終わる。

最後には池田のノリと勢いに捲られてしまったが、2本目には驚異的なスイッチトリックで今大会最高得点を獲得。
圧倒的な印象を残しての準優勝だった。

【最後に意地を見せた!/竹下煌輝】

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予選を73.80点で、7位通過の竹下煌輝。
決勝のラン1本目では、ハンドレールでキックフリップ フロントサイドボードスライド、バンプでノーリーインワードヒールフリップ、ハンドレールでフロントサイドテールスライド フェイキーなどをフルメイクし69.65点を獲得。
ラン6位でベストトリックに臨む。

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以下、竹下煌輝のベストトリック。
※()内はセクション名

1本目(ハンドレール)フロントサイドテールスライド 270アウトを決め、69.31点を獲得。
2本目(ギャップ越えレール)キックフリップバックサイドリップスライドをミス。
3本目(ギャップ越えレール)ふたたび、キックフリップバックサイドリップスライドを狙うがミス。
4本目(ギャップ越えレール)三たび、キックフリップバックサイドリップスライドを狙うがミス。
5本目(ギャップ越えレール)キックフリップバックサイドリップスライドを最後の最後に決めきり81.77点を獲得。

最後は3本続けて外しているトリックを決めきり、大きな大きなプレッシャーをはねのけ、嬉しい3位表彰台入りを果たした。

決勝に残った選手は皆、攻めの姿勢を最後まで貫く展開だったが、終わってみればベストトリックを2本揃えられたのは上位3選手のみだった。

【念願の初優勝/松本雪聖】

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予選を69.91点でトップ通過の松本雪聖。
決勝1本目のランではハンドレールでバックサイドスミスグラインド、カーブでキックフリップ フロントサイド50-50グラインド、バンクtoレールでキックフリップ バックサイドリップスライド、バンプtoバンプでキックフリップ、ハンドレールでフロントサイドフィーブルグラインドなどを決める、フルメイクの滑りを見せ67.08点を獲得。
ランセクショントップで、ベストトリックに臨む。

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以下、松本雪聖のベストトリック。
※()内はセクション名

1本目(ハンドレール)キックフリップ フロントサイドボードスライドを決め77.88点を獲得。
2本目(バンプtoキンクレール)キックフリップ バックサイドリップスライドを決め、75.76点を獲得し、この時点でベストトリックを2本揃えると同時に2位以下を大きく突き放す。
3本目(レッジ)キックフリップフロントサイドノーズグラインドを狙うがミス。
4本目(レッジ)ふたたび、キックフリップ フロントサイドノーズグラインドを狙うがミス。
5本目(レッジ)三たび、キックフリップ フロントサイドノーズグラインドを狙うがミス。

1本目のキックフリップ フロントサイドボードスライドは今大会最高得点を記録し、ラン、ベストトリックともに最高得点を獲得しての優勝劇となった。

【最後まで集中力を切らさずに得点を加算した/尾関萌衣】

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予選を63.04点で、4位通過となった尾関萌衣。
決勝のラン1本目はフルメイクすることができなかったが、2本目のランではハンドレールでバックサイドリップスライド、ギャップ越えのバックサイドフィーブルグラインド、バンプtoバンプでキックフリップ、ハンドレールでフロントサイドリップスライドなどを決めるフルメイクの滑りを見せ、64.59点を獲得。

ランを終えた時点では3位でベストトリックに臨む。

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以下、尾関萌衣のベストトリック。
※()内はセクション名

1本目(ギャップtoレール)バックサイド5-0グラインドを決め、70.10点を獲得。
2本目(ハンドレール)バックサイドフィーブルグラインド フロントサイド180アウトを狙うがミス。
3本目(ハンドレール)バックサイドフィーブルグラインド フロントサイド180アウトを決め、63.42点を獲得。
4本目(ステア)ダブルキックフリップを狙うがミス。
5本目(ギャップtoレール)バックサイドリップスライドを決め、65.34点を獲得。

3位で迎えたラストトリックでみごとに得点を更新し、最後は2位でフィニッシュした。

【超大技に挑み続けた/大西七海】

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予選63.68点で、3位通過の大西七海。
1本目のランでは、フルメイクをすることができずに終わるが、2本目のランではハンドレールでのフロントサイドノーズグラインドや、ダウンレールでフロントサイドブラントスライド、ハンドレールでバックサイド50-50グラインド、ダウンレールでバックサイド50-50グラインドからキックフリップアウトを決める。
途中カーブでミスがあったが、65.65点を獲得しラン終了時点2位で、ベストトリックに臨む。

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以下、大西七海のベストトリック。
※()内はセクション名

1本目(ハンドレール)バックサイド5-0グラインドを決め、65.73点を獲得。
2本目(ハンドレール)フロントサイドブラントスライドを決め、67.31点を獲得し、この時点で早々にベストトリックを2本揃える。
3本目(ダウンレール)フロントサイドブラントスライドから、回しアウトを狙うがミス。
4本目(バンプtoレール)セクションを変えて、再度フロントサイドブラントスライドからキックフリップ フェイキーアウトを狙うがミス。
5本目(バンプtoレール)三度、フロントサイドブラントスライドから、キックフリップ フェイキーアウトを狙うがミス。

最後は尾関に逆転を許し、3位に後退するも最後まで攻めの姿勢を崩さず、決まれば大きな得点につながるブラントスライドからのキックフリップアウトという大技に挑み続ける姿勢を見せた。

【第3回スケートボード日本オープン・男子ストリート結果】

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1位・池田 大暉(18)-260.59[77.69/52.25/0.00/0.00/0.00/90.64/92.26]
2位・池 慧野巨(23)-253.91[69.84/72.10/89.13/92.68/0.00/0.00/0.00]
3位・竹下 煌輝(13)-220.73[69.65/68.10/69.31/0.00/0.00/0.00/81.77]
4位・安部 来夢(18)-160.29[71.54/59.27/0.00/0.00/88.75/0.00/0.00]
5位・八島 璃央(15)-159.46[72.03/65.12/87.43/0.00/0.00/0.00/0.00]
6位・宮本 浬央(13)-156.55[69.01/15.85/0.00/0.00/87.54/0.00/0.00]
7位・渡辺 星那(18)-154.89[31.60/74.07/0.00/0.00/80.82/0.00/0.00]
8位・酒井 太陽(13)-148.54[27.33/63.23/85.31/0.00/0.00/0.00/0.00]
• []内はスコア内訳

【第3回スケートボード日本オープン・女子ストリート結果】

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1位・松本 雪聖(13)-220.72[67.08/58.10/77.88/75.76/0.00/0.00/0.00]
2位・尾関 萌衣(12)-200.03[45.26/64.59/70.10/0.00/63.42/0.00/65.34]
3位・大西 七海(14)-198.69[58.93/65.65/65.73/67.31/0.00/0.00/0.00]
4位・榎並 琴音(12)-176.18[54.13/55.72/54.25/0.00/66.21/0.00/0.00]
5位・福田 碧(14)-165.76[40.39/59.23/49.15/57.38/0.00/0.00/0.00]
6位・綿引 愛留(13)-121.17[62.59/55.60/58.58/0.00/0.00/0.00/0.00]
7位・伊藤 美優(17)-63.23[61.98/63.23/0.00/0.00/0.00/0.00/0.00]
8位・中山 楓奈(19)-48.47[29.60/48.47/0.00/0.00/0.00/0.00/0.00]
※[]内はスコア内訳

写真 ©ワールドスケートジャパン
文 小嶋勝美:スケートボード放送作家&ライター

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放送作家 小嶋勝美
この記事を書いた人

放送作家 小嶋勝美

お笑い芸人として活動後、放送作家に転身。 スポーツ番組やバラエティ番組などに携わる傍ら、20年以上続けている大好きなスケートボードのライターとしても活動。 コンテスト記事の他、スケボーの情報や面白い発見を伝えていくと共に、スケートボードが持つ素晴らしさを多くの人に広めていきたいと思っています

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