切り絵アーティストは、近年注目を集めており、世界で活躍する日本人アーティストも何人かおられます。そんななか、今一番注目を集めているのが、絵本作家でもある“たけうちちひろ”様でございます。
そのたけうち様の日本で1作目となる絵本が4月に出版され、アート好きな大人、絵本好きな大人から人気急上昇中でございます。こちらがその絵本!
「ぼくのつくりかた」(文・切り絵:たけうち ちひろ)
切り絵の絵本は珍しくはありません。有名なところでいうと、滝平二郎様の「モチモチの木」、せなけいこ様の「ねないこ だれだ」、「はらぺこあおむし」のエリック・カール様だって切り絵でございます。
ただ、表紙を見て頂ければ、わかると思いますが、これまでの切り絵絵本とは一線を画す作品なのでございます。ポップで遊び心注入度がすこぶる高いのでございます。
ちなみに、たけうちさまは、2015年、2016年イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選。絵本の世界ではゴイスーな賞でございます。この原画展、日本で例えるなら「ニコニコ超会議」、その世界規模版でございます。世界中からエッジのきいたアーティスト達が大終結する原画展でございます。
そして、「ぼくのつくりかた」はすでに海外で出版されていた人気絵本なのでございます。「How I was made?(原題)」として、イタリア・フランス・英語圏で発売されておりました。そう、たけうち様は、逆輸入絵本作家様なのでございます。それを「ぼくのつくりかた」として新たに編集、日本語版ではオリジナルページを多数追加してこの春、日本で出版になったのでございます。
気になる内容ですが、約1行で説明すると、いろとりどりの材料が迷路のような工場で次々と動物に変身いたします。例えば、ながーいキャンディ、しましまのクツシタ、ながーいマフラー、みどりのはっぱなどが登場。これらが、にゅー、にょき、にょろん、・・・。そして、へびが出来上がります。
ただし、この絵本の最大の特長は、細かいところまでこだわり(遊び心)が詰まっていること。それを見つけるのが楽しいのでございます。まさに、大人が“発見が楽しめる”絵本なのでございます。
見れば見るほど、細かいところに緻密な工夫がされてあって、飽きることはございません。それが切り絵というところが、さらにゴイスーなのですが…。見ているだけで癒されるのでございます。秋の夜長を過ごすお供にも最適でございます。
(文:N田N昌)