遠足から学校に帰った時、必ず聞いた先生の決め台詞が「家に帰るまでが遠足です」でございます。また、マーベル作品などのように映画でもエンドクレジットにおまけシーンが用意されていることがございます。何が言いたいかと申しますと、「最後の最後まで油断しないで頂きたい!」と言うことで、ございます。
実は、絵本でも最後のページではなく、なんと!裏表紙にオチがあるものがあるのでございます。絵本の魅力は、至る所に「遊び心」が隠されているところ。
それを発見するのが、大人の絵本のたしなみのひとつ、魅力のひとつでもございます。ちなみに、絵本の読み聞かせの際、デキルお方は、最後に裏表紙をしっかり見せて終わりにしているはずでございます。機会がありましたら、是非、チェックしてみてくださいませ。
ということで、今回は「裏表紙」がスゴイ絵本をご紹介!名付けて、「私、閉じてもスゴイんです絵本」(失笑)でございます。
まず最初はこちら。
「ぼくがラーメンたべてるとき」(作・絵:長谷川 義史)
こちらは、人気絵本作家、長谷川義史様が世界の子たちへ平和への願いを込めて描かれた絵本。先日、大人に読んでもらいたい平和・戦争絵本としてご紹介したところ、絵本専門士の長澤麻理様から「裏表紙の子供が立っているのに、気がつきましたか?」とのご指摘が…。
改めて、裏表紙を見てみると、本編の中で登場するひとりの少年が立ち上がっている姿が描かれておりました。これ、読んだ方は、お分かりだと思いますが、非常に重要でございます。この裏表紙の絵に気が付いているといないとでは、読後感がかなり違ってくるのでございます。
まさに、裏表紙にまでしっかりと魂が込められている絵本なのでございます。
今の時期、書店では平和・戦争がテーマの絵本が特集されているので、この絵本が置かれている可能性大でございます。是非、ご確認くださいませ。
そして、もう一冊。
「クッツさんのくつ」(作:ジョン・ダナリス 絵:ステラ・ダナリス 訳:寺岡由紀)
こちらは、いたばしボローニャ子ども絵本館主催いたばし国際絵本翻訳大賞受賞作品。大人好みのアート絵本でございます。
綺麗で履きやすい素敵な靴を作る靴職人が大量生産される靴に押されて職をなくしてしまうというお話。こちらも、裏表紙を見逃すと、読後感がかなり変わってくる絵本でございます。ネット上などでは、「ラストだけが気になる。重い気持ちになってしまう。」という書評が見受けられましたが、是非、今一度、裏表紙を見て頂きたいのでございます。きっと、印象が変わるはずでございます。
最後にもう一冊。
この三びきのこぶたの物語では、兄さんたちは食べられてしまいます。三番目のこぶたは狼とカブやリンゴを取りに行ったり、お祭りに出かけたりしますが狼を出し抜いて生き残ります。狼は最後には大鍋で煮られてこぶたに食べられてしまいます。 pic.twitter.com/65VnjSr6C5
— Aki Bunya (@niji_no_irie) 2017年6月29日
「三びきのこぶた」(作:イギリス昔話 絵:山田 三郎 訳: 瀬田 貞二)
みなさんよくご存じの「三びきのこぶた」、たくさん絵本がでておりますが、なかでも子供に媚びることなく、イギリスの昔話を忠実に再現していると言われているのが、こちらの絵本でございます。3匹目の子ブタとオオカミの場面が長めのやつでございます。
この裏表紙が衝撃的でございます。よく見ると、なんと、オオカミを返り討ちにした3匹目の子ブタが、かわいいナプキンをしてオオカミを食べているのでございます…。
トラウマ絵本が最近話題ですが、こちらは「トラウマ裏表紙絵本」でございます。
大人絵本ファンの皆さま、裏表紙が見逃せない大人絵本、是非、チェックしてみてくださいませ。
(文:N田N昌)