ももクロがフェスでかますプロ魂!「お前ら誰見に来てんだよ?・地獄に堕ちろぉ~っ!」ファンを増殖させる圧巻怒涛のLIVEを体感せい!

2019/08/27
放送作家 石原ヒサトシ

音楽フェスで「ももいろクローバーZ」がぶっ飛ばしている。

結成12年目のトップアイドルだがライブステージを見たことがない人は多い。今年は多くのフェスに参加していて、“初ももクロ”に衝撃を受ける人が続出している。

地獄へいざなうLIVE!

5月4日千葉市蘇我で開催された日本有数の音楽フェス「JAPAN JAM 2019」に初出場したももクロ。この日集まったお客は3万8,000人。フェスなので当然ももクロファンばかりじゃない

“ももクロ?名前しか知らん”“にぎやかしのアイドルだろ”

そういう人もいっぱいいただろう。しかし、その多くはイメージが一変することになる。

ももクロ登場のOvertureが流れモノノフのコールが始まると統一感に驚かされる。ただ、ステージに現れたアイドル4人はやっぱり小さくてか弱く可愛らしく見えるに違いない。

そんな“ももクロを知らない奴ら”へ、リーダー百田夏菜子がどアタマでブチかます。

「おまえら、誰見に来てんだよ!? おめーら、好きでもねーヤツ見にくんじゃねぇぞっ!

ここに来たってことは、どうなるか分かってるぅ?・・・

(ニヤリ)アイドル地獄に、生き埋めにしてあげる・・・

地獄に堕ちろぉぉぉぉ~~~~!!」

アイドルが口に出しそうもないアウトローな言葉で煽り、スタートした一曲目は『あんた飛ばしすぎ‼』というパンクロックで、メンバーの名前を叫ぶ自己紹介も兼ねたナンバー。ステージとモノノフのパワーが早くも爆発する。

全員一緒に踊れる『Chai Maxx」』で会場は一体に。『行くぜっ!怪盗少女 -ZZver.-』では4人がステージでアクロバットを披露。『ココ☆ナツ』の歌詞♪ココココッココッココ~部分では、客達があちこちでサークルを作り走り回る。

途中MCでは、OPとは打って変わりいつもの可愛らしい感じで「私たちのこと初めて見るっていう人~」と人懐っこそうに話しかけ、わちゃわちゃしたトークも展開。

全7曲をパワー全開で走り抜けると、最後に4人とバンドメンバーが手をつないで深くお辞儀し笑顔でソデに捌けていった。その顔は“ドヤ顔”というより“いつもこんな感じですけど?”くらい涼しい顔だった。生バンドと生歌、縦横無尽にステージを跳ね回り、客を踊らせかき回した怒涛の35分。

「これがアイドル!?」

ももクロのももクロたる凄味とエンタテインメントが凝縮されたライブだった。

このあとTwitterでは、ももクロを“知らなかった奴ら”の固定概念がぶっ壊されたTLが溢れる。

※「ももクロ地獄」ではなく「アイドル地獄」と言ったところに器のデカさを感じる

このようなケースは一度や二度じゃない、メタルフェス「LOUD PARK」、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」、「SUMMER SONIC」など、アウェーなフェスに幾度も登場し、そのたびに多くの“知らなかった奴ら”に衝撃を与えてきた。そのリアクションがウソじゃないのは、フェス終了後、川上マネージャーのTwitterフォロワー数が急増することだ。多い時で一気に1万増えたこともあった。

完全アウェー「オズフェス」をプレイバック

ももクロ最大のアウェーフェスは2013年8月「オズフェスト・ジャパン」だ。

ハードロック・ヘヴィメタル界のカリスマ、オジー・オズボーンが主催するロックフェスが日本で初開催されることとなりファンは歓喜した。ところがこれにももクロがブッキングされるニュースが流れると騒動が起こった。

フェスのFacebookコメント欄には、プロモーター側への批判とともに、ももクロへのバッシングコメントが相次いだ。

日本のメタル雑誌「BURRN!」編集部は「ももクロの取材はしない」と宣言。アメリカのメタル誌記者は「アメリカなら暴動が起きる」。ある日本の音楽ジャーナリストは「問題外」と切り捨てた。「フェス側が客集めに利用しただけ」という声も飛んだ。

これらの批判を見てか、会場ルールとしてももクロファンの応援アイテムであるサイリウムの持ち込みを禁止するなど、混乱を避けるための注意事項が追加された。

とはいえ、否定的な意見ばかりではない。

マキシマムザホルモンなど、出演者の多くからは「楽しみ」という声が飛んだ。

ももクロが普通のアイドルとは違うチャレンジ魂を持つと知るメタルファンからは「面白そうだ」「ももクロはなにかやらかすぞ」と期待を寄せる声もあった。

さまざまなコールに対し、ももクロサイドは「素晴らしいロックフェスで自分たちなりのパフォーマンスを見せたい」とコメントした。

「オズフェス」当日、会場はカラフルな衣装のモノノフとロックファンという異様な雰囲気に包まれた。

ついに出番。Overtureが流れ、モノノフのコールに送られてステージにももクロ登場、そこでモノノフも驚いた。今までならフェスの雰囲気に合わせロックテイストな衣装とメイクを施すのがお約束だったが、そこに立つ姿は紛れもないいつものアイドル・ももクロだった。そしてこれまでの賛否を蹴散らすように百田夏菜子がブチかました。

「見てから決めろー! 今、目の前にいる私たちがアイドルだーーー!

今、目の前にいる私たちが週末ヒロインももいろクローバーZだーーーっ!」

それは“うるせーバカヤロー!アイドルなめんじゃね―ぞ!”そんな叫びにも聞こえた。客は沸いた。

そして“逆境こそがチャンスだぜ”と歌う『ピンキー・ジョーンズ』、挨拶代わりの『行くぜっ!怪盗少女』を披露。

玉井が「いいかお前らー!高城の気合を見ろー!」と煽ると、高城が缶コーラを一気飲み、むせて“ゴホゴホ!”からの『黒い週末』が流れた。ここでギターに、人間椅子の和嶋慎治と同曲の作曲・編曲を手がけたNARASAKIがゲスト参加し、さらに『労働讃歌』『猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」』でもギタープレイを共演。

最後の挨拶で「ももいろクローバーZ!ありがとうございました!」と深々お辞儀をすると、大きな声援が送られ約30分のアウェーステージは終了した。

【ももクロに対する反応は?】

次の出番だったマキシマムザホルモンによれば、「舞台ソデから外国人ミューシャンやスタッフが食い入るように観ながら歓声を上げ、終わったあとは拍手喝采で出迎えていた」。

批判的だった雑誌「BURRN!」はTwitterに「ももいろクローバーZ、全力アイドルー!後ろのほうでも一緒の振りで踊ってる人、結構いますね」とつぶやき。

ロック雑誌「ロッキング・オン」は「結果的には彼女たちの全てを巻き込めるキャパシティを再確認させられたような気がしてならない」。

B’z稲葉浩志は「音楽のジャンルは全く違うけれど、手を抜かない感じは凄く勉強になりますね。あれだけのファンを前にして一歩も引かないもんね」と評した。

Twitterでも、ももクロを讃え、パフォーマンスに驚く声がたくさん連なった。メタルファンからは“受け入れ難い”というTLも沢山あった。

ネットサイト「音楽ナタリー」のインタビューで百田はこう話した。

「今日は、私たち自体が新しい方向の戦闘態勢だったんですよ」

「最初は(客は)“なんか来たな”くらいな感じだったけど、やっぱ最後の“Z!”は私たちから観ててもたくさんの方がやってくださったので」

裏話だが、そもそも会場のお客にももクロへブーイングを飛ばす人はいなかった。遠くからただ眺める人も多かったが、ノリの良い曲に声援を送る人が増えていった感じだったという。どうやらももクロに対する批判はネット上でだけ白熱したようで現場の雰囲気は良くも悪くも普通だったそうだ。

それにしても、まだ10代の女の子たちがバッシングを受けたステージに乗り込み、奇をてらわず媚びず自分たちのド直球スタイルで勝負した。この度胸を讃えない者はどうかしている。

ももクロは、カテゴリーはアイドルだが生き様はロックでメタルでパンクと言ってもいい。ももクロのプロ魂を見せたフェスだった。

道を切り開いた

8月11日茨城県ひたちなか市で、伝統の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019」が開催された。ももクロは3年連続の参戦となる。

グラスステージ一番手ももクロ登場の前に、恒例となっている主催者・渋谷陽一氏による挨拶があった。

「欅、モー娘。、ももクロ、今年のGRASSのトップバッターは5日中3組がアイドル。20年前のロックシーンでは考えられなかったこと。そんなロックフェスの文化の変化の先頭を走ってたのがももクロだと思います。ロックフェスにアイドルが出る道を切り開いたのがももクロ」。

リップサービスとの声も多かったが、元々アイドルには辛口の渋谷氏にこのような言葉を言わせたことで音楽好きもどよめいた。

【ももクロはアイドルである】

フェスで輝きを放つももクロに「ももクロはアイドルを超えたアーティストだ」などと評する人がいるが、それはももクロに対してもアイドルに対しても失礼だ。ももクロはアイドルに誇りを持ち、“アイドルは何でもできる、アイドル最強”を掲げている。褒めたつもりで悪気がないのはわかるがアーティストよりアイドルを下に見るような表現は違うだろう。というか、そもそもアーティストとは「表現者・その道のプロ」等という意味を持つので、いうなればももクロは“アイドルのアーティスト”なわけだ。

ももクロ、フェスで初バンドに挑む

9月29日、ミクニワールドスタジアム北九州で「阿蘇ロックフェスティバル」が開催される。参加が決まったももクロに、発起人の泉谷しげるから新たな使命が課せられた。

「現状に満足するな! バンドしろ!」

「新曲も入れていけ」「常に今のものを見せていけ」との檄も飛んだ。

情報によると、元銀杏BOYZの村井守を巻き込んだ5Pバンドでステージに立つ準備をしているという。

「自分たちを追い込んでやってやりますよ!」と話すメンバー。フェスで、今まで見せたことのないももクロバンドが見られるわけだ。

――――― ももクロを取り上げた記事だったが、音楽フェスはワンチケットで多彩なアーティストのライブが楽しめるため、本当に一粒で何度も美味しい思いができる。いわゆる“対バン”なので、出演側はファンを奪われたり奪ったりという争奪戦であるため、短い持ち時間でどれだけ魅力を凝縮してアピールできるかが肝になる。

逆に、見る側にとっては今持っている最高のパフォーマンスを体感できる抜群のイベントなわけだ。

その中に、きっと食わず嫌いだったアーティストや衝撃を受けるアーティストがいるはず。是非足を運んでみて欲しい。

 

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放送作家 石原ヒサトシ
この記事を書いた人

放送作家 石原ヒサトシ

放送作家 「クイズ雑学王」、「ボキャブラ天国」等 バラエティを中心にイロイロやってきました。なんか面白いことないかなぁ~と思いながら日々過ごしています。野球、阪神、競馬、ももクロ、チヌ釣り、家電、クイズ・雑学、料理、酒、神社・仏閣、オカルトなことがスキです。

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