DXが進まない…情シスとマーケってなんで仲が悪いの?リアルなところを聞いた

2023/03/21
佐伯美佳
DX

いま、社内でDXが進められているのを横目で見ながら、「なんだかうまくいっていない」「データを自由に使えない」など感じていませんか。そこにはどんな原因が潜んでいるのでしょうか? 実はどの会社も事情は同じだったりします。「なんちゃってDX」に陥っているなんてことも…。

そこで今回は、データベースの専門家集団であるインサイトテクノロジーが今年2月に開催した新ソリューション発表会で紹介した「企業でDXが進まないあるある課題」についてご紹介。

特に「データをくれない情シス vs データが欲しいマーケ」という情報システム部門とマーケティング部門の課題は「あるある」と、感じるはず!

■情シス部門 vs. マーケ部門 企業のDX化を妨げる社内対立とは?

同社のCTO 宮地敬史さんは、企業のDX化を妨げる社内対立として「データをくれない情シス vs データが欲しいマーケ」の関係性を挙げました。

株式会社インサイトテクノロジーCTO 宮地敬史さん
株式会社インサイトテクノロジーCTO 宮地敬史さん

マーケティング担当者は、マーケティング施策を行うために社内データをたくさん使いたいものですよね。でも、その社内データを情報システム部門がすべて自由に使わせてくれないなんていう実態はよくあるようです。

それぞれの言い分は次の通り。

●情報システム部門の言い分

・法令遵守をしてデータを提供することは必須。
法令遵守せずにデータを渡してしまうとデータの漏洩が発生し、企業イメージの失墜や巨額な補償金が発生してしまう。

・守らなければいけないデータを抜け漏れなく確認する必要がある。

・利用者全員が参照できる仕組みを整備する必要性がある。

・ただ、システムを作って運用していくのは非常に大変でコストもかかる。

●マーケティング部門の言い分

・分析をしたいデータが足りない。

・すぐ使いたいデータがあるのに使えるようになるまで法令尊守などで時間がかかり、使えるようになるまで1ヶ月かかる場合もある。

これらの対立、社内で起こっていませんか?

■DXを推進しているのに 「なんちゃってDX」に陥っている社内あるある

会議イメージ

また、社内ではこんな「あるある」があるはず!

・データの種類が多すぎて欲しいデータがどこにあるのか探すのが大変。

・データベースに入っているExcelファイルなどのデータの形式がバラバラ。

・各事業部がQlik Sense やTableau などそれぞれの方法で分析するなど、事業部ごとにシステム乱立して「沼」ができている。

・日々データは蓄積されて新しくどんどん作り直さなければならなく、単発のソリューションだけではまかなえない。

・Googleで検索するかのように社内検索をして、最新の売上データやキャンペーンデータなどを突き合わせてエクセルにまとめて分析するようなことができたらいいのに。

・「データをどうやって使うの?」などデータに関することを集中的に聞かれる人が決まってしまっている。毎回聞かれるのが大変。

これではDXと言いながら、データ活用が柔軟にできておらず、お世辞でも「DX化が進んでいる」とは言えないかもしれません。

■DX化が進まない要因と解決策

上記でご紹介したようなDX化が進まない課題の要因と解決策について見ていきましょう。

●要因
「近年は、顧客データ、経理データ、業務日誌、電子メールなど個人情報や会社の活動の機微な情報をデータの分析で使うことが増えています。そのような中で、情シス部門がデータを渡せないのは、データを保護するためのインシデント管理、コンプライアンス管理、リスク管理、監査管理が整っていないことが挙げられます。どこに必要なデータがあるのか。どんなデータがあるのかなど管理が大切です。膨大なデータの中でも、守るべきデータがどのくらいあるのかの把握が重要です。
データの活用方法についてのポータルを用意することも担当者の負担を低減するために必要です」(宮地さん)

株式会社NTTデータバリュー・エンジニア 代表取締役社長 大西浩史さん
株式会社NTTデータバリュー・エンジニア 代表取締役社長 大西浩史さん

また同発表会に登壇していた株式会社NTTデータバリュー・エンジニア代表取締役社長の大西浩史さんは、

「何のためにそのデータを活用していくのかという目的をしっかりと見定めていくことが大切ですが、それを実行していくための体制を整理していくことが必要です。そもそもDXとはなんなのか、何がやりたいのか、 データ活用を本当にしていきたいのかかが曖昧。DXという言葉だけが先走ってしまっていることが課題の一つとして挙げられます」「各システムが乱雑に産み落としたデータに手を入れてあげないと使えるようにならないというのは根本的な課題です。そもそも活用したいと思っているデータを人々が生み出してないというのが、根本的な課題と考えています」と話します。

●解決策
解決策として、プロダクト開発本部本部長 高橋則行さんは、

・乱立したデータの可視化ができる
・日本語に強いAIでの名寄せができる
・初めからセキュリティで守られている

といったような単純なデータを一元管理するようなインフラが必要だと話し、新製品であるデータ活用基盤「Insight Governor(インサイトガバナー)」を紹介しました。

株式会社インサイトテクノロジー プロダクト開発本部本部長 高橋則行さん
株式会社インサイトテクノロジー プロダクト開発本部本部長 高橋則行さん

「本当に必要なものは『DXインフラ』です。Insight Governorを利用することで、一般社員が従来の2倍にも及ぶデータ活用ができ、データ管理者がポリシーを定めればその後は自動運用ができるようにすることを目標に開発しています」(高橋さん)

こうしたシステムは一般社員が導入決定を進められるものではありませんが、情シスや上司に勧めてみるのも良いのではないでしょうか。

大西さんは、「解決のためには、これまでにはまったくなかったルールなどを作っていかなくてはなりません。さらにそのルールを活用・定着化していかなくてはなりません」と話しました。

 

【取材協力】
株式会社インサイトテクノロジー(https://www.insight-tec.com)

Insight Governorブランドサイト(https://www.insight-tec.com/brand/insight-governor/)

株式会社NTTデータ バリュー・エンジニア(https://www.nttdata-value.co.jp/)

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佐伯美佳
この記事を書いた人

佐伯美佳

国内出版社のWeb媒体を中心としたライター。Web業界を経て、ライターとして独立・起業。健康・美容・グルメ・ライフスタイル・ビジネスのジャンルを中心に執筆中。思わず読みたくなり、読んだら得する情報を発信してまいります。

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