【東京☆今夜はここで独り呑み】 ~「自由が丘」で秋の味とカウンターの醍醐味を堪能~

2018/09/26
遠藤 昇輝

『家呑みよりも、気になる町で独り呑み』今回は<目黒区自由が丘>に繰り出します。

平日の夜も、自由ケ丘駅周辺は人、人、人。単なる人の多さなら渋谷や新宿の比ではありませんが、その住民比率の高さを考えると「自由ケ丘の人気は凄い」となるのです。(さすがは“住みたい街ランキング”不動の上位)

凄いといえば、自由が丘の「変わらない街並み」。その象徴的な存在が駅前の「自由が丘デパート」です。昔ながらの個人商店が多数入居するレトロな異空間は、館内を歩いて回るだけで楽しくなる貴重な東京遺産です。

今宵はそんな自由が丘がホームグラウンドという某局のプロデューサー(以下P氏)と会食。独り暮らしの彼がすすめる和食の店で2人呑みとなりました。

その店は駅前のロータリーから少し離れたビルの地下。地下へと続く階段を下っていくと「ちそう」と書かれた白い暖簾が現れます。

L字カウンターの隅に陣取り麦焼酎で乾杯。会食の目的は「夏の特番の反省会」でしたが、あっという間に反省は終わり、次の議題は目の前で腕をふるう板さんたちの料理へ。

プロの包丁技は心地よく、ずっと見ていても飽きません。特に秋の和食は盛り付けを見ているだけで楽しくなります。そんなカウンター席ならではの醍醐味を感じつつ、先附、八寸(豆皿五点盛と進みます。

「お造里旬の鮮魚」は鯛と鮪がバックを務め、センターには旬の太刀魚。

続く「焼き物」は「秋刀魚肝だれ焼き」、これがこの日一番の秀作でした。脂の乗った身と肝ダレが絶妙で、思わずお酒がすすみます。次の「鱧柳川小鍋」をフウフウしながら掻っ込んでいると、隣のP氏が肘でツンツン。ん、と横を向くと、いつの間にかカウンター席はほぼ満席。しかも、私たち以外は全てカップル。

どうやらP氏は一組のカップルが妙に気になるらしい。ちょっと派手めの男性と超がつくほど真面目そうな妙齢の女性客。(う~ん、これはたしかに気になる)いったいどんな関係なのか?あれこれ想像してしまうのが人の性というもの。(もちろんご夫婦かもしれないし、単なる仕事仲間かもしれないのですが…)

一度こうなると他のカップルも何やら“訳アリ”に見えてしまうから不思議です。幸いカウンター席なので、カップルさんたちの目は板前さんの手元に集中し、耳は会話に集中していたので、私たちの存在は眼中にないご様子。

こうした人間観察もカウンターの醍醐味のひとつかもしれません。食事は「松茸と新銀杏の土鍋おこわ」に香の物。デザートの甘味もいただきお会計と相成りました。

 すっかり人通りも少なくなった自由通りを駅へと向かう途中、P氏がこんなことを言い出しました。もしかしてカウンターのカップルさんたちは、おっさん2人で座っていた私たちを“訳アリ”な2人と思って見ていたのではないか?

言われてみれば、大人のデートにうってつけのステキなお店で、カウンターにおっさん2人が並んで座り、楽しく談笑となれば…。彼らは私たちを気にしていなかったのではなく、見てみぬふりをしていたのではないか…。

人気の自由が丘でおしゃれなカウンターの店に行くなら、2人呑みより独り呑みが良さそうです。    

【今回のおすすめポイント】

▶店舗力:★★★★☆

▶商品力:★★★★☆

▶サービス力:★★★★☆

和食や ちそう

東京都目黒区自由が丘1-26-14

03(3725)0078

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遠藤 昇輝
この記事を書いた人

遠藤 昇輝

1968年東京生まれ 放送作家として数々の「東京の町歩き番組」を手掛ける傍ら“情報収集”と称してテレビ業界の面々が通う「独り呑みの店」を渡り歩く。東京の町の貴重な遺産を紹介するため一般社団法人東京遺産協会を設立。 町歩きプランナーとして自治体の魅力発信事業等にも参加。

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