いよいよ夏も本番。冷たいドリンクが美味しい季節です。現代では炭酸飲料やエナジードリンク、スポーツ飲料やフルーツ飲料などさまざまなものが売られていて、気分やニーズに合わせてチョイスすることができますが、江戸時代では何が飲まれていたのでしょう?
氷や冷やし水は貴重
まず、江戸時代には冷蔵庫がありません。暑い時に、よく冷えたドリンクを口にすることすら難しかったのです。そんな時に大活躍していたのは行商人たち。氷売りはもちろん、冷や水売りもいました。冷や水とは、砂糖で甘みをつけた冷たい水のことで、江戸時代のジュースみたいな存在だったのではないでしょうか。
この冷や水には、白玉粉で作ったカラフルな小さなお団子を入れることもありました。今のタピオカティーのようにも感じて、飲み物の流行は繰り返すのだなと興味深く感じます。中に可愛いつぶつぶが入っていると可愛いし、それだけで涼しさも増しますよね。
江戸では甘酒が大人気
『江戸楽』2021年7月号によると、江戸時代の夏の大人気ドリンクは甘酒だったのだそうです。今の日本では、酒粕が使われていることからか、体が温まるとして冬のドリンクだと考えられていますが、当時は逆だったのです。酒粕で作る甘酒とは別に、麹で作る甘酒もあり、江戸の夏に飲まれていたのは麹で作られたほうだったようです。
私も酒粕甘酒と麹甘酒を飲み比べてみたことがありますが、酒粕のほうは香り高く、アルコールに近い飲み物という印象で、麹甘酒のほうが味が濃く、とろみがある感じを受けました。どちらも美味しいので、季節や好みで飲み分けるといいでしょう。市販品には酒粕と麹をブレンドした一挙両得のようなものもあります。
甘酒は江戸のエナジードリンク?
先程の砂糖入りの冷や水が現代の日本の100円くらいの価格だったとされていますが、甘酒はその倍の200円くらいしたようです。飲むと元気が出るとされていて、疲れた時などに人気だったとか。今でいう栄養ドリンクやエナジードリンクのようなものだったのかもしれませんね。
夏バテの身体に、甘酒の優しい味わいがゆっくりと染み込んでいくのを感じながら、夏の夜の夕涼みをすると、江戸情緒が味わえそうです。うちわや扇子を手にすると、さらに雰囲気が出るのではないでしょうか。