「危ない!」列車が緊急停止したが線路に人が見つからない!?…オカルト鉄道怪談

2019/04/05
放送作家 石原ヒサトシ

ネットがザワついた。

3月25日午後8時20分頃、JR中央線武蔵小金井駅(東京都小金井市)で特急列車「あずさ33号」が緊急停止し、約1時間にわたって上下線で運転を見合わせるトラブルが発生。乗客約3万7千人が影響を受けた。運転士がホームの下に人がいるのに気づいて緊急停止させたという。

・・・ときどき耳にする一件だと思う人は多いかもしれない、しかし問題はそのあとだった。

その後の捜索で車両周辺に負傷者は見当たらなかった。つまり人はいなかったのだ。電車に人が接触した痕跡もなく、車載カメラにも人は映っていなかった。

では、運転士は何を見たのか。まさか幽霊?!

ネット上では

「もののけさんが出たの?」

「誰も死んでなくてよかったけど、どういうこと」

「この世に未練があるのは分かるが列車は止めないでほしい」

そんな声が飛んだ。

また、普通なら運転士の誤認としてかなり叩かれそうなものだが

“中央線だし・・・”

という、しょうがないというか納得というか、妙な理解がされたようで今のところ大きなクレームは届いていないようだ。

同じような出来事は結構多いようだ。例えば2013年2月17日、JR北陸線虎姫-長浜間でのこと。新快速電車が非常ブレーキをかけ、長沢踏切を過ぎたあたりで停車した。

27歳の運転士は「線路左側に男性らしい40~50歳くらいの人が立っていた」と認識し非常ブレーキをかけたが間に合わず、電車の左前角付近にぶつかった。その時、ドンという音も確認している。

救急車が出動し、長浜署が車体や線路などを調べたが、へこみや血痕などぶつかったような跡はなく、そして線路及び周辺に負傷者が見当たらなかった。―――――

この他にも、JR秋葉原駅、石川県の某JRの駅、福岡県の某私鉄の駅、などでも同じような件があったという。もちろん、これらは霊現象と決めつけることができない、オカルトなエピソードである。

首都圏の電車遅延

とにかくJR中央線は遅延が多いイメージが強い。それもそのはず、2016年度の統計ではあるが、首都圏45路線の遅延証明書の発行日数が多いランキング(※平日20日間を対象)は、1位JR中央・総武線各駅停車(三鷹―千葉間)で19.1日だった。平日20日間当たり19.1日なので、毎日のように遅延が発生しているわけだ。

ちなみに2位は、JR宇都宮線・高崎線(上野―那須塩原・神保原間)と東京メトロ千代田線で18.4日だった。

国土交通省によると、大規模な遅延の要因は、自殺(人身事故)や線路内への立ち入りといった「部外原因」が77%。車両や施設の故障などの「部内要因」が18%、などとしている。中央線に限ったわけではなく、やはり“自殺”は多いのだ。ただし、近年はフェンスを設けたホームドア化が急速に進んでいるので人身事故の件数は減るであろうとされている。

鉄道怪談

冒頭の出来事はリアルな怪談になる。自殺者を含め電車にまつわる死者が多いとなれば、実しやかに出てくるのは怪談である。そこで、最近知った首都圏の鉄道怪談を2つまとめた。ちょっと今っぽくてリアルだ。

【撮り鉄の男の子】

都心を周るY線も、朝と夕方のラッシュ時を除くと、意外にガランとしている時間帯があるもの。妙な男の子の目撃情報が多いのは、特に深夜である。

一人のサラリーマンが、ガランとした乗客もまばらな終電の車両に足を踏み入れると、離れた場所に小学生の男の子が一人で立っていた。

「こんな深夜に男の子が一人って」そう思いながら離れた場所に座り、チラチラと男の子を見ていた。席がたくさん空いているのに座らず、外の景色を眺めたまま・・・。気になったのは首からぶら下げている大きなカメラだった。

見られていることに気がついたのか、ふと男の子がこっちを向いて目が合った。

男の子が、ニタ-・・・と笑った。

ギョッとした。顔は黒くて表情まで見えないが、口元だけが横に広がって笑ったように見えたのだ。

「なんだあの子は!?」ドキッとしたその瞬間、男の子はパッと消えた。

都市伝説によると、この小学生の男の子は電車をカメラで撮るのが好きな“撮り鉄”だった。数年前のある日、駅のホームの端で電車を撮ろうと待ち構えていたらカメラのレンズが取れて線路内へ落ちてしまった。レンズは5万円ほどする高価なもの。おそらく親に買ってもらった大切なレンズ。拾おうと咄嗟にホームの下に飛び降りてしまい、入ってきた電車に轢かれてしまったという。

目撃が多いのは、U駅やN駅。深夜だけじゃなく、乗客の少ない15時前後の時間帯でも。

【聴こえる? アニメ女子のコール】

毎日のようにアイドルやアニメファンに向けたイベントが行われるオタクの聖地、秋葉原。実は、この街に行ける某沿線で、奇妙な“声”をキャッチする人が増えているという。

声というのは、どういうことか? これは20代の女性の体験談。

ある人気アニメのイベントが終了し、帰りの電車に乗り込んだ。時間は午後10時頃だった。楽しかったイベントの余韻に浸るかのように、そのアニメの、いわゆるアニソンをポータブルプレーヤーで聴き始めた。しばらくして奇怪な出来事が起こる。曲に合わせて、聞こえるはずのない女の声がコールを叫ぶのだ。

「はーいはい、はいはいはい!」「パンパパン ヒュー!」

“なにこれ!? 誰の声!?”いつも聴いている音源だからそんな声が入るはずがない。

耳を疑い、付けていたイヤホンをはずした。もしかして車両にいる同じファンの誰かが叫んだのかもしれないと思ったからだ。車両には同じイベントに参加していたであろうオタクさんが数人いたが、考えてみれば耳のそばで叫ぶような人などいるはずもない。

“空耳かな?”と思ったが、驚くことが起こった。音楽を聴いていた目の前に座る男性が、目を丸くしてイヤホンを外し、周囲を見回した。自分と同じリアクションを取ったのだ。“もしかしてこの人も?”

あとで都市伝説を聞いた。秋葉原によく足を運んでいた女の子のアニメファンが、沿線の某駅でホームから線路に転落し電車に轢かれて亡くなった。女の子は、秋葉原で開催されるアニメイベントに向かう途中だったという。しかしその願いは叶わなかったわけだ。

アニメ大好き少女の霊が一緒に楽しみたかったとアピールしたくて、同じアニメファンの耳に聞こえるようイヤホンを通じて定番のコールを叫ぶのだろうか。

少女の無念な叫びとも言えるコールを聞くのは同じ女性が多いというが、その後で何か怖い目に遭うということはないようだ。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

放送作家 石原ヒサトシ
この記事を書いた人

放送作家 石原ヒサトシ

放送作家 「クイズ雑学王」、「ボキャブラ天国」等 バラエティを中心にイロイロやってきました。なんか面白いことないかなぁ~と思いながら日々過ごしています。野球、阪神、競馬、ももクロ、チヌ釣り、家電、クイズ・雑学、料理、酒、神社・仏閣、オカルトなことがスキです。

放送作家 石原ヒサトシが書いた記事

あなたへのおすすめ

カテゴリー記事一覧

pagetop