仏教がまたキリスト教のイベントに押され気味なので、お坊さんに本音を聞いてみた

2017/04/27
放送作家 鴨島妙実

4月は新しい年度のスタートです。入社式や入学式、歓迎会やお花見など、ビッグイベントも多くあります。そんなにぎやかさに便乗してか、最近また新種のイベントが流行ってきていると思いませんか? そう、イースターです!

 

イースターとはもともとキリストの復活を祝うお祭りで、命の誕生を象徴する「卵」を使い、ゲームや料理が楽しまれますが、最近はテーマパークのみならず、コンビニスイーツもイースター仕様、ホテルのレストランでもイースターに便乗して卵料理を出すなど、まるでハロウィンを彷彿とさせる賑わいっぷりです。

 

イースターは「春分の日の後の、満月の日から初めての日曜日」なので、毎年3月下旬から4月の開催となりますが、そんなことより4月には、日本人にとって、より馴染みのある仏教で大切な日があります。それは48日、お釈迦様の誕生日です。

 

お葬式や法事、お墓参りにお寺に行く人も多いはず。ということは、仏教の方が、日本人の生活により馴染みがあるはずですよね。にも関わらず、お釈迦様の誕生日はあまり知られておらず、またキリスト教のイベント「イースター」の方が盛り上がりを見せています。この事態を “仏教”はどう思っているのか、お坊さんに本音を聞いてみました。

 

訪れたのは、四谷にある浄土真宗のお寺「真英寺」。なぜかというと、筆者の先祖のお墓があるからです。親族に「いい加減にお墓参り行きなさい!」 と言われていたこともあり、大分ご無沙汰してしまっていたお墓参りがてら、何かお釈迦様の誕生日イベントをやっていないかと、48日にうかがいました。

 

一般的にお釈迦様の誕生日は「花まつり」と呼ばれます。正式には灌仏会(かんぶつえ)と言い、その日はお釈迦様の像を置いたお堂をたくさんの花で飾り、甘茶をかけて法要をするのです。ところがその日の真英寺には、お堂もお花もなく、お祭りっぽい様子は特になし。不思議に思ったので、副住職の三浦さんにお話をうかがいました。

 

_今日は48日でお釈迦様の誕生日ですよね? お祝いというか、お祭りはしないんですか?

 

三浦さん:実は44日に終わってしまったんですよ。

 

_え!? そうなんですか! 意外とフランクにずらせるものなんですね。

 

三浦さん:この辺りはお寺が多いので、毎年、四谷地域のお寺が共同で花まつりを開催しているんですよ。小さいお子さんたちが稚児衣装を着て、新宿通りを1km弱パレードします。48日だと、学校や幼稚園が始まっている時期なので、稚児行列のメインの参加者である子どもたちが参加できるよう、春休みの期間に開催しています。

 

_そうだったんですね。でも毎年開催されているわりには、お釈迦様の誕生日ってあまり知られていない気がするのですが…。

 

三浦さん:四谷の花まつりは戦後すぐに始まったので、もう60年以上の歴史があるんですよ。「今年もまた花まつりの季節かぁ。」と、地元の人たちにとっては当たり前のような行事ですから。でも、最近は吉本新喜劇の小藪さんが、花まつりにちなんでイベントを主催されたりと、お寺に馴染みのない人たちの間でも話題になっているようです。

 

Instagramより @koyabukazutoyo_shinkigeki

※4月8日、渋谷のSOUND MUSEUM VISIONで、『4.8 お釈迦さま’s B.D. FLOWER FESTIVEL!〜お釈迦さまっ!ハピバだぉ♡〜』というクラブイベントが開催されました。

 

こうして近所にお寺がある地域では、花まつりは自然と年中行事として馴染んでいるのですね。「お釈迦様に甘茶かけて法要」だけだと、確かに盛り上がりづらそう。みんなで盛り上がって楽しめるイベントを入口に、その日の意味を知ってもらうのも、良い手法の一つではないでしょうか。

 

_ところで、最近イースターが台頭してきていますが、どう思いますか?

 

三浦さん:ウチにも子どもがいますが、華やかなイベントが増えると、やっぱり子どもは喜びます。パーティーパーティー、ごちそうごちそうとなると…親御さんたちはちょっと大変ですよね(笑)でも、家族や友達が集まって、皆でにぎやかに過ごすのは悪いことではないと思います。日本人は、御神輿を担いで街を練り歩いたり、昔からなんやかんやお祭り好きです。外国の宗教行事をイベントにして楽しむのが上手で、クリスマスなども今に始まったことではありませんよね。

 

キリストの誕生日があんなに有名なのに、お釈迦様の誕生日がそうでもないなんて、さぞ不服に思っておられるだろう、なんて、うがった質問をした筆者自身が恥ずかしくなるような寛容なご見解でした。まるで仏様のように。

 

三浦さん:ハロウィンとか、イースターとか、外国のお祭りは華やかでにぎやかなものが多いですね。でも、私自身もそうですけれど、私たちはそういうキラキラしたもので、普段かかえている“不安”を見ないようにしているのではないか、とは思います。お寺と言えば、お葬式や法事、お墓参りなど、死に直結しているイメージがありますよね。

 

_はい、私も、それ以外の用事でお寺に来たことありませんでした。

 

三浦さん:たとえばそういったもの(死)を見たくない、とか、見ないようにするために、華やかなイベントで覆い隠してしまっているのだとしたら…? そうしていれば、私たちは見たくないものから逃れることができるでしょうか。仏様が問題にしているのは、そういう私たちの姿です。

 

「見たくないものを、見ないようにしているのではないか。」これには筆者もドキッとしました。お寺に来ない理由を、「用事がないから」「面倒だから」にしてはいないか。暗いイメージより明るくワイワイしている方が、非日常を感じやすく、人も集まりやすいですよね。けれども、一時の高揚感で「明るくワイワイ」して、本当に大切なことを見落としてしまっているのでは? イースターという華やかなイベントのせいで、心から失念していました。

 

今、お寺は気軽に足を運べるような雰囲気づくりに、いろいろな方法を試みています。真英寺でも、本堂でヨガ教室を開催したり、仏様の教えをおもしろく伝える寄席を開催したりと、気軽に仏教に触れてもらうためのさまざまな取り組みをしています。檀家以外の方でももちろん参加可能で、最近は若い人の参加者も多いのだとか。

 

「どんな入口から入ってきても、仏様の教えに触れて今の自分を見つめ直してもらうことが仏様の願い」と語る三浦さん。まずはご近所のお寺でやっている催し物に、ふらりと足を運んでみてはいかがですか?

 

【真宗大谷派 真英寺】

住所:東京都新宿区若葉2丁目3-1

 

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この記事を書いた人

放送作家 鴨島妙実

ラジオ番組の構成や、コラムを執筆中。 「ADVANCE EARTH(NACK5)」や「マイナビ学生の窓口」などに参加。 明日が1ミリでも楽しい日になるような情報をご紹介したいと思っています。趣味は大喜利(のお題作り)。

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