今、「卍」(まんじ)を会話の中に使う若者がいると聞いた。「まじまんじ」とか言うらしい。テレビでも藤田ニコルが使っているところを聞いたことがある。ただ一体もともとはどんな意味なのか分からない。そこで、「卍」が地図記号に使われているお寺なら、その意味が分かるのではないかと思い、お寺に聞いてみた。
1軒目は群馬県のお寺。「だが普段使う言葉ではない」という答えが。また、若者が使っていることについては「知らなかった」とし、「勉強になりました。これから気にしてみます」と丁寧に答えて下さった。
2軒目は都内のお寺。だがこちらも「卍自体の意味もよくわからない」という回答。「基本的に地図記号以上の認識はない」とのこと。また、「例えばお寺の中で、『卍』のマークを飾ったような記憶もない」。ただ、「公式な地図記号になっているので、それなりの由来があるんだろう」とのこと。
ただここで、「仏教情報センター」という機関があると教えてもらった。ここはなんでも、各宗派僧侶により運営されている一般社団法人だそう。後日、その「仏教情報センター」に問い合わせると、これまた丁寧にメールで「卍」の由来についての回答を寄せてくれた。以下、理事長の長谷川さんからの答えをそのまま掲載する。
「もともとインドでは古い時代、ヴィシュヌ神という神様の胸毛で、瑞兆(おめでたい前兆)の印でした。仏教でも、胸や手足、頭髪に現れた吉祥(おめでたいこと)の印で、仏さまの印となりました。このことから日本では、お寺の記号として用いられてきました」
また、若者が「卍」を使っているという現象を知っているのか、またそれについてどんな感想をお持ちか聞いてみると、「若い方の間でそのように使われていることはあまり知りませんでしたが、特に感想はございません」とのことだった。
卍は神様の胸毛でおめでたい前兆の印だったのだ。もし今後、会話の中で「まんじ」を言うときは、有難く使いたい。