雑誌は全部ウエブメディアになってしまうんですか?『ケトル』嶋浩一郎氏インタビュー

2016/04/15
マガジンサミット編集部

雑誌『ケトル』(2011年創刊)の編集長であり、本屋大賞の発起人の1人であり、下北沢にある書店「B&B」の開業者でもあるクリエイティブディレクターの嶋浩一郎さん。なにを隠そう我らが『マガジンサミット』の名づけ親でもあります。

 

今、日本では年に一万誌以上の雑誌が発行されています。それに代わって台頭するウエブマガジンと淘汰されゆく雑誌。その両方を愛する『マガジンサミット』はジレンマです。はたして雑誌の面白さはウエブで伝わるのか、雑誌の価値とは何か、伺いました。

雑誌は無駄担当メディア

「ポラロイド社にはかつて“miscellaneous laboratory”、勝手に訳すと『分類不能研究所』という組織があって。商品とはまったく関係ない分野の研究を推奨していました。グーグルも従業員の労働時間の20%を本業とは関係ないことに使ってよしっていう方針でしたよね。つまり彼らは、今、自分達が気付いていないことのなかに、面白くて大切なことがあると考えているわけです」

 

「僕が編集長をつとめる『ケトル』は“とことん”無駄にこだわるメディアです。無駄な情報が入っているか、徹底的にライターさんにディレクションします。「そんなの知ってどうするんですか?」みたいなことですかね」

 

「以前、企画した特集【本屋が大好き!】では、本屋さんに一番多い血液型はA型で、長男が多くて、AKBで一番好きなのは篠田真理子(当時)ってことがわかったりね。本屋好きならもちろんここまで知っていたいよね、何に役立つかわからないけど…ってところまで調べます」

 

 

「雑誌には“偶然”発見する楽しさがあります。記事を読んでいると、隣のページに探してもみなかった情報が。そんな想定外の情報と遭遇できるメディアです。本屋さんに入って棚と棚の間を巡ることで買うつもりのなかった本を手にしてしまうのと同じ構造」

 

「そもそも雑誌って“雑”って文字が付いているでしょ。つまり雑誌自体は何をテーマにしても自由だし、決まった領域があるわけじゃないんですよ。さらに最近では、リトルプレスやZINE※みたいのが出てきて新しいテーマや編集に取り組んでいる。まさに、雑誌には何を取り上げてもいい“分類されない心地よさ”と自由さがあるんですよ」

 

※企画、制作、販売を自らの手で行う少部数発行の冊子。その中でもZINEは、コピー機やプリンターで印刷しホチキスでとめるなど、完全ハンドメイド冊子。

 

「一方ウエブは、それこそ膨大で雑多な世界ではあるんだけど、わたし達は、検索する時点で、検索ワードに価値があると知っている。たとえばヤフーでもグーグルでも、結局自分が興味のあるワードしかクリックしませんよね。対して雑誌は、価値があるかどうか知らないで読むわけです。」

雑誌にちかい編集で成功しているWEBメディアは?

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