『ニクソン』や『ブッシュ』など、過去に大統領を描いた映画は多数ありますが、明日4月5日から公開の映画『バイス』は、“副大統領”を描いた映画なんです。
本作の主人公は、ジョージ・W・ブッシュ政権の際に副大統領だったディック・チェイニー 。なぜ副大統領の話を映画にしたのか?副大統領の話なんか映画にして面白いのか?それに関しては、全く問題ありません!!なぜなら、チェイニーは自己中で野心的な悪党だからです!!
9・11が起きた時には、ブッシュ大統領をイラク戦争に焚きつけたのは、チェイニーだったんです。まさに“影の大統領”とも言うべきフィクサーっぷりで暗躍。
所で、どうやってチェイニーは副大統領まで登り詰めたのでしょうか?それが本作のストーリーです。ちなみに、本作はほぼコメディです。
悪の出世街道をひた走る!!
1960年代。青年時代のチェイニーはアル中の労働者でした。それを見かねたチェイニーの奥さん。メッチャ怒ります。それはそうだろうと思うかもしれませんが、その怒り方が凄いんです。「あんた、何やってんの?アンタは本当はデキる男なんだから、ちゃんとやれば政治家にだってなれるのよ!!」と叱咤激励!!意外に素直なチェイニーは「解った!!やってやる!!」と一丸発起!!政界ロードへ走り出します!!そして、当時、破天荒路線の下院議員だったドナルド・ラムズフェルドの下へ。のちのラムズフェルド国防長官です。
そこから、権力に取り憑かれたチェイニーは、大統領首席補佐官、国務長官、ブッシュ政権で副大統領と悪の出世街道をひた走って行きます。
9・11同時多発テロの裏では……
本作は、9・11同時多発テロの衝撃に困惑するホワイトハウスでのエピソードと過去のチェイニー成り上がり物語を巧みに行ったり来たりしながら進行。
その中で、ニセのエンドクレジットを流したり、チェイニーと奥さんが「シェイクスピアみたいだから、シェイクスピア風にやろうよ」とシェイクスピア調でシーンを進めたりと、もはや遣りたい放題。
しかも、戦争大好き大統領ブッシュを頭の足りないおバカさんに描写。チェイニーも「やれやれ……」といった感じのヤリトリは、もはやコント。
アダム・マッケイ監督とは?
本作のメガホンを取るのは、アメリカの長寿番組「サタデー・ナイト・ライブ」で放送作家やディレクターをしていたアダム・マッケイ監督。「サタデー・ナイト・ライブ」とは、その週に起きた事件や政治ネタを、その週のうちに爆笑コントにしてしまうバラエティ番組。デリケートな政治ネタも政界のスキャンダルも全部、笑いにトランスフォームしてしまうアメリカらしい番組なんです。
そんな番組を作ってたアダム・マッケイ監督だけあって、『俺たちニュースキャスター』や『マネー・ショート 華麗なる大逆転』など、ちょっとマジメになりそうな題材をコメディとして多発させた実積あり。
そんな中、公開前から話題になってるのがチェイニー役で主演のクリスチャン・ベールなんです。
やり過ぎ役作り!!
映画『マニシスト』では、1年間も寝てないキャラクターを演じる為、30キロの減量でガリガリに。その4ヶ月後には、映画『バットマン ビギンズ』の為、爆食い&トレーニングでマッチョボディへトランスフォーム。今回もチェイニー役を演じるにあたって、体重を20キロ増力し、髪を剃り、眉毛を脱色。さらに本物のチェイニーにソックリなシャガレ声を習得するという、やり過ぎ役作りっぷりを発揮。本気度ビンビンでお届け。
その他、妻リン役には『ザ・ファイター』や『アメリカン・ハッスル』等でクリスチャン・ベールと共演済みで、SFの新機軸と話題になった『メッセージ』で主人公を演じたエイミー・アダムス。実は大統領を影から操るチェイニーを操っているキレ者の妻役を熱演。
調子の良い政治家なラムズフェルド役には、実在の人物を演じた『フォックスキャッチャー』や『バトル・オブ・セクシーズ』でコメディアンのイメージから脱却したスティーブ・カレル。テンションアゲアゲで見た目からしてヤバめ。
ブッシュ役には、派手な特殊メイクをしてないのに激似な『スリー・ビルボード』のサム・ロックウェル。アカデミー賞常連俳優たちが豪華に集結!!
そんな本作は、第91回アカデミー賞では、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞。
大国アメリカの影の実力者の実像を楽しみつつ、ソックリ度も是非、チェックしてみて下さい!!映画『バイス』は、明日4月5日より公開です。
(C)2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All rights reserved.
ギボ・ログ★★★★☆