JRAルール改正「鞭にパッドを装着」馬は鞭で叩かれて痛いのか?

2017/01/11
放送作家 石原ヒサトシ

2017年からJRA(日本中央競馬会)は、一部競争ルールを改正した。その中にこんな項目が。【パッド付鞭の義務化ルールの国際調和及び動物愛護の観点から、競走において騎手が使用する鞭を、パッド付鞭に限定します】

 

佐藤友則騎手のパッド付き鞭。先端が従来のものより大きいのだ。

 

 

佐藤友則騎手Twitterより @tomojk

 

パッド付きの鞭の使用は競馬主要先進国では今や当たり前で、日本はかなり遅れての導入らしい。鞭の先端にパッドを付けることで、馬が鞭で打たれる衝撃を和らげようという意図があるようだ。

 

ネット上では「鞭で叩かれるのは可哀想」「痛みが軽くなるならいいことだ」という声も多かった。

 

そこで「?」と思った。それは【馬は鞭で叩かれると痛いのか?】。今回のパッド付き鞭使用のルール改正に関し、JRAのガイドには“馬の痛みを和らげるため…”とか、そんな明文はない。私も競馬歴は長い。競馬を知らない人との鞭の認識が違うと感じたので調べてみた。

 

痛くないであろう、という関係者

 

本当に痛いかどうかは馬に聞いてみなければわからないので、あくまでも推測になるが、馬と身近に接している人の証言に一番信憑性があると思う。日本では、レース中に鞭を入れる回数は10回と定められている(※これに関する細かいルール説明は省くが)。

 

怪我をするくらい力いっぱい叩けば、また同じ所を何度も叩けば傷付いて痛いかもしれない。でも騎手は力任せに鞭を打っているわけじゃない。

 

昔、鞭で叩かれた馬は痛いのか?と、ある競馬関係者に聞いたことがある。その人はこう言っていた。「力いっぱいシバいたら痛いかもしれない。でも、500キロもある動物にしてみれば撫でられたくらいの感覚かもしれないですね」。

 

また「馬は走ることに集中しているから痛くないはず」、という人もいる。ある日本のトップジョッキーも「人間が思うほど馬は痛がっていないと思う」と話していた。

 

私が思うに、本当にムチで叩かれるのが嫌だったら、レースはおろか調教で人に跨がられるのも拒否するのではないか? と思うのだ。馬の革は野球の球に使われるほど硬いのだから、痛みを根本的に人間と比べてはいけない。

 

鞭がなければ競馬はキケン!

 

では、競馬で鞭を使う理由は何なのか? まず、馬は鞭で叩かれると痛いから速く走ろうとすると思っている人も多いようだが、それは大きな誤解。鞭で叩かれたくなかったら走れ! と、痛がらせて走らせる意図はないのだ。

 

鞭を使う理由は主に2つ。

 

1・スパートの合図

鞭で叩かれたら速く走る合図だ、ということを早くから教え込まれるので勝手に反応するようになる。

 

2・左右のよれを矯正する

基本的に馬は真っすぐ走ってくれない。また、特にバテると左右によれながら走る。そうなると他の馬の進路を妨害したり、ぶつかる危険性が高まる。そこで、よれた反対側の尻などを鞭で叩いて真っ直ぐ走るよう矯正する。__というのが一般的な鞭の用途。ただし、競馬は奥が深い。

 

鞭で叩かなくても走る!?

 

痛くはなくても、肌を触られる感覚が不快なのか、衝撃を受けると不快なのか、デリケートな馬もいるようで。鞭を入れると逆に反抗的になって指示をきかなかったり、走る気をなくしたり、逆効果な場合もある。馬にも性格がある。

 

そんな癖のある馬は、「見せ鞭」といって、鞭で叩くふりをしたり、見せるだけでもスパートの合図だと理解する馬もいる。また、鞭は主にお尻を叩くものだが、そこを嫌がる馬もいる。そんな馬は「肩鞭」といって首の部分を叩いて合図する場合もある。

 

余談かもしれないが、鞭で強く叩いたほうが闘志を剥き出しにし、喜ぶように加速する馬だっているそうだ。つまりMタイプってこと。

 

騎手は鞭を使い分ける

騎手は自分仕様の鞭を何本も持っていて、騎乗する馬によって使い分けている。

 

例えば、肩鞭しか使わない場合は短い鞭、若い馬には柔らかい鞭、反応が鈍い馬には強く叩けるように堅い鞭。また、鞭を振った際にヒュンヒュンと鳴る音に反応する馬には、先端部分に羽のようなものを付けて空気を切りやすい鞭を使うなど。騎手は、馬の性格、性質を見極めて鞭を使いこなすのも重要なのだ。

 

またまた余談だが、ある騎手はレース中に鞭を落としてしまい、手で馬の肩を叩いて合図したことがある。

 

ある騎手は、鞭を使うよりも追う(手綱を持って首を使わせて走らせる)方が速く走れるとしてレースで鞭を使わないことも多い。追うというのは騎手が凄く体力を使う技術で、鞭に頼らないのはなかなかできない芸当である。

 

例外はあれど、鞭は馬を速く走らせる目的はもちろん、安全に競馬を遂行させるための重要なアイテムで、騎手は馬に応じた扱いが求められる。

 

要するにイメージの問題?

こんなことを言っている人がいた。「競馬で馬の鞭打ちを廃止して欲しい」「ドッグレースみたいに馬だけ走らせればいいのに」競馬を知らなすぎてがっかりした。競走馬は人がコントロールしなければレースなどできない、人がコントロールするから安全に走れるのだ。そのために鞭は欠かせないのである。

 

動物を鞭で叩くのはイメージとして良くないのは分かるが、馬とコミュニケーションを図るための重要なツールとして受け取ってはくれないだろうか。

 

この記事が気に入ったらいいね!しよう

放送作家 石原ヒサトシ
この記事を書いた人

放送作家 石原ヒサトシ

放送作家 「クイズ雑学王」、「ボキャブラ天国」等 バラエティを中心にイロイロやってきました。なんか面白いことないかなぁ~と思いながら日々過ごしています。野球、阪神、競馬、ももクロ、チヌ釣り、家電、クイズ・雑学、料理、酒、神社・仏閣、オカルトなことがスキです。

放送作家 石原ヒサトシが書いた記事

あなたへのおすすめ

カテゴリー記事一覧

マガサミTOPIX

美女がスポーツウェア&ドレスで登場!「ミス・ワールド2019」日本代表候補ファイ…

本日発売の雑誌一覧

    カバーガール

    カバーガール大賞

    人気のキーワード

    follow on Twitter @magazinesummit
    pagetop