ラグビーのヘッドギアは「脳震盪」を防ぐためじゃなかった!?

2016/03/09
放送作家 イチカワ

日本チームの初参戦で話題のスーパーラグビーが、2月26日に開幕した。(日本の開幕戦は2月27日)。

 

そんなラグビーを見ていると、“ヘッドギア”(ヘッドキャップ)を頭にかぶっている選手がいる。このヘッドギア、何のためにつけているかご存知だろうか?

 

そりゃ当然、タックルとかスクラムで、頭がガツンとぶつかったときに、脳震盪になるのを防ぐためでしょ、と僕は思っていた。でも一番の目的はそうじゃなかった。

 

ヘッドギアで脳震盪は防げない?

「臨床スポーツ医学 Vol.31, No.3 P230」に、こんな調査結果が記されていた。

ユース(年齢12~21歳)のラグビー選手(n=3686)を対象に、ヘッドギアなし、スタンダードヘッドギア(厚さ10mm)、特殊ヘッドギア(暑さ16mm+衝撃吸収素材)の3群に無作為に割り付けを行い、脳震盪発生率の違いを観察した。(中略)その結果、3群間で脳震盪の発生率や、全外傷発生率に差異は認められなかった。

つまり、ヘッドギアをつけていようが、つけていまいが、脳震盪の発生率は変わらないらしい。

 

そもそもラグビーのヘッドギアは、アメフトのヘルメットや、ボクシングのヘッドギアほど、衝撃から頭を守る能力はない。切り傷や打撲から頭を守るという効果はあっても、脳震盪の予防とまではいかないようだ。

 

ヘッドギアをつけるリアルな理由

じゃあ、なぜヘッドギアをつけるのか?

それは、脳ではなく“耳を守るため”だという。

 

というのも、ラグビーではスクラムやタックルで、耳が擦れる。ときには、パックリと切れることもある。そうすると耳は腫れて、それが回復しないまま、また擦れたり切れると“カリフラワー耳”になる。

 

カリフラワー耳というのは、ギョウザ耳と呼ばれていたり、柔道では柔道耳、相撲では相撲耳などと呼ばれている、耳が腫れたりつぶれたままになる症状。

 

腫れていることで何が良くないかというと、見た目が良くない。Tシャツにカリフラワー耳はまだいいけれど、スーツにカリフラワー耳はスタイリッシュじゃない。腫れ具合によっては、周りから軽くひかれる。

 

ヘッドギアを着けない選手が多い理由

だったらみんな、ヘッドギアを着ければいいのにと思うけど、着用が義務付けられていない大学生以上は、ヘッドギアをつけていない選手が多い。

つけない理由は、ヘッドギアにもデメリットがあるから。

 

それは「視界が狭まる」「ずれると前が見えなくなる」といったプレーに直接関わる影響から「暑い」「蒸れる」といったストレスまで様々。

メーカーの改良が進められているけれど、ヘッドギアをつけたくない人は多いようだ。

 

試合中の痛みや出血、その後のカリフラワー化。ラグビーのヘッドギアは、耳を守ることが重要だったんです。

 

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ラグビーマガジン 2016年
Fujisan.co.jpより

 

< 取材・文 / イチカワ >

 

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放送作家 イチカワ
この記事を書いた人

放送作家 イチカワ

放送作家。1979年生まれ。静岡県出身。 ゴールデン帯の情報バラエティ番組などを担当していますが、生活の知恵にも、人生の糧にもならなさそうなことでも、ふと気になったことを書いてしまうのは、仕方ないと思っています。

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