日本チームの初参戦で話題のスーパーラグビーが、2月26日に開幕した。(日本の開幕戦は2月27日)。
そんなラグビーを見ていると、“ヘッドギア”(ヘッドキャップ)を頭にかぶっている選手がいる。このヘッドギア、何のためにつけているかご存知だろうか?
そりゃ当然、タックルとかスクラムで、頭がガツンとぶつかったときに、脳震盪になるのを防ぐためでしょ、と僕は思っていた。でも一番の目的はそうじゃなかった。
ヘッドギアで脳震盪は防げない?
「臨床スポーツ医学 Vol.31, No.3 P230」に、こんな調査結果が記されていた。
つまり、ヘッドギアをつけていようが、つけていまいが、脳震盪の発生率は変わらないらしい。
そもそもラグビーのヘッドギアは、アメフトのヘルメットや、ボクシングのヘッドギアほど、衝撃から頭を守る能力はない。切り傷や打撲から頭を守るという効果はあっても、脳震盪の予防とまではいかないようだ。
ヘッドギアをつけるリアルな理由
じゃあ、なぜヘッドギアをつけるのか?
それは、脳ではなく“耳を守るため”だという。
というのも、ラグビーではスクラムやタックルで、耳が擦れる。ときには、パックリと切れることもある。そうすると耳は腫れて、それが回復しないまま、また擦れたり切れると“カリフラワー耳”になる。
カリフラワー耳というのは、ギョウザ耳と呼ばれていたり、柔道では柔道耳、相撲では相撲耳などと呼ばれている、耳が腫れたりつぶれたままになる症状。
腫れていることで何が良くないかというと、見た目が良くない。Tシャツにカリフラワー耳はまだいいけれど、スーツにカリフラワー耳はスタイリッシュじゃない。腫れ具合によっては、周りから軽くひかれる。
ヘッドギアを着けない選手が多い理由
だったらみんな、ヘッドギアを着ければいいのにと思うけど、着用が義務付けられていない大学生以上は、ヘッドギアをつけていない選手が多い。
つけない理由は、ヘッドギアにもデメリットがあるから。
それは「視界が狭まる」「ずれると前が見えなくなる」といったプレーに直接関わる影響から「暑い」「蒸れる」といったストレスまで様々。
メーカーの改良が進められているけれど、ヘッドギアをつけたくない人は多いようだ。
試合中の痛みや出血、その後のカリフラワー化。ラグビーのヘッドギアは、耳を守ることが重要だったんです。
< 取材・文 / イチカワ >