健康マニア、長寿として有名な天下人といえば徳川家康。家康は早くから食生活に納豆を取り入れていたと伝えられています。
そんな納豆を科学的見地から研究し健康価値向上と、その重要性を普及啓発するために、おかめ「納豆サイエンスラボ」が発足。12月15日には都内で、第1回メディアセミナー「納豆菌の免疫活性による感染症対策の可能性〜S-903納豆菌のインフルエンザ予防効果の最新研究結果発表」が行われました。
当日は同ラボの協力メンバーである3人の有識者と、「おかめ納豆」の製造販売で有名なタカノフーズ株式会社スタッフが登壇し、それぞれの研究報告をしました。
倉敷芸術科学大学の須見洋行特任教授は、納豆の健康効果について発表。都道府県別の納豆消費量と大腿頚部骨折患者の数をまとめた資料を提示し、納豆が骨粗しょう症予防に働くことを伝えました。
須見教授は「納豆は日本海軍を中心に赤痢などの予防、治療にも使用されてきた。今後は免疫系への影響についての研究に、興味が持たれるところ」としました。それを受けて、国立研究開発法人産業技術総合研究所の辻典子氏は「納豆菌による免疫機能向上の可能性について」をテーマに講演。「がんや感染症を予防する感染抵抗性と、リウマチやアレルギーなどを予防する抗炎症力は、食べ物で高めていく必要がある」と述べました。納豆で免疫応答能力を高めることは、有意義とのことです。
また、中部大学生命健康科学研究員の林京子氏はインフルエンザ予防効果について語りました。インフルエンザのワクチンは抗体を作って予防します。ところがウイルスは姿を変えるので、その度にワクチンを作り替える必要があるのです。そこで林氏が提唱したのは「免疫力(生体の力)」を高めること。林氏によると免疫機能の6〜70%は腸管に存在するそう。つまり、口から摂取し免疫力を高めることができるのです。
納豆のパイオニア、タカノフーズで発見されたS-903納豆菌
※タカノフーズの研究を報告する赤田さん
タカノフーズは開発部門スタッフの赤田圭司さんが、自社の取り組みを交えて納豆の美味しさに対する納豆菌研究を報告していました。
「納豆をやわらかくする納豆菌」や「甘みを残す納豆菌」などを見つけ出してきた同社。現在も保管棚には、約2000株の納豆菌が保管されています。そんな中、同社では2005年から納豆菌の免疫に対する機能性研究が行われてきました。保有株903番目に登録されていたのがS-903納豆菌です。納豆菌の学名と、体の働きを応援する「サポート」の頭文字からS-903と名付けられました。発明の名称を「免疫に対する機能性を高めた納豆及び抗アレルギー用組成物」として、2007年に特許出願、2012年に特許登録されました。
研究部門スタッフの小林知世さんは「動物試験、ヒト試験で粘膜免疫を向上させ、花粉症などによる鼻炎症状を改善させる可能性が示唆された」と話しています。
※小林さんはS-903納豆菌のこれからの期待値を説明
現在、タカノフーズが販売している商品に、S-903納豆菌は含まれていません。しかし、来年を目処に商品化を進めているそうです。健康食品として注目されている納豆は、好き嫌いが分かれる食べ物でもあります。とはいえ、古代ギリシャのヒポクラテスは言います。「食べ物で治せない病気は、医者でも治せない」と。メカニズムを良く知って、食べ物に関心を持つことが重要なんですね。