絵本からも見えてくる中国・習近平国家主席の権力集中への道のり

2017/11/18
N田 N昌

 

先日、トランプ大統領が中国を訪れ、その際に、日本円にして合わせて28兆円余りに上る商談が成立したことでも話題になりました。言うまでもございませんが、今や中国は世界が認める経済大国でございます。日本もたくさんの観光客のみなさまにお世話になっております。そんななか、日本の絵本が中国で人気なのをご存じでしょうか。

 

人気のお話の前に、中国の絵本事情について少しお話すると…。

 

中国では一人っ子政策が廃止され、2人目の子どもを持てるようになり、早期教育に感心を寄せる家庭が増加、児童書の市場は急激な経済成長と共に急成長中でございます。中国で2016年に購入された書籍1万6000種類のうち、なんと、最大8割が児童書!ちなみに、amazonの中国語サイトで最も売れている10冊のうち6冊は絵本の翻訳作品だとか。児童書の中でも外国で刊行されたものに対する需要が高いのでございます。

 

外国の児童書のなかでも日本の絵本が人気で、佐野洋子様の代表作「100万回生きたねこ」は、2004年に中国で翻訳本が発売され、販売部数が100万冊を突破!「100万回読んでも飽きることがない本」と称賛され、ミリオンセラーとなっております。中国の若い親(80年代生まれ以降)が日本のアニメの影響を大きく受けており、 日本の絵本に親近感を持っているのも人気の理由と言われております。

 

 

がしかし!でございます。中国では、先月(10月)、5年に1度行われる中国共産党大会が行われ、新しい最高指導部が選出され、習近平主席が党のトップの総書記に正式に再選されました。みなさまもご存じのとおり、2期目に入る習様はさらなる権力集中を目指すのではないかと言われております。

 

トランプ大統領の中国訪問の際にも「ツイッターはつながるの?」と心配されましたが、中国では言論統制が年々厳しくなっております。そんなあおりを絵本も受けているのでございます。

 

今年3月、言論統制を強める中国政府は、西側諸国のイデオロギーを排し、中国の作品を保護する目的で、外国で刊行された絵本に関して、中国国内での翻訳出版を大幅に削減するよう指示したと報じられております。

 

せっかく、アニメのように日本の絵本の魅力が世界に拡散されはじめていた矢先に…でございます。なんとか、習様に外国の絵本、日本の絵本の魅力をご理解頂きたいものでございます。

(文:NN昌)

 

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N田 N昌
この記事を書いた人

N田 N昌

放送作家・ナンセンス絵本マニア 「有田とマツコと男と女」「レゴニンジャゴー(アニメ)」 「天才テレビくんMAX」「小島慶子のオールナイトニッポンGOLD」 など、テレビ・ラジオ番組の構成脚本を担当。

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