世の男性たちの悩みのひとつが、薄毛。これを記している自分自身も、高校時代から「人より薄い」と思い始め、仕事に就くころには額が広くなり、30代で薄毛を紛らわせるために坊主にした。
では薄毛はどんな仕組みで進行するのか。東京・丸ノ内でメンズヘルスクリニック東京を展開する小林一広院長は脱毛のメカニズムについてこう説明している。
「人の頭髪は1日に80~100本程度は抜け落ちていきます。そして代わりに新しい毛が日々生まれてきます。その源は毛根を包む毛包という組織にあります」
「毛包は、成長期、退行期、休止期を繰り返し、毛を生み出します。とりわけ2~6年とされる成長期に髪を成長させてくれます。薄毛はこの成長期が、数か月~1年程度に短縮されてしまうことから起こります」
なるほど。自毛の成長サイクルが、短くなってくることに、薄毛が始まると。
成長サイクルを短くする要因はなんなの?
精神科医で頭髪治療を実施する小林院長は、「同年代と比べて毛髪が薄くなってきていると感じる20~30代の人が、多く来院します。なかには、我々が診ても薄毛の心配は『いまのところまったくない』という人も来院されるケースも多いです」という。
「こうした若い世代の患者のなかには、人前に晒せない自分に悩む身体醜形障害や、自分の抜け毛がたまる排水口を見て確認しないと気がすまないような強迫性障害に悩む人たちもいます」
自分は薄毛だと思ってクリニックを訪れたのに、実は薄毛ではなく精神的な悩みを抱えていたってわけか……。
そこで、小林院長は精神科医の見地から、カウンセリングを重ね、薄毛に悩む人たちのゴールを共有。メンタル面をフォローしながらAGA治療薬(ミノキシジル、フィナステリド)を処方しているという。
男を磨くならメンタルを見つめ直せ
メンタルから薄毛に向かい合う。そんな治療プロセスには、思わぬ“イイこと”にも出会えそう。「薄毛と精神の健康について考えてほしい」という小林院長は、こんなことも伝えていた。
「悩みを抱えていた患者さんが、治療によって改善したことを認識すると、その意識が、メタボの解消やオシャレにも向かっていきます」
「要は、髪のことが気にならなくなれば、男を磨く気持ちが高まり、ひいては心身の健康をより意識するといったケースが多く見受けられます」
―――よし、オレもまず、ストレスや心配ごと、不安なことがないか、専門医療機関に聞きに行こうと思う。本気で。