『団塊ジュニア』と『ゆとり世代』の狭間に位置するアラサーは『プレッシャー世代』と言われているようです。
1982年から1987年に生まれた人達のことをさし、バブル崩壊、阪神淡路大震災・地下鉄サリン事件を幼少期に体験。
その後も就職期にリーマンショック、結婚を考える頃になって東日本大震災など、常にプレッシャーを感じながら生きてきた世代とされています。
この『プレッシャー世代』が世界の大舞台で何度も結果を出し続けた北島選手やダルビッシュ有、高橋大輔をはじめ、スポーツ界で素晴らしい活躍をしています。
俳優、女優でいえば、長澤まさみ、蒼井優、杏、松田翔太、小栗旬、上戸彩……書きだすとキリがないほど。今が旬の人達です。
なぜこの『プレッシャー世代』が、名をとどろかせているのか?
これは教育界に大きく関係があるのではないのかと思うのです。実はこの世代、教育界では“ゆとり教育への移行期間”として、各学校がどんな教育をしていくべきかと、ある規定の元、独自に試行錯誤していた時期なのです。
各教科の授業を柔軟に組み、授業の形態を子ども達に合った形に変則させていたことが考えられます。
具体的にお話しますと、年間の授業数は各教科決まっています。
最近ニュースでも話題になりましたが「決まった授業の時間を受けないと、子ども達は進級や卒業ができない」ということなのですが、例えば英語の授業において、一週間で4時間行わなくてはいけないとなると、一日は英語の授業が無い日が出てくるわけです。
そこで、1時間の授業時間を少しずつ減らし、五日間に規定時間を分け、毎日行えるようにするのです。
特に第二言語などは、毎日触れている方が定着しますからね。何事も生活のリズムに取り入れると、存分に力を発揮したい大事な場面において、身構える精神は薄れて行き、失敗のもととなる『緊張』をせずに、全力で取り組める。そんな子ども達が多いようです。
他に大きな違いは『クラブ活動』
『クラブ活動』は『部活動』と違って、授業としてカウントされているので全員参加。その中で、授業とは違った学び、人間交流がありました。今では、総合の時間とうものがありますが、これは『人生設計をする』ということが大きなテーマとなり、社会人の話を聞いたり、職場体験や地域振興などの活動等、将来自分が何をしたいのか?どんな人生を歩んでいけば間違いなく幸せと言えるようになるのか?と、大人の世界をのぞき見する要素が大きい気がします。
そんな『総合』と『クラブ活動』の大きな違いは、「自分の“好き”を周りと関わりながら伸ばす」にあると思うのです。総合の時間は、個々、つまり自分の将来についてのビジョンが主になっているので、進路を考えるために非常に有効。どんな所でどんな生活をしたい、どんな仕事をしたいと“目標が明確”になるため、勉強への意欲が俄然変わっていくという良き点があります。
それとは違い『クラブ活動』は、自分のやりたいことを同じ思いを持つ仲間と共に時間を共有していくので、自分の良き点を周りの人に認められる環境にありながら好きなことを追求していけるのです。好きなことに没頭しても周りは否定などせず肯定する。正に褒められて伸びる環境だけに、自分を楽しませたいからもっともと上を目指す。
さらに周りも同じ好きなことに対し研究しているわけですから、レベルの高い知識を交わしながら興味関心を損なわず楽しんでスキルを上げていくのです。こんな状況が世界の大舞台でも“物おじせず力を発揮できる人間”を育てたのかもしれませんね。
週休2日制になりながらも学校行事の削減はなく、授業でも学ぶことが多いため、『時間が足りない』というのが教育現場の現状。でも、『受験』というシステムがある限りこれ以上、現状あるもの以外の時間を増やすわけにもいきません。“自分と同じ思いを持った人間と共に物事を追及して行く時間”これから考えていかなくてはいけない課題なのかもしれませんね。
< 取材・文 / 石橋アキ江 >