傷は乾かさないほうが良い!?早く治すコツは?サッカー中に起こりやすいケガやねんざの応急処置もご紹介

2024/12/17
佐伯美佳

冬は寒いこともあって、身体を積極的に動かしたい季節! ぜひスポーツに親しみたいですが、外で行うスポーツといえばサッカーです。趣味でサッカーを休日などに楽しむ人も多いのでは? でも、ケガやねんざをしたときのことを想定しているでしょうか。意外と知らないことも多いものです。

今回は、傷の意外と知らない早く治すコツや、ケガやねんざの正しい応急処置をご紹介します。ぜひ覚えておいてください。

■傷を早く治すコツは?

2024年11月23日に、サッカーの日本一を決める「天皇杯JFA 第104回全日本サッカー選手権大会」が国立競技場で開催。その一角で、あるワークショップが開催されました。

それは、JFAコンペティションパートナーで、絆創膏「ケアリーヴ 治す力」を通じて、ケガの応急処置の啓発活動を行っているニチバンが主催する「ケアリーヴ ワークショップ」です。

「ケアリーヴ 治す力」は「モイストヒーリング(湿潤療法)」という手法でキズを早くきれいに治す特長を持つことから、サッカー中のちょっとしたケガにも推奨されています。

試合観戦に訪れた合計14名の子どもたちが参加したワークショップでは、絆創膏を手作りする方法と共に、サッカーなどのスポーツ中のケガの応急処置についてもレクチャーされました。

●傷は乾かさないほうが早く治る!?

ニチバン株式会社 事業戦略本部 倉智一さん
ニチバン株式会社 事業戦略本部 倉智一さん

ワークショップでは、事業戦略本部の倉智一さんによって、傷ができてしまったときの応急処置方法が紹介されました。そこで紹介された気になるトピックスが、「傷は乾かさないほうが早く治る」ということ。

ケガをして血が止まると、中から透明な液(体液)が出てきます。実はこの体液、すごい力で、傷を早く治す成分が含まれているのだとか。よって、この体液をできるだけ乾かさないように保持することが大切だといいます。

通常、傷は乾くとかさぶたができ、残っている体液はわずかとなり、治りが遅くなってしまいます。

そこで「ケアリーヴ 治す力」がお役立ち。絆創膏を使って体液をしっかり残すモイストヒーリング(湿潤療法)に適したパットが体液を吸収して保持することにより、かさぶたの代わりに。パットにキズを治すのに適した潤った環境がつくられるため、傷を早く治し、キズ跡も残りにくく、痛みもやわらげられます。

パットには、薄く伸縮性と通気性に優れた高密度ウレタン不織布素材が使われています。

●オリジナル絆創膏作りのワークショップの様子

ワークショップでは、「ケアリーヴ 治す力」と同じパットを用いてオリジナルの絆創膏を作りました。

オリジナル絆創膏作りのワークショップの様子

パットを好きな形にカットしたら、高密度ウレタン不織布素材に貼り、剥離紙を2枚貼ります。その後、小型の打ち抜き機で絆創膏の形に打ち抜いたら完成です。

オリジナル絆創膏作りのワークショップの様子

絆創膏の技術は進んでいるものなのですね。傷を早く治したいと思ったら、ぜひ利用してみましょう。

■サッカー中のケガやねんざの間違った応急処置

間違った応急処置

ところでサッカー中には、傷のほか、ねんざや打撲などが生じます。でもあわてて処置してしまうと、間違った行為となる恐れもあります。そこで日本サッカー協会(JFA)のアスレティックトレーナーである菊島良介さんに、間違った応急処置の方法を教えていただきました。

●切り傷の間違った応急処置

・傷口やその周りに汚れが残っているのに処置を行う。
・切り傷以外の組織(骨・靭帯)に損傷がないか確認せずに処置をする。

●ねんざや打撲の間違った応急処置

・受傷後すぐに処置を行わない。
・応急処置としてアイシング(冷却)しか行わない。
・保冷剤・冷却材で長時間冷やす(凍傷の恐れあり)。
・圧迫を強くし過ぎてしまう(末端の血行まで止めてしまう)。
・応急処置をしたからといって、安静にせずに動いてしまう。

これらは知らなければやってしまいがちな行動ですよね。
続いて正しい方法を確認していきましょう。

■サッカー中のケガやねんざの正しい応急処置の方法

基本的な応急処置の方法を、菊島さんのアドバイスとJFAの資料、そして公益財団法人スポーツ安全協会の資料をもとにご紹介します。

●すり傷・切り傷

すり傷や切り傷を負ったときに最も注意が必要なのは、傷口やその周りに汚れが残っていないか、異物が入っていないかなどを判断すること。傷口から感染することは、最も先に防ぎたいためです。出血が続いているのか、異物混入の有無、傷以外の組織(骨・靭帯)に損傷がないか、しびれや全身症状がないかも確認します。

砂や土などが混入している場合は、傷口を近くの水道水などで洗います。イソジンなどの消毒液があれば傷を消毒し、乾燥させないようにガーゼや大きめの絆創膏などで覆います。

傷口が大きく、縫合が必要な場合などは早急に近くの病院へ。頭部・顔面の傷の場合は、止血と共に意識状態のチェックを。問題がある場合は救急車を呼びます。

●足首のねんざ

足首をひねってくじいてしまうことで生じるねんざは、サッカー中にもよく起きるケガです。痛む場合や腫れがみられる場合などは、安静な姿勢にして脱臼や骨折の可能性も疑いながらよく観察します。

大きな変形がある場合は脱臼や骨折も疑われます。またゴリゴリと骨が触れ合うような音がしたり感じたりする場合、骨折が疑われます。

すぐに病院に行くような状態でない場合でも、放置せずにただちに「RICE」処置を行います。

RICEとは「Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)」の4つの処置の頭文字をとったものです。RICEは患部の出血や腫れ、痛みを防ぐことを目的にねんざや打撲、肉離れといったケガに対して行います。

頭部や顔面を除く四肢の外傷に対しては、まずこの処置を行うのが原則なので、やり方を専門サイトや資料をチェックして覚えておきましょう。

また現場で応急処置を行った後は、たとえ大丈夫と思ったとしてもスポーツを続けるのはNG。早急に病院を受診することも重要です。

出典:JFA「サッカーにおけるセルフケアと応急処置」(https://www.jfa.jp/medical/self_conditioning.html)

出典:公益財団法人スポーツ安全協会「救急ハンドブック」(https://www.sportsanzen.org/about_us/grjkkl0000000f3g-att/grjkkl0000000fcq.pdf)

出典:公益財団法人スポーツ安全協会「スポーツ現場の救急箱に必要なものリスト」(https://www.sportsanzen.org/spoanlabo/fst_aid_kit.html)

■まとめ

冬場にスポーツをする際には、寒さで筋肉が硬くなりやすいため、スポーツ中にケガが起きやすくなるといわれます。不注意でケガをしてしまうのは避けられません。ぜひ基本の応急処置方法は押さえておきつつ、安全に楽しくスポーツを行いましょう。

 

【取材協力】

菊島 良介(きくしま・りょうすけ)さん

【活動歴】
2005~2008年 東京電力女子サッカー部マリーゼトレーナー
2008~2010年 ジェフユナイテッド市原・千葉トップチームトレーナー
2011~ 日本サッカー協会 アスレティックトレーナー

サッカーイメージ

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この記事を書いた人

佐伯美佳

国内出版社のWeb媒体を中心としたライター。Web業界を経て、ライターとして独立・起業。健康・美容・グルメ・ライフスタイル・ビジネスのジャンルを中心に執筆中。思わず読みたくなり、読んだら得する情報を発信してまいります。

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