今、一番話題の本と言えば、そう!「君たちはどう生きるか」でございます。
先日、宮崎駿監督様が製作中の新作長編アニメの題名に抜擢したことでも話題になっております。(完成までには3~4年かかる見通しだとか…)宮崎監督だけではございません。池上彰様、糸井重里様も絶賛!
漫画「君たちはどう生きるか」は、30万部を超えるベストセラーとなっております。本屋さんに行くと平積になっております。ご存じの方も多いと存じますが、改めてご説明いたしますと、この漫画には原作がございます。
「君たちはどういきるか」(著:吉野源三郎)
1937年、今から80年前、戦争中に書かれ今なお読まれ継がれる歴史的名著でございます。著者の吉野源三郎様は岩波少年文庫の創設にも尽力した児童文学者でございます。その吉野様の名著が今なぜ?池上彰様が「子どもたちに向けた哲学書であり、道徳の書」と序文を寄せたことで話題の新装版とともに、マンガ版が刊行されたとのことでございます。
主人公は中学2年生のコペルくん。亡き父のかわりに導いてくれるおじさんと日々の悩みや疑問を語り合ううち、人生の本質を見出していくという物語。生きていくことの本質を教えてくれる児童小説であり哲学書なのでございます。
児童書(子供)と哲学、一見遠い存在のようですが実はそうでもございません。原作読者のコメントとしてこのようなものも紹介されております。
「幾つになっても読んで学ぶことがある。子供向けに書かれているから読みやすいけど、内容については年齢を重ねるとともに深く理解できそう。」
そうなのです!読みやすいだけで、そこから学べるものは子供も大人も関係ないのでございます。大人が楽しめる&学べる児童書は数多ございます。というより、実は今、絵本の世界では大人が楽しめる哲学絵本が大人気、続々ヒット作が生まれております。その代表作とも言えるのが、人気絵本作家ヨシタケシンスケ様の絵本でございます。
「りんごかもしれない」(作:ヨシタケシンスケ)
今話題の人気絵本作家ヨシタケシンスケ様のデビュー作でございます。大ヒットの理由は、あたりまえを疑う「発想」の力。典型的な哲学絵本でございます。内容は、一冊丸々“りんご”でございます。「さくらんぼの一部かもしれない」「赤い魚が丸まっているのかもしれない」とりんごをもとに、様々な発想を巡らせる新感覚の絵本でございます。
それだけではございません。その発想の奇抜さと数の多さがとにかくゴイスーなのでございます。大人も大満足、お腹いっぱいの内容になっております。ちなみに、ヨシタケ様の「ぼくのニセモノをつくるには」も、秀逸な大人が楽しめる哲学絵本でございます。こちらも是非!
さらに!哲学絵本ブームということでいえば、こちらも先日出版され話題でございます。
「りんごとけんだま」(作:鈴木 康広)
なんと、こちらも“りんご”でございます。ニュートンといい“哲学”と“りんご”は相性が良いのかもしれません。こちらは、現代アーティストの鈴木康広様の作品でございます。余談ですが、最近、様々なジャンルの人気アーティストが続々、絵本に参入されております。
こちら鈴木様の絵本は、手のひらあるひとつのりんごをきっかけに、豊かな発想の連なりが宇宙へとひろがっていく哲学絵本でございます。鈴木様のユニークな思考の流れが追体験できる絵本になっております。
これを機会に是非、哲学絵本をご体験されてみてはいかがでしょうか。「絵本って大人が読んでも面白い♪」と、少しでもご理解頂ければ絵本専門士の小生としては本望でございます。
(文:N田N昌)