再生医療市場で日本を支援したい!共創拠点「再生医療クリエイティブ・エクスペリエンス・ラボ」が誕生~サーモフィッシャー ジャパン

2022/11/04
マガジンサミット編集部

再生医療をはじめとした医薬品開発・製造顧客をサイエンスで支援するサーモフィッシャーサイエンティフィック ジャパングループは、再生・細胞医療・遺伝子治療に特化した顧客との共創拠点である「再生医療クリエイティブ・エクスペリエンス・ラボ Thermo Fisher Scientific Creative Experience Lab(以下、T-CEL)」をグループ本社内に新設し、2022年10月14日(金)に開所することを発表しました。

T-CEL開所にあたり、2022年10月13日(木)にプレス発表会が行われ、代表者によるT-CEL開所の経緯と共に、T-CELの具体的な内容が紹介されました。

■T-CEL開所の背景「日本の再生医療の優位性を確立するためのお手伝いしたい」

サーモフィッシャー ジャパングループ代表 室田博夫氏まずはじめに、サーモフィッシャー ジャパングループ代表 室田博夫氏は、T-CEL開所の経緯を説明しました。

同社はサイエンス全般を広く支援していますが、近年、フォーカスしているエリアが再生医療市場であるといいます。そして日本では部門横断的なタスクフォースを組成して活動しており、T-CEL開所はその一環であり、マイルストーンとしての位置付けと話します。

「再生医療とは、機能低下や不全に陥った先天的に障がいのある臓器を、細胞や組織、ウイルスベクターを活用して再生することによって治療する技術です。治療法がない疾患に対して希望を与えます。一方で、市場としてはまだ十分に成熟しておらず、初期段階にあります。そのため日本だけでなく世界的に、資金力や研究者不足に問題に加えて、再生医療という特性が持つ品質維持管理が非常にハードルが高いという問題があります。多品種少量製造になりやすい点や、生ものであることから生成の工程が必要などのハードルもあります。日本にも有望なシーズやパイプライン、研究段階が存在しますが、このようなハードルを超えなければ、最終的に患者様にお届けできません。

そこでサーモフィッシャーならではの原材料の安全性の担保、製造に使われる機器の習熟といった貢献をすることにより、広くこの市場をお客様と一緒に成長させていくことを目指しています。こうした背景から、T-CEL開所を通じて日本の再生医療の優位性を確立するためのお手伝いをしたいと願っています」

また、室田氏は「T-CELにはラボだけでなくラウンジやセミナールームを備えており、お客様とのコミュニケーションを重視することにより、最適なソリューションをご提案したい」と続けます。そしてT-CELに付随した活動を通して、同社のミッションである「私たちの住む世界を『より健康で、より清潔、より安全な場所』にするために、お客さまに製品やサービスを提供しています」を実現し、貢献のキープレイヤーとして確立したいという思いもあると述べました。

 T-CELの施設について

続いて、T-CELの具体的な内容について、T-CELラボマネジャー前田礼男氏より紹介されました。

サーモフィッシャー ジャパングループ T-CELラボマネジャー 前田礼男氏

まずはサーモフィッシャーサイエンティフィックの取り組みが紹介されました。グローバル全体で細胞治療・遺伝子治療の開発にフォーカスしており、「関連材料の製造施設の増強」「M&Aによる製品・製造能力の強化」「新しい製品・サービスの拡大」の3つを通じて積極的にお客様に利用してもらうよう推進していると解説しました。

T-CELのコンセプト

続いて、T-CELの施設についての詳細が紹介されました。正式名称は「再生医療クリエイティブ・エクスペリエンス・ラボ」(Thermo Fisher Scientific Creative Experience Lab for regenerative medicine: T-CEL)」であり、T細胞とかけて『Tセル』と呼んでいるとのこと。

施設コンセプトは、「最先端のその先へ」を掲げ、同社が提供する遺伝子治療・細胞治療分野に特化したトータルソリューションラボとして、上流から下流まで、全ての工程に関わる研究者・技術者に新たなインスピレーションと最先端の顧客体験を提供するものであると説明されました。

T-CELの設立背景

設立背景として、室田氏の話にもあったように、再生医療市場における主な次の3つの課題が挙げられました。

1.ラボ構築の手間・難易度が高い

アカデミア・ベンチャー企業にとって、ラボを構築する際、必要な機器が複数企業にまたがることが多いなどの課題を受け、T-CELでは単一機器の提案にとどまらず、機器の組み合わせやラボ構築まで支援し、再生医療でのワークフロー全体をカバーした実機を設置しています。

2.多品種少量生産により製造コストが増加

製薬会社・CDMOにとって、再生医療製品の特性上、製造や輸送などのバリューチェーンが複雑になりがちで、製造コストが高止まりになるケースが多い課題に対して、T-CELではデジタルを活用した製造プロセスの効率化やCDMO(受託製造)の活用提案などを通じた製造効率向上を支援します。

3.再生医療領域での技術人材が不足

さまざまな顧客共通の課題として、人材不足については設置機器を用いたハンズオントレーニングの実施を通じた、お客さまの技術習得の支援を行います。

T-CELの活用コンセプト

続いて、T-CELは関係者がそれぞれどのように活用できるかのコンセプトが紹介されました。

アカデミア、バイオベンチャー、製薬会社、CDMOに対しては、機器のデモやプロセスについての提案、機器・ラボ立ち上げの支援、研究から商業製造への技術移転に貢献し、PMDAやベンチャーキャピタルに対しては、再生医療につき理解を深める場を提供、販売代理店

には製品理解を支援します。このようにさまざまなステークホルダーの支援・交流促進を通じて、再生医療関連市場全体の発展に貢献することが述べられました。 

T-CELでの提供サービス

T-CELでは具体的に次の4つを提供します。

・お客様への設置機器のご案内・デモの実施

・ラボの構築や将来的な商業生産に向けたスキームのご相談

・再生医療関連のセミナー・トレーニング

・製品紹介・学会などのイベント開催

エリア全体図

続いて、T-CEL内のエリアが紹介されました。T-CEL内は下記の図のような構成となっており、ラボエリアのほか、ラボデザインエリア、シングルユース製品紹介エリア、受託製造(CDMO)サービス紹介エリア及びセミナールームや個別相談のできる会議室などさまざまなエリアに分かれています。

【ラボエリア】

ラボエリア

ラボエリア5部屋

ラボエリアでは、各ワークフローごとに5部屋のラボが存在します。

細胞医療や遺伝子治療などの研究開発や製造プロセスで必要とされる機器を展示。機器のサイズや仕様、関連する装置との互換性などを実際の製品で確認することができるため、導入後の実運用がイメージしやすくなります。

【ラボデザインエリア】

ラボデザインエリアでは、ラボデザインツールを用いてラボの3Dシミュレーションを提供しています。

幅広い製品群が組み込まれた専用3Dラボデザインアプリを用いて、仮想空間でラボ施設を設計、ラボ施設内の装置や什器の配置をシミュレーションできます。また先進的なサイエンス・ラボの新設や、移転に伴う装置の購入や設置、ラボ内の労働環境の効率性・安全性・快適性を追求した配置など、ラボデザイン全般について同社の担当者への相談も可能です。

【シングルユース製品紹介エリア】

シングルユース製品紹介エリアでは、シングルユース製品を展示。実際に手に取って形状・サイズ・材質を確かめたり、他製品との互換性を検証したりすることができるので、ワークフローに最適なシングルユース製品を選べます。

【受託製造(CDMO)サービス紹介エリア】

受託製造(CDMO)サービス紹介エリアでは、同社のファーマサービスビジネスが提供するバイオ医薬品受託製造サービス(CDMO)や治験配送サービスの概要を解説しています。

ラボや機器展示だけでなく、コミュニケーションや実体験ができる革新的な施設T-CEL。関係各者はその魅力を肌で実感しながら、有意義な相談やコミュニケーションを行うことができそうです。

【施設情報】

サーモフィッシャーサイエンティフィックジャパングループ

再生医療クリエイティブ・エクスペリエンス・ラボ

開館時間:9:00~17:00

所在地:〒108-0023 東京都港区芝浦4-2-8 住友不動産三田ツインビル東館3階

https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/clinical/cell-gene-therapy/creative-experience-lab.html

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