ライブ配信アプリ「17 Live(イチナナ)」がアジアを席巻! 台湾17 Mediaに突撃してきた!

2017/12/19
谷 時幸

「SHOWROOM」や「ツイキャス」で知られるライブ配信サービス。その本場というべき台湾でダントツ1位の人気を誇るライブ配信アプリが「17 Live」だ。日本でも今年(2017年)8月から日本法人によるサービスが開始され、にわかに盛り上がりを見せている。そこで今回「17 Live」の本拠地、台湾17 Media社へ突撃!「17 Live」人気のヒミツを探ってみた!

“アニキ”の義侠心が生んだ第三のメディア

台湾のランドマークとして有名な台北101や世界貿易センターが並ぶ台北の国際都市 信義区。日本でいえば六本木のような好立地の高層ビルに「17 Live」を展開する台湾のベンチャー企業17 Mediaのオフィスがある。

案内されたフロアには150席ほどのデスクがズラリと並び、オンラインイベントのチーム、VIP専用のサポートチーム、新しい17ライバー(動画配信者)のスカウトや人気17ライバーのマネジメントを行うチームなど、各セクションで若いスタッフたちがMacBookを前に忙しげに働いていた。これと同じ規模のフロアがほかに2つあり、スタッフは総勢300人を超える。

インタビューに答えてくれたのはM17 EntertainmentのCFO Shang Koo氏。若干37歳ながらこの企業ではトップ10に入る年長者だ。

※M17Entertainment CFO Shang Koo氏

「17というのは中国語で1(イー)と7(チー)、これは中国語で「いっしょに」という意味で、仲間同士のつながりや日本語でいう「義」の意味もあります。創始者であるJeff(Jeffrey  Huang)の『仲間を集めて皆で楽しく幸せになりたい』という思いから「17 Live」という名前になりました」

ジェフことJeffrey  Huang(黃立成)氏は台湾の人気ラップグループLA. Boyz(洛城三兄弟) の1人で“Machi アニキ”(麻吉大哥)と慕われる人物。自らは芸歴20年を超えるベテランだが、ほんの一握りの人間しか成功できない台湾芸能界のしくみを打破し、できるだけ多くの才能がきちんと認められる場所をつくりたいという思いから「17 Live」というライブ配信サービスを始めた。

「台湾には日本とは比較にならないくらい多くのライブ配信サービスがありますが、どこも使いやすさなどの技術重視の運営でした。でもJeffはまず、儲けよりもどうしたら皆が楽しめるか、業界を活性化していけるのかを考えたのです」

Jeff氏は自身の芸能人というステータスを活用し、芸能人と一般人のコミュニケーションを重視。無名のアーティストや素人をマネジメントしてファンを増やしていった。結果、芸能人にも強く可愛い女の子が多く集まる17 Liveは数ある競合を押しのけ業界No.1となる。

※パーティー会場で気さくに背してくれた17ライブの生みの親Jeffery Huang(黃立成)氏

「これまでのメディアは映画やテレビといった第一世代、次にYoutubeやSNSなどの第二世代という流れです。17 Liveは一方通行ではなく送り手と受け手がインタラクティブにつながる第三世代であり、まさにこれからの新しいメディアと言えるでしょう」

収益システムもYoutubeやSNSのような広告収入ではなく、ファンが購入する有料ポイントが運営とライバーの収益になる。

「ファンは有料ポイントを使ってライバーに直接ギフトを贈ることで、傍観者ではなく当事者としてLIVEに参加できます。スマホゲームで強い装備を購入するように、ギフトをプレゼントすることでお気に入りのライバーとより強いつながりを持てるのです」

大道芸でおなじみの“投げ銭”システムだ。多くの客を集めるほど利益は増えるが、そのためには客が集まるだけのクオリティが求められる。路上パフォーマンスであれデジタルの世界であれ、ライブとの相性が良い収益システムということか。

300人のトップライバーが集う、あまりにバブリーなクリスマスイベント!

本社取材の翌日、台湾17 Liveのクリスマスイベントが開催された。予め予選となるオンラインイベントで多くのポイントを獲得した300名の人気ライバーが一堂に集い、一斉にライブ配信を行い、最終的な獲得ポイント総数でトップライバーが決まる。

「規模感がすごい」と聞いてはいたが、大規模な演出には思わず息をのんだ。会場のビル全体がプロジェクションマッピングで飾られている。敷き詰められたレッドカーペットの両脇にはイギリス近衛兵姿のイケメンたちが並び、傍らには白馬と王子様に扮したイケメンの白人男性。そんな中を美しいメイクとパーティードレスで着飾った美男美女(トップライバー)たちが次々に通り過ぎる。そして最上階のパーティー会場の舞台ではクラシックの生演奏が行われ、豪奢なシャンデリアとキャンドルライトが場内をきらびやかに輝かせている。あまりにもバブリーな雰囲気に、思わず気圧されてしまいそうだったが、当のトップライバーたちが周囲に目を向けることはほとんどない。彼女たち(中には男性ライバーもいるが、圧倒的に女性が多いのだ)は自撮りライトとスマホをスタンドにセットして、飛び切りの笑顔で自らのライブ配信の真っ最中。最終投票に向けて少しでも多くのギフトを獲得すべくアピールしているのだ。

最終投票はデッドヒート!優勝賞品はホンモノのお城!

きらびやかなシャンデリアとキャンドルライトに彩られる中、パーティーは進み、いよいよ最終投票の締め切りが近づく。舞台の両サイドには巨大なモニターが設置され、1位と2位のライバーの配信画面が映し出されている。ここまでくるとさすがに会場の視線はほとんど正面のモニターに向けられている。

この時点で1位はモデルで人気ライバーの小金魚韓羽さん。そして2位は17 Live 日本上陸記者会見でも即興パフォーマンスを披露していたヒップホップアーティストの倪耐斯さん。投票締め切りまですでに2分を切っている。このまま勝敗が決するかに思えたとき、会場がざわつき始めた。倪耐斯さんにいきなりの大量投票(コンボ)がはじまったのだ。そしてついに小金魚韓羽さんの得票数を抜き、1位と2位が逆転!舞台を挟んだ両サイドのモニター画面が劇的に入れ替わった!残りカウントはあと1分ちょっと。

しかし小金魚韓羽さんのファンも黙ってはいない。残り1分を切り、あと数十秒で投票締め切りというタイミングで今度は小金魚韓羽さんにコンボが発生!会場の2つのモニターの画面はまたしても入れ替わり、そのまま小金魚韓羽さんが優勝となった。

 まさに劇的なライブイベントを制した小金魚韓羽さん。優勝賞品は本物のフランスのお城で、獲得した景品やポイントを日本円に換算すると4500万円ほどになるらしい。

目の前で繰り広げられた一連の出来事は最後まで夢のような世界だったが、『17 Liveは夢を掴める』ということだけははっきりと思い知らされた。

 

日本にも17 Live(イチナナ)バブルがやってくる!?

 

先にお伝えした通り、日本でも台湾17 Mediaの日本法人「株式会社17 Media Japan」により、今年6月から17 Liveのサービスが開始された。まだ認知度も低く、台湾の盛況をそのまま再現できる状況ではないが、日本の17ライバーは着実に増えているという。  来る12月20日(水)には日本でも、台湾のクリスマスイベント同様、あらかじめオンラインの予選ラウンドを勝ち抜いてきたトップライバーたちが会場で決勝ラウンドを競う17 Liveのクリスマスイベントが行われる。

(参考:http://17.media/event/jp-17-christmas)

 

10月に開催された「17 Liveハロウインパーティー」ではトップ50のライバーを集めたが、今回は「17 Liveホワイトクリスマスパーティー!~ Topライバー100名!17ホワイトクリスマスに夢を持ち合わせよ!~」と題し、前回の倍の100名のトップライバーが集う。

パーティーの様子はもちろん17 Live上で生配信されるので、少しでも興味があるなら今すぐチェックしておこう。

 

台湾で17 Liveが驚異的な成功を収めていることは疑いようもない事実だが、文化も土壌も違う日本で同じように支持されるとは限らない。台湾では定着しているという“投げ銭システム”も、日本で素直に受け入れられるかは疑問だ。とはいえ、17 Liveの登場で2018年が日本でのライブ配信が大きく変わることは間違いだろう。

果たして日本でも17 Live(イチナナ)バブルが訪れるか? 12/20の「17 Liveホワイトクリスマスパーティー」では、その答えが見つかるかもしれない。

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谷 時幸
この記事を書いた人

谷 時幸

大手映画会社出身の異色フリーライター。紙媒体、WEBを問わず文学批評から風俗記事に至るまでジャンルを問わず幅広くこなす。コピーライターとして映画の宣伝や企業広告にも携わる。

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