上京して20年近く経ってるけれど、東京の地図感が全くない…。それが江戸三十三観音めぐりをしてみようと思ったきっかけ。
無趣味も相まって、休日はもっぱらホタテの貝柱をゆっくりゆっくり味わって口内でふやかす…、そんなことをして、ふと気が付いたら夜の12時。こんな徳のかけらもない時間潰しに絶望し、有意義な余暇の過ごし方を検討したところ、くだんの『地図感を刷り込ます意味でも観音めぐりがいいな。徳も積めるし…』と軽い気持ちで新たな趣味と決めました。
現代においての江戸三十三観音めぐりとは?
東京都内の観音様を祀る寺社仏閣、33か所を参るお遍路コース。これを達成すると功徳で地獄におちない、願い事が成就するという信仰からきているそう。
それぞれの霊場には1から33番の札所番号があり、番外とあわせて34か所を巡ります。最近ではレジャー感覚で巡り、各寺社仏閣の御朱印をいただくというのが流行しています。
…というのが、江戸三十三観音めぐり。僕はそんな流行に乗るような意識の高い人間ではなく、もっと次元の低い怠惰な生活からの脱却という目的のため、上記の目的のため巡ることを決めました。始めてから分かった問題点は追々書くとして、とある晴れた日にスタート…。ただ信心は無いので、当たり前のように公共交通機関を使います。
皆さんご存知、台東区浅草にある『浅草寺』が第一札所。夏に入ったばかりで、暑い暑い日。外国人観光客や修学旅行か学生服を着た少年少女も多くいました。
境内までの道のりの仲見世通りにはそんな観光客であふれ、彼らは押しなべて周囲を確認しないで自撮り棒を掲げ迫ってくる。あふれ出る舌打ちの衝動を「舌打ちをしては徳が積めない…」と自重し境内まで急ぎました。
浅草寺について
東京都最古のお寺。創建は628年と言われ、ご本尊は聖観音菩薩。年間3000万人の参詣者が訪れる民衆信仰の中心地。
ちなみにご本尊は絶対秘仏で目にすることは出来ない。このミステリアスさもぞくぞくします。そのかわり年に1度、代わりに造られた御前立本尊が拝めるそうです。
お参りも済ませ、本堂左手奥に影向堂に向かい御朱印をもらいに行く。江戸三十三観音めぐりの醍醐味の一つがこの御朱印。お堂につきまず御朱印帳を購入。たしか4種類あり、シンプルな表紙のものから豪華なものまであり、シンプルなものが一番安くて1000円。これを購入し、御朱印料300円を収めます。御朱印はいくつかあり『江戸三十三観音』の方を指定。
書いていただいた御朱印がこちら。
御朱印について
寺院は大規模なところだけではなく、家族で運営しているところもあるので、御朱印をもらう際、昼時は避けるなど時間に注意しなければいけません。また住職不在や行事中で書いていただけないケースもあるので、各寺院のホームページや電話で確認するのをおすすめします。
さて、無事、第一御朱印をゲットし、ニッコニコ外国人観光客の自撮りにフレームインしないよういなし、ソフトクリームアタッカーのような輩にびくびくしながら仲見世通りを過ぎ、雷門をくぐる。はたと見上げると雷門展望食堂が見えました。
フラッシュバックで蘇る記憶…。小学校低学年のころ、家族で東京旅行に来た際、この食堂に入ってかき氷を食べた思い出が。懐かしさに引かれ、入り口付近で号泣しながら一心不乱にけん玉をする外国人の男児を無視して入店。
「店内はこんな感じだったかな…」と、なんか違和感を覚えつつ、当時座った席に座り、同じようにかき氷を注文。匙で氷をつつき、家族で来たはずなのに父といた記憶しか思い出せないのはなぜだろうと不思議な感じに陥る。
もやもやしながら退店すると、けん玉に憑りつかれていた男児が大皿に球を乗せる瞬間に遭遇。観音様は彼の願いを成就させたのだろうかと思いつつ、いい時間になっていたので帰路につきました。