不信心だけれども江戸三十三観音をめぐる。男の御朱印集めの旅~その八~

2017/12/28
南城与右衛門

2017年某日 江戸三十三観音めぐり…第8日目

YouTube動画でタイトルに「歌ってみた」を付けないで、ただ高らかに歌うだけの身の程知らずカラオケ動画に、低評価ボタンを怒涛の如く押しまくるという日課を済ませたあと、観音巡りの準備を始める。

まず、今日訪問するお寺は、東円寺(札所第十九番)真成院(十八番)天徳寺(二十番)。そのお寺に電話連絡を入れ、本日ご朱印を頂ける確認をとり家を出た。

今回は新宿で『メトロ一日乗車券』(600円)を購入。計算上はペイできる予定だが……

という訳で、今回は18番目(札所第十九番)と19番目(札所第十八番)20番目(札所第二十番)を巡ります。

 

東円寺(札所第十九番)杉並区和田

メトロ丸ノ内線新宿駅から中野富士見町駅(170円)で下車。

ここから結構歩くわけだが、なんだか嫌じゃない。というのも私が上京したての頃、この辺に住んでいたから。変わったようで変わらない街並みを眺めながら12分ほど歩くと東円寺に到着。

自分にゆかりのある街とはいえ、ここにはお初。

上品な門構えから続くスロープを上り境内へゆくと正面に大きなお堂、そして左手には小さなお堂、逆は寺務所という立地。大きなお堂の前に立ったが、開帳されていないのはどこでもよくあることなので手を合わせる。

その後、寺務所へお邪魔し、呼び鈴を鳴らすと現れたのは美しいご婦人。

「お参りはお済で?」との質問に対し、私は返事と大きなお堂の方を手のひらでさすと、「あちらではないんです」とご婦人が示したのは小さなお堂。

一瞬、どっちでもいいかな……という思いがよぎらなかったかと言われれば嘘になるが、不信心とはいえ建物に頭下げて、ご本尊を無視して帰るのは忍びなかったので改めてお参り。

寺務所まで往復している間にご朱印は完成していた。スロープを下りながら、坊さんになるとあんな綺麗なお嫁さんが来るのかメモメモ…そんなことを考えながら次なる寺へ向かった。

 

真成院(札所第十八番)新宿区若葉

丸ノ内線中野富士見町から四ツ谷駅下車(200円)。

駅を出て、迷う前に真っ先に交番に直行する。分からなくなる前に聞け、この旅で学んだ鉄則なのだ。すると珍しいことに女性警官が2人。目的地を告げると後輩っぽい警官が困惑、そこに先輩が割って入り、地図と行く先を示しながらてきぱきと説明してくれた。

どうやら難しい道順らしい。(というわけで、簡単そうだけど難しい順路を写真付きで説明します。)

新宿通りをまっすぐ。目標はジョナサン→ファミマ。ファミマの角を左に入る路地があるので曲がり、またまっすぐ。

突き当りまで進み、右折。細い道を歩くと左手に観音坂。

この坂、実に下りたくなる坂である。

で、到着するのが真成院。

門を入って右手に本堂に続く階段があるのだが、まず「寺務所でお参りする旨を伝えて」との張り紙があったので従う。寺務所に入ると、和服の美麗なご婦人が挨拶してくれた。階段を屋上まで上り本堂にお参り。夏真っ盛りに階段上りはなかなかの苦行である。

その後、寺務所であらかじめ渡しておいた帳面にご朱印を頂き、ありがたいことに冷たいお茶もごちそうになった。

 

天徳寺(札所第二十番)港区虎ノ門

本日、最後のお寺は、丸ノ内線四ツ谷駅から銀座で下車し、日比谷線に乗り換え神谷町駅下車(170円)。虎ノ門といえば、ブランドエリア。アッパーで意識の高い鼻につ……日本を支える人々が住んだり働いていたりするところ。そんな大都会の真ん中を歩いて10分弱で天徳寺に到着。

境内は、大都会にあるとは思えないくらい静かで緑深い。異世界に足を踏み入れたような感覚、お堂のどこか異国情緒を漂わせる佇まい。(異国に行ったことないけど)

お堂は開帳しておらず、お参りを済ませ日本家屋の寺務所へ向かうと、取り次いでくれたのは、ご婦人。説明を受けると、どうやらご本尊はこの家屋にあるらしい。またお堂に頭を下げた形だが、案内されるまま進むとご本尊が。今までにない距離感に威圧感を感じつつお参り。

今日は、ご婦人に縁のある素敵な日だなぁ、なんて思っていたら、ふと思い出した。近くにあの出世の階段で有名な愛宕神社があると。

出世するか、お坊さんにならなきゃ綺麗な嫁がもらえない!と思い足を向けることに。グーグルマップによると7分で到着。スマホに示される道順を歩くと登場『愛宕神社参道』。

歩を進めようとすると、脇を超絶美女が通り抜ける。自分が出世したいのか、出世する男を探しに来たのか……。

美女の残り香をたどりながらやや勾配のある道を進む、進む、進む、しんどい……。美女は、すいすいと先を歩き、やがて姿が見えなくなった。そして、汗だくで境内に辿り着く。……着く??

そこに広がる世界は神社然とした建物、鳥居、顔抜きパネル。

へ? 出世の階段は?

あたりを見渡し、くだんの階段を探す……。ありました……階段を上ることなく頂上に辿り着いていたのでした。

愕然とする。グーグルマップが示したのは最短の裏ルート。階段がある正面ではなかったわけだ。出世の夢すら見させてくれないグーグルマップの思し召し、無慈悲……。はたと思い出す、「美女は?」

そんなに広くない境内をそれとなく探す、が忽然と消えている。ああ、キツネの仕業か。キツネが私の出世を妨害しようというのか……。

女性に一喜一憂した観音巡りとなりました。

※ちなみに帰りの新宿まで(200円)で、交通費は740円で一日乗車券はペイされた。

 

その九へ続く……

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"情報番組や誰も知らない深夜番組、ラジオなどを構成したり、ソーシャルゲームのシナリオを書いたりする、いわゆる駄放送作家。友達はPC、恋人は二次元、恩師はあらゆる漫画、といった充実した人生継続中"

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