【JAPAN STREET LEAGUE第2戦】SECOND IMPACTは根附海龍が強烈なインパクトを残して優勝

2022/06/20
放送作家 小嶋勝美

日本最高峰のスケートボードコンテストJAPAN STREET LEAGUE(ジャパンストリートリーグ、以下JSL)第2戦SECOND IMPACTが、6月19日に東京都足立区にあるムラサキパーク東京で行われ、根附海龍が圧巻の滑りで優勝。海外で活躍する滑りを目の当たりにしたオーディエンスに強烈なインパクトを残した。

第1戦を制した池田大暉が2位に、濱村大征が3位に輝き、決勝で会場を沸かせた齋藤丈太郎が特別賞を受賞した。

JSLは招待選手のみでの開催となり、長年スケートボードシーンに携わり、多くの大会を運営してきたプロスケーター、立本和樹氏を始めとする主催者側が出場するスケーターを選出している。

次回は9月18日に愛知県蒲郡市にあるDELIC skateparkで行われ、最終戦となる第4戦は11月27日に埼玉県所沢市のSKIP FACTORYで行われる予定。

いずれもフジテレビが運営する動画配信サービスFODにて配信される。

【パリ五輪新ルールを採用した2nd】

SECOND IMPACTのルールは先日WORLD SKATEが2024年パリオリンピックに向けて発表した、新たな公式採点フォーマットと同様となる。

・コース内を自由に滑走するランを2本と1発技のシングルトリック(ベストトリック)を5本行い、3つのトップスコアで順位を競う。

・この内、ランのベストスコア1本とシングルトリックのベストスコア2本の合計が得点となり、それぞれ100点満点で、小数点以下2点まで(最高得点は300.00点)

同点選手がいた場合はランの最高得点で順位を決定し、それでも決着がつかない場合は、シングルトリックの最高得点をもって決着となる。

・選手は、より完成度の高いトリックのメイクを目指したい場合は、メイクしたトリックを破棄する権利がある(シングルトリックで同じトリックを行うと必然と得点が下がる為)

以上となり、東京オリンピックの時の様にランを2本ミスしても、ベストトリックで大逆転というシナリオは難しくなった。

【若手からベテランまで/SECOND IMPACT】

今回出場したスケーターは以下の通り。

安部来夢(15)/甲斐穂澄(14)/根附海龍(18)/村上涼夏(16)/望月大輔(34)/山下京之助(18)/渡邊星那(15)/小鈴祥大(17)/中野虎大郎(17)/池田大暉(16)/松本浬璃(15)/佐々木音憧(15)/濱村大征(15)/齋藤丈太郎(16)/藪下桃平(13)/玉野辰磨(37)

※()内は年齢。当初出場予定だった長井太雅、内山朝陽は欠場。

世界中のスケーターが注目するタンパアマの王者、根附海龍やX Games千葉大会の準優勝者、池田大暉の他にも、Primitive Skateboardsから公開された映像DEFINE.でも話題の山下京之助など、スケートボードシーンの今を象徴する顔ぶれの他にも、約20年前の2004年に世界最高峰のコンテストTampa Proに出場した経験を持つ望月大輔や、今大会最年長出場者の玉野辰磨(37歳)など歴代の実力者までが勢揃いした。

【観客とジャッジを一瞬で虜に/根附海龍】

根附海龍/ヒールフリップバックサイドテールスライド

代名詞とも言える、精度の高いヒールフリップからのトリックを中心に、決勝のランを3位で終えた根附海龍。

根附海龍/バックサイド180レイトショービット

ベストトリックでは、普段飛び越える事を目的として使われる事は、ほぼないというほどの距離があるバンクトゥバンクのセクションを、バックサイド180 レイトショービットで攻略し、この日最高の90.73点を獲得。観客とジャッジを魅了した。

世界で活躍するスケーターの“ここぞという時に必ず決める集中力”は流石の一言に尽きる。

【今ノリに乗っている/池田大暉】

池田大暉/ビガースピンフリップフロントサイドボードスライド

今年3月に行われた第1戦を制した池田はその後、4月に行われたX Games千葉大会で準優勝、さらに今月ロサンゼルスで行われたDAMN AMで優勝を果たし、勢いそのままにJSL第2戦に。

池田大暉/ハードフリップ

ビガースピンフリップフロントサイドボードスライドや、距離のあるバンクトゥバンクでのハードフリップなど難易度の高いトリックを披露し、準優勝に輝いた。

【ラン最高点で念願の表彰台に!/濱村大征】

濱村大征/360キックフリップ バンクイン

昨年12月の第4回日本スケートボード選手権大会(8位)と今年5月に行われた日本オープン(5位)で決勝に残るなど、着実に実力をつけてきた濱村大征がついに表彰台へ。

濱村大征/キックフリップ フロントサイドブラントスライド

決勝のベストトリックでは、キラートリックであるK(クルックド)グラインドからのノーリーキックフリップアウトをキンク付きのロングレールでトライするが、惜しくもメイクできず3位に終わったが、ランでは決勝進出者の中で最高の86.90点を獲得している。

表彰式で1位の根附、2位の池田に並ぶその姿に近い将来、海外での活躍にも期待が高まる。

【スピードとスタイル/齋藤丈太郎】

齋藤丈太郎/バリアルキックフリップ

この日、MCを惚れさせたスケーターの1人が齋藤丈太郎だった。

スピード感溢れるトリックに加え、洗練されたスケートスタイルと技のキレに思わずMCからは「セクシー」の声が。
多くの観客を沸かせた滑りに特別賞が贈られた。

【日本から世界へ、世界から日本へ】

6月後半から、2024年パリオリンピック予選大会(ストリートスケートボード選手権)がローマで始まる。

この大会にはTampa AM2019王者で最近はアメリカのトップブランドZERO Skateboardsからのサポートも決まった根附海龍が出場を予定しており、今回のJSL出場者からは他にも、佐々木音憧、松本浬璃、甲斐穂澄が出場予定となっている。

他にも、4月のX Games千葉で銀メダルを獲得し、今月は本場ストリートリーグの予選で決勝に残る活躍をし、Damn AMロサンゼルス大会で優勝を果たした池田大暉を始め、海外でも通用するスケーターが多数JSLに参戦しており、世界を股にかけて活躍し、忙しい中でも最高のパフォーマンスを見せる彼らの姿には、いつも驚かされるばかりだ。

JSLは日本だけでなく、世界のスケートシーンに影響を与える様なスケーターを生み出すきっかけになる大会になると思っている。
さらに言えば、すでに海外で活躍するスケーターがJSLに参戦してくれる様になる日も夢では無いかもしれない。
日本生まれの最高のコンテストに今後も注目してほしい。

【Japan Street League Second Impactリザルト】

1位・根附 海龍-258.80 (80.30/87.77/90.73)
2位・池田 大暉-249.73 (86.17/83.90/79.40)
3位・濱村大征-235.74 (86.90/70.17/78.67)
4位・藪下 桃平-231.76 (78.93/71.33/81.50)
5位・渡邊 星那-219.46 (60.23/76.23/83.00)
6位・松本 浬璃-152.63 (79.73/0.00/72.90)
7位・齋藤 丈太郎-147.87 (71.20/0.00/76.67)
8位・甲斐 穂澄-144.93 (67.33/77.60/0.00)
※()内はスコア内訳

 

写真 文・小嶋勝美
スケートボードの情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家兼スケーター。
10年間のお笑い芸人生活を経た後、放送作家をしています。

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放送作家 小嶋勝美
この記事を書いた人

放送作家 小嶋勝美

お笑い芸人として活動後、放送作家に転身。 スポーツ番組やバラエティ番組などに携わる傍ら、20年以上続けている大好きなスケートボードのライターとしても活動。 コンテスト記事の他、スケボーの情報や面白い発見を伝えていくと共に、スケートボードが持つ素晴らしさを多くの人に広めていきたいと思っています

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