
※instagramより
https://www.instagram.com/p/DSTy_R6ES7s/?hl=ja
これまでのスケートコンテストとは全く違ったフォーマットのスケートボードリーグ、プロフェッショナル・スケートボーディング・リーグ(Professional Skateboarding League略してPSL)が2月7日(現地時間)にカリフォルニア州のプリミティブスケートパークで開催された。
注目の開幕戦(ウィーク1)を勝ったのは、小野寺吟雲が所属しフェリペ・グスタボがキャプテンを務めるロスサントスチーム。
続いて、クリス・ジョスリンがキャプテンのウルヴァリンズ、ナイジャ・ヒューストンがキャプテンのソルジャーズが初戦を制した。

※ instagramよりhttps://www.instagram.com/p/DUFDMNOEYn5/?hl=ja
今大会は本来、1月31日にカリフォルニアに位置するガール・スケートボード・ウェアハウスで開催が予定されており(プリミティブスケートパークとは車で50分ほどの距離)、特設セクションが建設されている様子が連日SNSにアップされていたが、1月29日にPSLのインスタグラムで急遽「予期せぬ事態により」延期と開催場所の変更が告知され、チケットを購入したファンなどが直前の開催延期に対して憤りのコメントや、悲しみコメントなどが投稿に寄せられた。
延期と開催場所変更の理由は明らかになっていないが、SNSのコメントには「セクションの建設が間に合わなかったのではないか」「ケガ人が多いからじゃないか」などの憶測が飛び交っている。
【PSLのルール】

※ instagramよりhttps://www.instagram.com/p/DUQ5RIeD1PI/?hl=ja
PSLはアメリカのレジェンドスケーター、マイク・モー・カパルディが発案するスケートコンテストで、これまで行われてきたオリンピックやストリートリーグ、タンパなどの主要な大会とは一線を画すフォーマットが注目されている。
主なルールは以下の通り。
・6人(レギュラー3人と控え3人)1組によるチーム戦。
・トリックの採点をするのではなく、トリックの成功か失敗かを判定する審判がいる。
・ハンドレールのついたステアのセクションだけで行われ、基本的にはステアでのトリックのみとなるが、各チームレールトリックを3回だけ行うことができる。
・オフェンスが行なったトリックをディフェンスが失敗したらオフェンスに1点が入る。
・オフェンスの順番を変えることはできないが、ディフェンスはフィールド上から自由に選手を選ぶことができる。
・オフェンスは同じトリックを繰り返してはならない(繰り返した場合1アウト)。
・1回のラウンド(クォーター)につき、3回オフェンスがトリックをミスしたらチェンジし、両チームのオフェンスが終わった時点で次のクォーターに移る。
・上記を4回繰り返し、最終的に得点の高かったチームの勝利。
・同点の場合はサドンデスで勝敗を決める。
・選手交代をする場合は、各クォーターの初めに申告する必要がある。交代した選手のオフェンスの順番は代わりに退場した選手の順番となる。
トリック判定について。
・着地時に指が軽く地面につく程度(手を使って体重を支えていない)ならOK。
・着地でステアにテールが当たったりすると(要はステアを全て飛び越えていない)、デッキに乗っていてもアウト。
・ワンフット系のトリックの場合、例えばオーリーだったら足が完全にノーズを越えていないとアウト。
・これらの判定に対して、トリックを行った相手チームのスケーターは審判に異議申し立て(チャレンジ)を行うことができる。
→チャレンジを失敗した場合、レールトリック挑戦権を1つ失う。
・6チームが5ウィークを戦い、うち4チームがプレイオフに進出、最終的に上位2チームで優勝争いを行う。
野球やサッカーのようにルールを知らなくても、ポイント加算制にしてどっちが勝っているかをわかりやすくし、より観客が白熱できるようにしたかったとのことで、要は「スケートを知らない人が見てもわかりやすいシンプルなスケートボードコンテスト」となっている。
【気になるドラフト!チーム分けは?】
PSLドラフトの映像
(https://youtu.be/5uILvIhMTKE?si=2NoFvoEj7yMKkCv2)
事前に発表されたドラフトの結果は以下の通り。
※選手名の順番はドラフトでの獲得順
[リチウムチーム]
ザック・サラシーノ(キャプテン)
ダショーン・ジョーダン
アレックス・ミドラー
ロバート・ニール
マウリオ・マッコイ
ブレイデン・ホーバン
[トロピックスチーム]
ジェイミー・フォイ(キャプテン)
イショッド・ウェア(共同キャプテン)
クリスチャン・デュフレーヌ
ジョン・ディロレンゾ
アレック・マジェラス
トレバー・コールデン
[ソルジャーズチーム]
ナイジャ・ヒューストン(キャプテン)
アート・コルドヴァ
ミッキー・パパ
イヴァン・マルティネス
グスタボ・リベイロ
パット・パスクァーレ A.K.A“シナー”
[ウルヴァリンズチーム]
クリス・ジョスリン(キャプテン)
クリスティオン・ジョーダン
テイラー・マクランク
ローマン・ハガー
TJロジャース
クリス・コルボーン
[ロスサントスチーム]
フェリペ・グスタボ(キャプテン)
マイルス・シルヴァス
小野寺 吟雲
ライアン・デセンゾ
ヴィンセント・ミルー(今シーズン欠場)→代わりにマーク・スチュウ
カイル・ウォーカー
[SHSチーム]
ポール・ロドリゲス(キャプテン)
ジュリアン・クリスティアンソン
ジョニー・ヘルナンデス
マニー・サンティアゴ
アンジェロ・カロ
ジュリアン・アリアルディ
以上となり、日本からは唯一、小野寺吟雲がドラフト入りを果たした。
【記念すべき開幕戦の模様】
PSL2026開幕戦(ウィーク1)の映像
(YouTube:https://www.youtube.com/live/_PotxwmGKKI?si=_DSCMV5JQxA36Tyt)

※ instagramよりhttps://www.instagram.com/p/DUWXVMWEmeo/?hl=ja
第1試合はSHS(ポール・ロドリゲス)VSロスサントス(フェリペ・グスタボ)。
先行はロスサントス。記念すべきファーストトリックはフェリペ・グスタボによるノーリーキックフリップだった。
ここでは日本人唯一の出場者となる、ロスサントスチームの小野寺吟雲に注目して試合展開を紹介する。
第1クォーターのオフェンスで小野寺が行なったトリック。
・バックサイドキックフリップ→相手のディフェンス成功。
・バリアルキックフリップ →ディフェンス失敗。
・バックサイドビッグスピン→ディフェンス失敗。
・ダブルキックフリップ→ディフェンス失敗。
・バックサイドダブルキックフリップを失敗。
第1クォーターのディフェンスでの小野寺。
・ジュリアン・クリスティアンソンのノーリーバックサイド180をディフェンス成功。
第2クォーターのオフェンスで小野寺が行なったトリック。
・キックフリップバックサイドテールスライド フェイキーアウト→ディフェンス失敗。
・バックサイドダブルキックフリップ→ディフェンス失敗。
第2クォーターのディフェンスでの小野寺。
・ジョニー・ヘルナンデスのスイッチバックサイド180をディフェンス成功。
第3クォーターのオフェンスで小野寺が行なったトリック。
・キックフリップフロントサイドブラントスライド→ディフェンス失敗。
・バリアルダブルキックフリップ→ディフェンス失敗。
・ビッグスピンフリップ→ディフェンス失敗。
第3クォーターのディフェンスでの小野寺。
・ジュリアン・クリスティアンソンのスイッチヒールフリップをディフェンス成功。
・アンジェロ・カロのバックサイド360をディフェンス成功。
・ポール・ロドリゲスのノーリーフロントサイド180をディフェンス成功。
・ジュリアン・クリスティアンソンのノーリーバックサイドビッグスピンをディフェンス成功。
第4クォーターのオフェンスで小野寺が行なったトリック。
・スイッチフロントサイド360→ディフェンス失敗。
・スイッチバックサイドヒールフリップ→ディフェンス失敗。
第4クォーターのディフェンスでの小野寺。
・ジュリアン・クリスティアンソンのスイッチフロントサイドポップショービットをディフェンス成功。
上記の通り、小野寺の大活躍で17-8と大差をつけてロスサントスチームの勝利。
総得点のうち11点が小野寺の得点でオフェンス時のトリックミスは1回のみ、トリックをディフェンスされたのも1本のみ。
さらにディフェンス面でも相手の攻撃を7回防ぐことに成功し、ディフェンス面においては驚異のノーミスだった。

※ instagramよりhttps://www.instagram.com/p/DUY9GnpEkMW/?hl=ja
第2試合はトロピックス(ジェイミー&イショッド)VSウルヴァリンズ(クリス・ジョスリン)
第1クォーターはジョスリンの活躍もあり、ウルヴァリンズが0-2とリード。
第2クォーターではジェイミー・フォイが、ハンドレールでフェイキーオーリーからのスイッチフロントサイドKグラインドを決めて初得点を挙げると、ここから流れが変わり、トロピックスが4点を獲得。
しかし2回裏、ウルヴァリンズのオフェンスで、ジョスリンのノーリーインワードヒールフリップ バックサイド180などで4点を奪われる(4-6)。
第3クォーターは両チーム1点ずつ獲得し、5-7で第4クォーターへ。
第4クォーターではトロピックスのジェイミー・フォイがハンドレールでフェイキーオーリーからのスイッチ5-0グラインドなどを決めて逆転。8-7でウルヴァリンズの攻撃を迎え撃つ。
ここでジョスリンが360キックフリップで1点を獲得し、今大会初のサドンデスへ突入。
サドンデスではクリス・ジョスリンがフェイキー360キックフリップを決め、ジェイミー・フォイがこれをミス。
第2試合は8-9でウルヴァリンズの勝利となった。

※ instagramよりhttps://www.instagram.com/p/DUdyM4sAVXY/?hl=ja
この日最後となる第3試合はリチウム(ザック・サラシーノ)VSソルジャーズ(ナイジャ・ヒューストン)
頭蓋骨骨折の大怪我から復帰したばかりとなる、ナイジャ・ヒューストンは控えスタート。
第1クォーターは両チーム一歩も引かず互角の展開を見せるが、後半2アウトからソルジャーズのアート・コルドヴァがスイッチキックフリップで初得点を挙げると、その後も得点を重ね5点を獲得(0-5)。
第2クォーターではリチウムチーム、ブレイデン・ホーバンのインポッシブルなどで2点を返すが、後半でソルジャーズチームがさらに2点追加、2-7で折り返す。
第3クォーター表、リチウムチームが勢いに乗りかけるが、ブレイデン・ホーバンのミスが目立ち2点の追加のみ(4-7)
この回、裏のソルジャーズのオフェンスは3人連続でミス。
第4クォーター。リチウムチームの追加得点は1点に終わり、5-7となり、ソルジャーズは最後のオフェンスを行うことなく試合終了。
この日ナイジャ・ヒューストンはフィールドにはいたものの出場はなかった。
【PSLについて考察】

※ instagramよりhttps://www.instagram.com/p/DULvM2JD9-l/?hl=ja&img_index=1
今大会オープニングの映像で、マイク・モーは「新しいことに挑戦することが必要」と話し、ナイジャが「スケートボードは新しいものが必要な段階に来ている」と話し、ポール・ロドリゲスは「人生で一度もスケートをしたことのない一般人がスケートボードを理解するには全く新しい言語を学ぶ必要がある」と語る映像が流れた。
PSLはトリックが何であるかを正確に理解していなくても“同じトリックを繰り返さなければ相手チームに得点が入る”ということがわかるシンプルなフォーマットだ。
2010年にそれまでのスケートコンテストとは違ったフォーマットで登場したストリートリーグは多くの人に興奮と感動を与え、今でも人気、格式とも世界最高峰に君臨し続けている。しかし、スケートボードを知らない人にとってはトリックの難易度を知ることは高いハードルとなっている。
今年登場したPSLがどこまで、スケートボードをしたことが無い人たちにも浸透していくのか、今後の行く末にも注目していきたい。
文 小嶋勝美
スケートボード放送作家のスケーター。







