【JAPAN STREET LEAGUE最終戦-KING’s PROOF-】2022年度最強の座は根附海龍!女子エキシビジョンは髙橋月音が優勝

2022/12/05
放送作家 小嶋勝美

2022年度コンテストシーンの締めくくりとなる、JAPAN STREET LEAGUE(ジャパンストリートリーグ、以下JSL)最終戦-KING’s PROOF–が埼玉県にあるSKIP FACTORYで開催され、根附海龍(19歳)が初代JSL年間王者の座に輝き、優勝トロフィーと賞金30万円+今年度JSLチケットの売り上げ金25万円が贈られた。

同日は女子のエキシビジョンが行われ、ノーリートリックを武器に高得点を重ねた、髙橋月音(ゆの)(13歳)が優勝。

藪下桃平(13歳)前田日菜(17歳)がそれぞれ特別賞を受賞した。

JSLは国内最高峰のスケートボードコンテストで、出場選手は完全招待制となり、主催者が厳選した日本トップクラスのスケーターによって競われる。

今大会は今年行われた3戦の上位10名により年間チャンピオンの座が争われ、その模様はフジテレビの動画配信サービスFODにて特別に無料配信された。

しばらくは以下のURLで無料視聴出来るようなので、気になる人は是非見てみてほしい。

FOD:https://fod.fujitv.co.jp/title/114h/

【- KING’s PROOF –出場スケーターとJSLのルール】

男子出場者・年間ランキング順

1位 根附海龍(19歳)/2位 濱村大征(15歳)/3位 藪下桃平(13歳)/

4位 池田大暉(16歳)/5位 佐々木音憧(とあ)(15歳)/6位 中野虎大郎(18歳)/

7位 渡辺星那(16歳)/8位 齋藤丈太郎(16歳)/9位 小鈴祥大(17歳)今大会は怪我で欠場 /10位 佐々木来夢(18歳)

女子エキシビジョン出場者

北野朝戸(せと)(15歳) / 前田日菜(17歳) / 齋藤波音(18歳) /

青木凜(17歳) / 中島野々花(13歳) / 上村葵(13歳) / 髙橋月音(13歳)

※怪我の為、藤澤虹々可(21歳)欠場

JSLのルールはWORLD SKATEが2024年パリオリンピックに向けて発表した、公式採点フォーマットと同様となる。

・コース内を自由に滑走するランを2本と1発技のベストトリックを5本行い、3つのトップスコアで順位を競う。

・この内、ランのベストスコア1本とシングルトリックのベストスコア2本の合計が総得点となり、それぞれ100点満点で、小数点以下2点まで(最高得点は300.00点)

同点選手がいた場合はランの最高得点で順位を決定し、それでも決着がつかない場合は、シングルトリックの最高得点をもって決着となる。

・選手は、より完成度の高いトリックのメイクを目指したい場合は、メイクしたトリックを破棄する権利がある(ベストトリックで同じトリックを行うと必然と得点が下がる為)

高得点の目安としては、男子は90点以上が最高難度のトリックとなり、女子は60点前後がその目安となった。

【ヒールフリップキングが年間王者に/根附海龍】

根附海龍/ランで見せたノーリーインワードヒールフリップ バックサイド180

JSL第1戦を2位、第2戦優勝、第3戦は2位で年間ランキング1位でKING’s PROOFに出場した根附海龍。

最終戦でもヒールフリップ(かかとを使って板を空中で一回転させる技)系の高難度トリックのオンパレードでJSL年間王者に輝いた。

決勝のラン2本目では、全て回し技(板を空中で横や縦に回す事)を入れた構成をフルメイク(一つのミスなく滑り切る事)し、90.00点で他の選手に対し大きくリードする。

根附海龍/ベストトリックでのヒールフリップバックサイドテールスライドフェイキー

ベストトリックでは全て、根附の代名詞となるヒールフリップ系のトリックで6段のハンドレールを攻略し、高得点を獲得。

2位の池田大暉がベストトリックで90点代を連発するも、ランでのリードを守りきり総得点266.50の根附海龍に軍配が上がった。

ちなみにこの日の総得点266.50は、奇しくも前回の第3戦(2位)と全く同じ点数である。

【今年のアマチャンピオン/池田大暉】

池田大暉/キャバレリアルバックサイドテールスライド ビッグスピンアウト

今年、世界最高峰のアマチュアスケーターの大会Tampa AM(タンパアマ)を制した池田大暉はこの日、左腕の骨折を押しての出場となったが、それを物ともしない滑りでパーク内のセクションを攻め、JSLの舞台で大暴れした。

池田大暉/バックサイド270フリップ リップスライド270アウト(ベストトリック4本目)

ベストトリックではメイクした5本中3本が90点代という驚異的なスキルを発揮。

2019年タンパアマを制した経験を持つ根附海龍、今年タンパアマを制した池田大暉の2人がJSL最終戦ワンツーフィニッシュを飾った。

ベストトリック4本目、練習では1度もトライしてなかった技を一撃で決めた後。本人でも信じられないというリアクション。

【寡黙なスタイルマスター/佐々木来夢】

佐々木来夢/バックサイドK(クルックド)グラインド ノーリーフリップアウト

この日、特別賞を受賞した前田日菜との交際がMCより発表された佐々木来夢。

そんな発表に戸惑うこともなく、飄々とした滑りを見せた佐々木だったが、決勝ベストトリックでは3本連続で外し後がなくなるも、4本目に360キックフリップ フロントサイドフィーブルグラインドをメイクし、90.17点を獲得。

さらにラスト5本目ではKグラインドからのノーリーフリップアウトを決め、土壇場での勝負強さを見せた。

モンスターのようにガンガン攻める池田、甘いマスクと笑顔で爽やかな滑りを見せる根附、喜怒哀楽をあまり見せずに飄々とテクニカルながらハンマートリック(ハンドレールなどのセクションで行う高難度の技)を見せる佐々木と、三者三様ながらそれぞれに唯一無二のスタイルを見せてくれたJSL最終戦だった。

【唯一無二のノーリートリック/髙橋月音】

髙橋月音/ノーリーフロントサイドボードスライド

女子では珍しい、利き足と逆側の足で踏切ってトリックを行う“ノーリー”と呼ばれる技で今大会鮮烈な印象を残した、13歳の髙橋月音が初開催の女子エキシビジョンで優勝。

決勝ベストトリックでは見事に6段のハンドレールをノーリートリックで攻略した。

予選でもレッジでノーリーバックサイドテールスライドなど、ノーリー系の引き出しを見せていたのが印象的で、東京五輪金メダリストの堀米雄斗もノーリートリックで世界へ羽ばたいているように、明確に自分の武器を持つスケーターはやはり強い。

来年も彼女の多彩なノーリートリックに期待したい。

【楽しみながら自分も周りも盛り上げる/中島野々花】

中島野々花/キックフリップ

終始、コンテストを楽しんでいる印象の強かった中島野々花が準優勝。

決勝のベストトリックでは優勝候補の前田日菜、上村葵が相次いでミスが続く中、序盤で確実に2本を決めた。

最後はハンドレールでのフロントサイドブラントスライドを決めきる事が出来なかったが、誰よりも大会を楽しみ、最後の表彰式までJSLを盛り上げた。

【次世代のトリック/北野朝戸】

北野朝戸/キックフリップフロントサイドボードスライド

ハンドレールでのトリックが光った北野朝戸が3位に。

決勝ベストトリックではハンドレールで玄人も唸るフロントサイドノーズスライドと空中で板を縦に1回転させてからレールを滑り降りる、キックフリップフロントサイドボードスライドを決めて62.67点の高得点を獲得した。

【日本発ドメスティックコンテスト】

JSL第4戦 "KING's PROOF" 告知動画YouTubeより

(YouTube:https://youtu.be/64cLEJ8l9Ww)

スケートボードの世界ではデッキやパーツ類は海外のブランドが主流の為、日本国内のスケートボードブランド(ドメスティックブランド)は貴重な存在となっている。

JSLは日本発のドメスティックコンテストとして「ジャパンドリームを作ってあげたい」というスケーターである主催者達の思いで今年1年を走り抜いた。

これまで世界へ挑戦する事はあっても、世界から日本に注目してもらう為のコンテストはあまり無かった取り組みでは無いだろうか。

スケーターがスケーターの為に開催するJSLの来年以降の動きにも注目だ。

【JSL- KING’s PROOF –特別賞】

藪下桃平・前田日菜(MCを務めた上田豪さんと)

【JSL- KING’s PROOF –リザルト】

1位・根附 海龍-266.50

2位・池田 大暉-264.31

3位・佐々木 来夢-261.17

4位・渡辺 星那-250.66

5位・濱村 大征-162.00

6位・藪下 桃平-232.46

7位・佐々木 音憧-211.34

8位・齋藤 丈太郎-133.33

9位・中野 虎大郎-107.67

※6位以下は予選での結果

【JSL Women-エキシビジョンリザルト】

1位・髙橋 月音-166.67

2位・中島 野々花-153.33

3位・北野 朝戸-151.34

4位・前田 日菜-123.67

5位・上村 葵-57.10

6位・齋藤 波音-117.67

7位・青木 凜-97.00

※6位以下は予選での結果

 

写真 文・小嶋勝美

スケートボードの情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家兼スケーター。

10年間のお笑い芸人生活を経た後、放送作家をしています。

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放送作家 小嶋勝美
この記事を書いた人

放送作家 小嶋勝美

お笑い芸人として活動後、放送作家に転身。 スポーツ番組やバラエティ番組などに携わる傍ら、20年以上続けている大好きなスケートボードのライターとしても活動。 コンテスト記事の他、スケボーの情報や面白い発見を伝えていくと共に、スケートボードが持つ素晴らしさを多くの人に広めていきたいと思っています

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