別れの季節から桜咲く出会いの季節へ。そんなフレッシュなイメージのある新春の新潟の夜に、血とエロスと情念の雨が降る。雨どころか、土砂降りであろう。爽やかな季節に一体何が!?…なぜならば4月18日に、新潟にある老舗市民映画館 新潟シネ・ウインドにて『佐藤寿保NIGHT in 新潟シネ・ウインド』が盛大に行われるからだっ!
映画『64-ロクヨン』『菊とギロチン』で知られる瀬々敬久監督らが鎮座する“ピンク四天王”の一人であり、日本映画界の裏番長的鬼才の佐藤寿保。成人映画を量産していた獅子プロダクションで牙を磨き、1985年に『激愛!ロリータ密猟』で満を持しての長編映画監督デビューを飾った。
都市に蠢くパラノイアチックな狂気と猟奇を織り交ぜ、異様なエロスに昇華させる作風は常に賛否両論ながらも、時代を超えて熱狂的なファンを生み出し、ヨーロッパ方面にまでその名を轟かせている。1985年のデビュー以降、映画『ロリータ・バイブ責め』、『仮面の誘惑』、『狂った舞踏会』、『アブノーマル 陰虐』、『盗撮レポート 陰写!』、『浮気妻 恥辱責め』などでピンク映画界を疾走し、観客を戦慄させながら一般映画にも進出した。
新作映画が撮れない苦渋の潜伏期間もありながら、無名時代の阿部サダヲが主演したカルトスプラッター『女虐/NAKED BLOOD』、江戸川乱歩の世界を独自に再構築した『乱歩地獄/芋虫』、ピンク映画時代からの盟友脚本家・夢野史郎と約10年ぶりにタッグを組んだ集大成『眼球の夢』と、作品毎にブレない美意識と特異な作家性をエレクトさせている。
『佐藤寿保NIGHT in 新潟シネ・ウインド』は、そんな佐藤監督の監督生活35周年を盛大に祝すべく企画された特集上映会。奇々怪々なフィルモグラフィーの中から未ソフト化の2作品を上映するほか、佐藤監督を招いてのアフタートークも行う予定だ。
気になる上映作品は、1989年のピンク映画『変態病棟 SM診療室』。荒縄や吊しによる古典的なSMスタイルを踏襲することなく、独特のメタリック感覚のなかで男女の攻防をハードに展開させる。そしてもう1本は、なんと当日のお楽しみのシークレット上映!佐藤監督の原点である、“あの”映画を上映するという。
このリビドー爆発なファン垂涎の企画を立案したのは、佐藤監督ファンの愛新覚羅けいご氏だ。自ら配給元の新東宝映画や国映、佐藤監督とコンタクトを取り、未ソフト化という幻の作品の上映を実現させた。…本当にありがとうございます。
今回の贅沢&充実たる企画実行の経緯について愛新覚羅けいご氏は「今回上映する2本の映画は私が90年代末に成人映画にのめり込んで以来、長年観たいと思いながらもまったく鑑賞機会が無かった作品です。このままでは一生観ることができない。誰もやってくれないなら自分でやってしまおうと考えた次第です」と説明する。
そんな熱烈な思いを受け取った佐藤監督も「“映画は生き物だ”とよく言われる。自分では無意識だったものがフィルムに焼き付いている。今では撮れないであろう刺激ある内容であり、お客さんの反応が愉しみではあるが恥部を覗かれる様でちょっと怖い。一期一会、新たな出会いを求め映画は彷徨う」と感謝感激血のあられだ。
『佐藤寿保NIGHT in 新潟シネ・ウインド』詳細
■日時:2020年4月18日(土)開場18:00、上映開始18:30。
■料金(当日券のみ、予約なし)シネ・ウインド会員¥2,000、一般¥2,500※チケットの販売は当日10時から受付開始。その際に整理番号をお渡しします。※特別企画のため各種割引、シネ・ウインド鑑賞券・各種無料鑑賞券はご利用いただけません。
■注意事項:18歳未満の方はご入場いただけません。